特定活動ビザ(特定活動46号)申請

医療滞在ビザで医療費はどうなる?医療目的の特定活動ビザを解説

更新日:2024年8月27日


外国人が日本で医療を受ける際に必要となるのが「医療滞在ビザ」です。
特定活動ビザの一種で、自分自身が日本の医療を受ける場合や、家族に日本の医療を受けさせたい場合に取得することになります。

「医療滞在ビザ」は、在留中の滞在費や医療費の支払能力が必要不可欠です。
国民健康保険への加入ができないため、医療費を全額自己負担しないとなりません。

本記事では、「医療滞在ビザ」の概要から申請方法、申請要件、在留期間、注意点などについて解説します。

医療滞在ビザは、日本で医療を受けるために発行されるものです。
このビザは、「告示された特定活動」の一つとして認められています。

具体的には、日本国内の病院や診療所に入院し、疾病や傷害に対する医療を受ける活動が対象です。
また、入院前後において、継続的に医療を受けることもできます。

医療滞在ビザを取得するための主な要件は以下の4つです。

  1. 相当期間、日本に滞在すること
  2. 日本国内の病院や診療所に入院して治療を受けること
  3. 入院前後の医療行為が、入院して受けた医療行為に関わるものであること
  4. 日本滞在中の費用を支払う能力があること。

1. 相当期間、日本に滞在すること

医療滞在ビザでは、日本に「相当期間」滞在することが求められます。
 
この「相当期間」とは、90日を超える日数のことです。
したがって、この期間以上にわたって医療行為を受ける場合には、医療滞在ビザを取得しなければなりません。

日本での滞在期間が90日以下の場合は、「短期滞在」ビザとなります。

2. 日本国内の病院や診療所に入院して治療を受けること

医療滞在ビザの条件は、入院して医療行為を受けることです。
このビザは、入院中の治療だけでなく、入院前後の医療行為にも適用されます。
ただし、通院による医療行為だけでは、このビザの対象にはなりませんので、ご注意ください。

人間ドックや健康診断、歯科治療、出産など、このビザで認められる医療行為は多くあります。

3. 入院前後の医療行為が、入院して受けた医療行為に関わるものであること

医療滞在ビザでは、入院前後に受ける医療行為が、入院中の治療と関連していることが条件となります。
入院期間中の医療行為だけでなく、入院前後に継続して受ける医療行為も対象とされますが、関連した治療でなければなりません。

例えば、がん治療のために医療滞在ビザを取得した場合、退院後の治療もそのがん治療に関連するものである必要があります。

入院中の治療と、それに続く医療行為が連続していることが重要です。

4. 日本滞在中の費用を支払う能力があること

医療滞在ビザでは、日本滞在中の費用を支払う能力がないと認められません。
滞在中に必要な費用には、宿泊費や食費などの生活費に加えて、医療費も含まれます。

医療滞在ビザを持つ場合、日本の国民健康保険に加入できないため、医療費は全額自己負担となります。
そのため、日本での医療費が高額になる可能性があります。

なお、これらの費用の支払能力は、必ずしも医療を受ける本人でなくても問題ありません。
親族など、別の人が費用を負担する場合でも、その支払能力が認められます。

医療滞在ビザの在留期間は、通常6ヶ月または1年です。
この期間は、個々の病状や治療の進行状況に応じて決定されます。

必要に応じて在留期間の更新も可能で、更新には医師の診断書や医療機関の受入証明書、治療予定表、在留中の費用支払状況などの書類を提出しなければなりません。

治療が完了した場合、医療滞在ビザは終了となり、本国への帰国が求められます。
そのため、治療が終了した後は、日本に滞在し続けることはできません。

医療滞在ビザで許可される活動には、外国人が入院前後や入院中に医療行為を受けることが含まれます。
入院中の医療行為だけでなく、入院前後に継続して医療行為を受ける活動も対象とされています。

さらに、医療滞在ビザは、医療行為を受ける外国人本人だけでなく、その付添人も取得することができます。
付添人は親族である必要はなく、親族以外の方もなれる場合がありますが、その場合は、本人との関係性が厳しく審査されます。

付添人が許可される活動は、医療行為を受ける外国人の日常生活の支援のみに限られます。
具体的には、入院中の世話や入院前後の送迎・付添いなどが含まれますが、収入を伴う活動や報酬を受ける活動は許可されません。

医療滞在ビザの申請方法には、以下の3つのパターンがあります。

  1. 新規申請:新たに医療滞在ビザを申請する場合
  2. 他の在留資格からの変更:他の在留資格から医療滞在ビザへ変更する場合
  3. 在留期間の更新:既に取得している医療滞在ビザの在留期間を更新する場合

申請には、パターンごとに必要な書類が異なります。
また、医療滞在ビザと付添人ビザでも用意すべき書類が異なるため、それぞれの状況に応じた準備が必要となります。
具体的な必要書類については、各パターンに合わせて下記で確認してください。

