経営・管理ビザ(旧:投資経営ビザ)

経管ビザ申請「資本金の送金」で必ず押さえるべきポイント


外国人が日本で会社設立をしてビジネスを行うためには、経営・管理ビザが必要です。
そして、会社の経営者として経営管理ビザを申請するには、会社設立の準備をしなくてはなりません。
そのなかで、「経営管理ビザ申請には500万円の資本金が必要」という話をよく聞くのではないでしょうか。

この記事では、経営管理ビザ取得時の資本金ついて、注意すべき点について解説します。

経営管理ビザの取得において、「資本金500万円が必要」という情報を耳にしたことがある方が多いでしょう。
しかし、これは過去の規定に基づくものです。

2015年3月31日以前は、経営管理ビザを取得するためには外国人または外国法人による500万円の資本金が必要でした。
しかし、2014年の入管法改正により、この要件は緩和されました。
2015年4月1日以降は、自らが資本金500万円の出資がなくても、常勤従業員2人以上雇用し、その他の要件も満たしていれば、外国人が日本で事業の管理や経営活動を行うことができるようになりました。

主任コンサルタント 王 云

では、資本金の出資が全くない場合でも経営管理ビザを取得できるのかという疑問が生じます。
例えば、友人が設立した会社の経営に参画する場合を考えてみましょう。
経営管理ビザは、単に代表取締役や取締役などの役職に就くことだけでなく、事業運営に関する重要事項の決定や業務執行に関与するなど、実質的に経営に参画している必要があります。
 
また、経営管理ビザは経営経験を要件としていないため、経営経験がない人(留学生や就労ビザなど)でも、経営活動を行うことを目的として取得できます。
しかし、申請者が経営活動を行う信憑性がない場合、ビザの取得が困難になることがあります。

資本金が500万円未満の場合、常勤従業員2人以上の雇用が必要

会社が資本金500万円の要件を満たさない場合、常勤の職員を2名以上雇用することで条件を満たすことができます。
常勤の職員として認められるのは、日本に居住する日本人、特別永住者、永住者、永住者の配偶者等、定住者です。

これらの職員は正社員として雇用される必要があります。
派遣や請負で働く労働者、パートタイマーなどは、常勤の職員としては認められません。
また、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入も必要です。

さらに、常勤職員が1名のみの場合でも、資本金が250万円程度であればビザ取得が認められることがあります。
この場合、もう1名を従事させるための費用を投資している規模が必要とされます。

経営管理ビザを取得する際、用意した資本金について、その出所を立証する必要があります。
資本金をどのように集めたのか、具体的な説明が求められます。
これは、“見せ金”やマネーロンダリング等を防止するための措置です。
合法的に働いて貯めた資金や金融機関からの借入れなど、資金の出所を示すための資料や書類が必要です。

以下のような書類を提出することが推奨されます。

  • 所得証明書
  • 海外送金に関する通知はがき
  • 携行品・別送品申告書
  • 金銭消費貸借契約書
  • 本国の通帳

また、借入れの際には以下の点に注意が必要です。

  • 融資契約書があること
  • 返済計画があること
  • 借りた先の資金の出所を証明すること

令和6年3月に経営管理ビザのガイドラインが改正され、有償型の新株予約権の払込金が資本金として認められるようになりました。
この改訂により、J-KISS型新株予約権を利用した資金調達も、資本金500万円の要件を満たす手段として利用可能になりました。

新株予約権とは何か

新株予約権は、あらかじめ定められた条件で会社から株式の交付を受けることができる権利です。
企業が事前に決めた価格で一定の期間内に株式を買うことができる権利と言い換えることもできます。

新株予約権の具体例

例えば、株価が1株18,000円のA株式会社があったとします。
この会社が新株予約権を「行使価格20,000円/1株 行使期間1年」という条件で1,000円で販売した場合、投資家は1,000円で新株予約権を購入します。
 
株価が25,000円になった場合、新株予約権を行使して20,000円で株式を購入し、差額で利益を得ることができます。
逆に株価が15,000円になった場合、新株予約権を放棄し、損失を最小限に抑えることができます。
このように、新株予約権は投資家にとって有利に株式を取得できる権利と言えます。

ストックオプションとしての新株予約権

新株予約権はストックオプションとして利用されることも多く、従業員に新株予約権を付与することで、会社の業績向上を目指す手段として活用されています。
また、新株予約権は資金調達や買収防衛策としても利用されます。
新株予約権を発行することができるのは、株式会社と特例有限会社です。

新株予約権の払込金が資本金要件を満たす条件

今回のガイドライン改定により、新株予約権の発行による払込金は以下の条件を満たす必要があります。

  • 新株予約権の発行によって払い込まれた、返済義務のない払込金であること。
  • 将来、新株予約権が権利行使されることで払込資本となる場合及び権利行使されずに失効し利益となる場合のいずれであっても、資本金として計上すること。

必要な提出資料

新株予約権の払込金を資本金として認められるためには、以下の書類が必要です。

  • 新株予約権の発行にあたり締結された投資契約書(J-KISS型新株予約権契約書など)
  • 実際に払い込まれた額を証明する資料(通帳の写し若しくは取引明細書の写し)
  • 将来、新株予約権が権利行使された際に資本金として計上することの誓約書

