経営・管理ビザ(旧:投資経営ビザ)

【経営管理ビザ】更新時の必要書類や要件、在留期間を延ばすコツとは?

更新日:2024年8月21日


外国人が日本国内で事業を継続するためには、経営管理ビザの更新が必要です。
ビザ更新が不受理となると、日本で事業を行うことができなくなる可能性があります。
本記事では、経営管理ビザ更新のための必要書類や要件、そして在留期間を延ばすためのポイントを解説します。

経営・管理ビザの更新では、経営がしっかり行われているか、管理が適切になされているか等も含めて審査されます。
要件も新規取得時と同等の水準で求められるため、他の種類のビザ更新よりも難易度が高いです。

➀ 申請者としての適切性

経営管理ビザを更新するためには、日本で定められている税金(所得税、法人税、住民税など)を納めていることや、各種必要な届出を提出していることが求められます。
従業員の社会保険加入状況も審査の対象です。

税金の未納や納税義務を果たしていない場合、ビザ更新の審査に不利になると考えられます。

② 事業者の義務の履行

経営管理ビザ取得者には、事業者として以下の義務が求められます。

⑴ 事業所の設置

  • 事業所は短期間の月単位契約の物件や簡易な屋台ではなく、一定の場所にあることが条件です。
  • 使用意図が店舗用、事業用、事務所用であることを示す必要があります。
  • 住居用の一部を事業用とする場合、貸主の同意が必要です。

⑵ 税務と納税の状況

  • 法人税、所得税、地方税(住民税など)を滞りなく納めている必要があります。

⑶ 社会保険等の整備

  • 雇用する全従業員(非正規従業員含む)を適切に社会保険に加入させることが必要です。
  • 労働関係法令に従い、労働保険、厚生年金、健康保険の加入手続きや保険料の納付を行っている必要があります。

③ 事業の継続性の確保

事業の継続性が安定しているかを判断するために、以下の要素が考慮されます。

⑴ 売上と利益の安定

  • 売上が安定し、黒字決算であることが望ましいです。
  • 一度の赤字決算は更新を拒否される原因にはならないですが、事情や理由、そして今後の見通し等は考慮されます。

⑵ 直近期末における欠損金の有無

  • 同期末に剰余金があり、当期純利益がある場合、事業の継続性が認められます。
  • 剰余金がある、または欠損金も剰余金もない場合、事業継続に問題がないと判断されます。

⑶ 債務超過の回避

  • 直近期末に債務超過でない場合、事業の継続が認められるケースがあります。
  • 債務超過が1年以上継続していないことが求められます。

なお、専門家(公認会計士や行政書士など)のコンサルティングを受け、事業継続が可能であることを示す書面を提出することで、経営管理ビザの更新が認められる場合があります。

経営管理ビザの更新には、以下の書類が必要です。

  1. 在留期間更新許可申請書
  2. 在留カードとパスポートの提示(外国人登録証明書を含む)
  3. 写真(3ヶ月以内に撮影したもの(サイズ 横3cm・縦4cm))
  4. 直近期末の決算書の写し(個人事業主は確定申告の写し)
  5. 個人の納税証明書(住民税・課税証明書)
    →納税状況と1年間の総所得額が記載されていれば、どちらかのみで可
  6. 会社(法人)の納税証明書
  7. 従業員の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表(税務署員の受付印のある前年度分のコピー)
  8. 更新申請をする理由を書いた書類(今後の事業の見通しや展望等を解説したもの。書式は自由)
  9. 会社名義である銀行口座通帳のコピー
  10. 新しくビジネスに必要な許可を取得した場合のそのコピー
  11. カテゴリーの明示資料(下記の1~4のカテゴリーのどこに該当しているのかを示す文書)

※各カテゴリーについて

カテゴリー1

  • 証券取引所に上場している日本の企業
  • 地方の公共団体
  • 保険を経営している相互会社
  • 日本国の公益法人等

カテゴリー2

  • 前年度の源泉徴収税額が1,500万円以上の個人や組織(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中の給与所得の源泉徴収の合計)

カテゴリー3

  • カテゴリー2以外の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(前年度分)が提出された個人や組織

カテゴリー4

  • 上記のどれにも当てはまらない個人および組織

各ケースにおける追加必要書類

上記の書類に加え、以下のケースに該当する場合は、追加の書類が必要です。

⑴ 事務所を移転したケース

事務所を移転した場合は、新しい事務所が要件を満たしているかどうかの審査を受ける必要があります。
提出すべき書類は次のとおりです。

  • 本店移転登記後の登記簿謄本
  • 新事業所の賃貸借契約書
  • 写真
  • 平面図

また、事務所変更後は速やかに本店移転登記を行い、2週間以内に入管に届け出ることが必要ですので要注意です。

⑵ 役員報酬を上げたケース

役員報酬を上げた場合、会社に余裕があることを示す証となり得ます。
役員報酬は会社の経営状態を判断するための重要な材料であり、報酬が最低でも月額20万円以上であることが望ましいです。
反対に、報酬が低すぎると日本での生活が問題なく送れているか疑問視される可能性があります。
役員報酬を上げた場合は、株主総会議事録を提出する必要があります。