新規申請

医療滞在ビザを新規申請する際に必要な書類は以下でご確認下さい。

区分書類
医療滞在ビザ・付添人ビザ共通の書類・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝)1枚
- 申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
・返信用封筒(簡易書留用)
- 返信先住所を明記し392円分の切手を貼り付けたもの
医療滞在ビザに必要な書類・日本の病院が発行した受入れ証明書
・入院先の病院等に関する資料(パンフレットなど)
・治療予定表
・入院前あるいは退院後の滞在先と連絡先を記載した資料
・滞在中に必要な費用支払いに関するいずれかの資料
- 病院等への前払金、預託金等の支払済み証明書
- 民間医療保険の加入証書と約款の写し
- 加入する医療保険による支払いが立証できるもの
- 預金残高証明書
- スポンサーや支援団体等による支払証明
付添人ビザに必要な書類・滞在日程、滞在場所、連絡先、付添い対象者との関係を説明する資料
・滞在に必要な一切の経費が支払えることを証明する資料

他の在留資格からの変更

他の在留資格から医療滞在ビザに変更する際に必要な書類は以下でご確認下さい。

区分書類
医療滞在ビザ・付添人ビザ共通の書類・在留資格変更許可申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝)1枚
- 申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
・返信用はがき
- 返信先住所を明記したもの
医療滞在ビザに必要な書類・日本の病院が発行した受入れ証明書
・入院先の病院等に関する資料(パンフレットなど)
・治療予定表
・入院前あるいは退院後の滞在先と連絡先を記載した資料
・滞在中に必要な費用支払いに関するいずれかの資料
- 病院等への前払金、預託金等の支払済み証明書
- 民間医療保険の加入証書と約款の写し
- 加入する医療保険による支払いが立証できるもの
- 預金残高証明書
- スポンサーや支援団体等による支払証明
付添人ビザに必要な書類・滞在日程、滞在場所、連絡先、付添い対象者との関係を説明する資料
・滞在に必要な一切の経費が支払えることを証明する資料

在留期間の更新

在留期間を更新する際に必要な書類は以下でご確認下さい。

区分書類
医療滞在ビザ・付添人ビザ共通の書類・在留期間更新許可申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝)1枚
- 申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
・返信用はがき
- 返信先住所を明記したもの
医療滞在ビザに必要な書類・診断書
・日本の病院が発行した受入れ証明書
・入院先の病院等に関する資料(パンフレットなど)
・治療予定表
・入院前あるいは退院後の滞在先と連絡先を記載した資料
・滞在中に必要な費用支払いに関するいずれかの資料
- 病院等への前払金、預託金等の支払済み証明書
- 民間医療保険の加入証書と約款の写し
- 加入する医療保険による支払いが立証できるもの
- 預金残高証明書
- スポンサーや支援団体等による支払証明
付添人ビザに必要な書類・滞在日程、滞在場所、連絡先、付添い対象者との関係を説明する資料
・滞在に必要な一切の経費が支払えることを証明する資料

医療滞在ビザの申請は、医療行為を受ける外国人本人が行う必要はなく、代理人によって申請することも可能です。
ただし、申請代理人となれる人は限定されているため、事前に確認しなければなりません。

医療行為を受ける外国人の医療滞在ビザの申請では、以下の人が申請代理人となれます。

  • 申請人が入院する病院の職員
  • 日本に居住する申請人の親族
  • 申請人の付添人(この場合、在留資格変更許可申請や在留資格更新許可申請に限定)

付添人が医療滞在ビザを申請する場合には、以下の人が申請代理人として認められます。

  • 付添対象の医療行為を受ける外国人
  • 医療行為を受ける外国人が入院する病院の職員
  • 日本に居住する申請人の親族

    これらの条件を満たす方が代理人として申請手続きを行うことが可能です。

医療滞在ビザを取得する際には、いくつか気を付けなければならない点があります。

まず、医療滞在ビザで滞在する外国人とその付添人は、日本の国民健康保険に加入することができません。
国民健康保険は「市町村または特別区の区域内に住所を有する者」を対象としていますが、医療滞在ビザを持つ外国人はその対象外とされています。

この制限の根拠は、国民健康保険法および国民健康保険法施行規則に明記されています。
具体的には、国民健康保険法第6条第11号で、厚生労働省令で定める者を被保険者としないことが規定されています。

その厚生労働省令が定める者の中に、医療滞在ビザを持つ外国人が含まれています。
このため、医療滞在ビザで日本に滞在する場合、病院や診療所での治療費や入院費は全額支払わなければなりません。

医療滞在ビザを取得する外国人は、医療費が全額自己負担になることを十分に理解しておく必要があります。
日本の医療費は高額になることがあり、予想以上の費用がかかる場合があるからです。
 
そのため、ビザを取得する前に、医療費を含む滞在中の費用に対する支払い能力を確認し、十分な資金を準備しておくことが重要です。

今回は、医療滞在ビザについて解説しました。

医療滞在ビザは、日本の病院に入院して医療行為を受ける場合に交付される在留資格です。
このビザでは、入院中だけでなく、入院前後に継続して医療行為を受ける活動も認められています。

医療滞在ビザの申請には、91日以上の滞在や入院を伴う医療行為など、いくつかの要件を満たす必要があります。
申請前に、これらの要件をしっかりと確認することが重要です。
 
サポート行政書士法人では、特定活動ビザに関するサポートをしています。
外国語対応も可能ですので、ビザ取得についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。