J-KISSは、日本の大手法務系法律事務所の協力で開発された投資契約書のひな型です。
無償で公開されており、自由にダウンロード・修正が可能です。

新株予約権の注意点

注意点として、新株予約権の払込金は有償のみが対象です。
新株予約権が行使された時の株式価値の合計が500万円ではなく、投資家が新株予約権を購入するために払い込んだ金額が500万円となります。

また、新株予約権を発行する場合、株主総会の決議や新株予約権の発行を変更登記する必要があります。

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資本金500万円を海外から日本へ送金する場合や自身で持ち込む場合、下記の3つのポイントを抑えましょう。

➀ まずは日本国内の銀行口座を開設しましょう

会社を設立するためには、日本の銀行口座に資本金を送金する必要があります。
そのため、まずは日本の銀行で口座を開設する必要があります。

在留カードを持っている方であれば、原則として銀行口座を開設することが可能です。
ただ、銀行によっては、6か月以上の在留資格のない方は口座の開設ができないケースもあるので注意しましょう。もし、日本国内にパートナーがいる場合は、まずその方に口座を作ってもらい、その口座に送金する方が効率的です。

② 資本金をどのように用意したか説明する書類を準備しましょう

経営管理ビザを申請する際、資本金をどのように用意したのかについて、書面で証明する必要があります。
例えば、家族からお金を借りて資本金を送金したのであれば、送金記録だけでなく家族との関係性を証明する書面や、家族の預金通帳のコピーなども必要になります。この書面がないと、経営管理ビザの申請は不許可になってしまうので注意しましょう。

③ 送金の規制が厳しいケースがあるので注意しましょう

送金元となる国によっては、日本への送金が難しい場合があります。
特に中国では、海外送金の規制が厳しくなっており、500万円の送金ができないケースが増えています。
その場合、日本在住の友人などに資本金を立て替えてもらい、その後アリペイ(支付宝)などの送金サービスを使って友人に返済するといった方法が考えられます。

経営管理ビザの取得において、資本金が問題となるケースについて説明します。

① 資本金形成がオーバーワークによる場合

留学生が経営管理ビザを取得する際、アルバイトの収入で500万円の資本金を形成するケースが問題となります。
留学生は原則としてアルバイトが禁止されており、アルバイトをするためには資格外活動許可が必要です。
資格外活動許可を取得した場合でも、アルバイト時間は週28時間に制限されています。
このルールを破ってアルバイト収入で500万円を準備した場合、違法な収入と見なされるため、経営管理ビザの審査で不適正と判断される可能性が高くなります。

② 過去の年収から見て資本金形成が不自然な場合

就労ビザから経営管理ビザに変更する際、過去の年収と500万円の資本金形成過程が不自然であるケースが問題となります。
例えば、年収240万円で1年間働いていた場合、その期間で500万円を貯蓄することは現実的ではありません。
このような場合、1年間の貯蓄額と残りの部分の具体的な形成方法を明確に示す必要があります。
そうでなければ、資本金の形成過程が不自然と判断され、経営管理ビザの取得が難しくなります。

③ 資本金の形成方法が立証できない場合

最も問題となるのは、500万円の資本金が存在するが、その形成方法が立証できないケースです。
マネーロンダリング防止や見せ金の排除の観点から、資本金の出どころについても厳しく審査されます。
資本金の500万円をどのように準備したのかを立証する必要があり、例えば所得証明書などを提出して形成過程を明らかにする必要があります。
もし立証できない場合、経営管理ビザの取得は困難となります。

経営管理ビザの取得に関して、資本金500万円の要件は以前より緩和されています。
2015年4月1日以降は、資本金500万円の出資がなくても、常勤従業員を2人以上雇用することで、外国人が日本で事業の管理や経営活動を行うことができるようになりました。

常勤従業員は、日本に居住する日本人や永住者などであり、正社員として雇用される必要があります。
また、労働保険への加入も必要です。

資本金の出所についても立証が求められます。
合法的に働いて貯めた資金や金融機関からの借入れなど、資金の出所を示すための書類が必要です。
所得証明書や送金通知、預金通帳のコピーなどを提出することで、資本金の形成過程を明らかにする必要があります。

2024年3月のガイドライン改訂では、有償型の新株予約権の払込金が資本金として認められるようになりました。
J-KISS型新株予約権を利用した資金調達も、資本金500万円の要件を満たす手段として利用可能です。
新株予約権の発行によって得られた払込金が返済義務のないものであり、将来権利行使される際に資本金として計上されることが条件となります。

経営管理ビザの取得において、資本金形成が違法なオーバーワークによる場合や、過去の年収と不釣り合いな資金形成の場合、または資本金の形成方法が立証できない場合は、ビザの取得が困難となります。
適切な資本金形成とその立証が、経営管理ビザの取得成功に不可欠です。

新宿・秋葉原・名古屋・大阪にオフィスを構え、経験と実績の豊富な『ビザ申請専門スタッフ』がお客様のご相談に対応しております。
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