⑶ 従業員が増えたケース

経営管理ビザの更新において、従業員の確保が難しくなった場合では、不許可になる可能性が高いです。
逆に、従業員が増えた場合、経営が安定していることを示す証拠となります。
この場合には、以下の書類を提出します。

  • 従業員との雇用契約書
  • 全従業員分の源泉納付書(税務署受付印のあるもの)
  • 社会保険に加入していることの証明(社会保険料通知書など)

経営管理ビザで認められる滞在期間は、「3ヶ月」「4ヶ月」「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」の6種類です。
しかし、ほとんどの場合1年間です。
3年・5年の在留期間を認められるためには、以下の条件を満たすことで可能になる場合があります。

事業の安定性と継続性の証明

初めの2年間で、事業の収益や売上を一定以上継続していると、運営が安定的だと判断されます。
この場合、次回の更新で3年や5年の長期の経営管理ビザが認められやすくなります。

また、納税や従業員への社会保険加入手続き、保険料の納付など、事業者・経営者としての義務を果たしていることも重要です。

経営管理ビザの更新申請において、黒字決算であることは重要な要素です。
しかし、黒字にするために代表者の報酬を低くする方法は得策ではありません。
代表者への報酬を新卒社員よりも安く設定するような経営では、安定的な事業の継続が認められない可能性が高いです。

従業員の雇用状況

従業員を雇用していることも、経営管理ビザの在留期間3年・5年を認められるための重要な要素です。
従業員雇用の有無は、雇用保険適用事業所番号で確認されます。
ただし、従業員の雇用は必須ではありません。
雇用していない会社であっても、事業が安定的に継続していることを証明できれば、在留期間3年以上を認められる可能性があります。
 
たとえば、売上が1億円以上ある場合、1人会社でも安定した経営ができているとみなされやすいです。
特許・商標の登録証や信頼度の高い取引先との契約書・請求書などを準備することも一定有効です。

経営管理ビザで3年・5年の在留期間を取得するためには、更新理由書を作成し、更新理由を具体的に記載することが重要です。

更新理由書自体は経営管理ビザの更新に必須の書類ではありませんが、提出することで長期間の在留期間が認められる可能性が高まります。

経営者としての義務を果たし、安定した経営を続けていても、3年・5年の経営管理ビザを取得できないケースもあります。
そのような場合、更新理由書の内容を工夫することで、長期間の在留期間を認められる助けとなる可能性があります。

更新理由書に記載した方が良い内容

  1. 経営者の仕事内容
    ・経営活動を行っている証拠の提示(具体的な業務内容や日常の業務など)
  2. 中長期の事業計画
    ・具体性と実現可能性のある中長期的な事業計画の提示
  3. 流動比率
    ・流動資産を流動負債で割った数値を記載
    ・200%以上が目安(業界による)
  4. 取引先の情報
    ・取引先名、取引年数、年間取引額、取引内容、取引先の概要を記載
    ・安定した取引先との関係が継続していることをアピールする

本記事では、在留資格である「経営・管理ビザの更新」について重要なポイントを解説しました。
要点をまとめると、以下の通りです。

  • 経営管理ビザの在留期間は「3ヶ月」「4ヶ月」「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」の6種類
  • 経営管理ビザは他のビザに比べて更新時の審査が厳しい
  • 経営管理ビザ更新における主な要件は3つ
    ・安定した運営のもと、事業が継続されると判断されること
    ・事業者(申請者)個人の納税や各種届出がしっかり行われていること
    ・従業員の労働環境の整備、会社としての適切な納税などが行われていること
  • 経営管理ビザ更新に必要となる書類は状況によって異なる
  • 事業の安定性や従業員雇用の有無が経営管理ビザ3年・5年取得の目安となる
  • 経営管理ビザ3年・5年を取得するためには、更新理由書を作成し、書き方を工夫することが重要

経営が一時的に苦しい状態にあるタイミングでビザを更新しなければならない場合、審査を通過するのに困難を伴う可能性があります。
また、経営管理ビザ3年・5年を取得すれば、永住ビザ申請も見えてきます。

サポート行政書士法人では、多くの外国語対応のスタッフが在籍し、ビザに関する相談を受け付けています。
ご自身では経営・管理ビザの取得・更新・変更が難しい案件でも、一緒に解決方法を探し、サポートが可能です。
時間がなくて書類作成に手が回らない方、更新の可否について不安がある方、できる限り在留期間を延ばして申請したい方など、ぜひ一度弊社にご相談ください。