定住者ビザ

日本人と離婚した場合の定住者ビザとは

日本人と離婚したらビザはどうなるの?

日本人と結婚して「日本人の配偶者等」ビザを持っていた方が、日本人と離婚した際に、ビザをどうすべきかという問題が生じます。

離婚後は「日本人の配偶者等」ビザのままでは日本に滞在できません。
「日本人の配偶者等」ビザを持つ外国人が日本人と離婚した場合、基本的には日本に滞在する理由がなくなるため、帰国が必要となります。

ただし、日本人と結婚していた外国人の中には、離婚後も日本に住み続けたい方が多いようです。
「日本人の配偶者等」ビザを持つ外国人が離婚した場合は、離婚後、速やかに在留資格の変更申請を行う必要があります。
たとえ在留期間が残っていたとしても、そのまま日本に滞在することはできません。
明確な期限は設定されていませんが、正当な理由なく在留資格の変更手続きを行わない場合、在留資格取消しの対象となる可能性があります。
 
離婚後も日本に住み続けたい場合、多くのケースでは「定住者ビザ」に変更します。
この定住者ビザは、特別な理由を考慮して居住を認めるべき外国人のために設けられたビザになります。

その中でも、日本人や日本の永住者と離婚したあとも、引き続き在留を希望する外国人に関係するビザを、一般的に離婚定住ビザと呼びます。

離婚した場合、「日本人の配偶者等」ビザのままでは日本に滞在できません。
外国人が日本人と離婚した場合、以下のいずれかの方法を取ることになります。

⑴ 永住者と再婚する場合

「永住者の配偶者等のビザ」への在留資格変更許可申請

⑵ 就労ビザを持つ外国人と再婚する場合

「家族滞在ビザ」への在留資格変更許可申請

⑶ 日本人と再婚する場合

「日本人の配偶者等のビザ」の在留期間更新許可申請※更新申請ですが、審査内容は新規申請と同様です。

⑷ 企業に就職する場合

「技術・人文知識・国際業務ビザ」への在留資格変更許可申請

※専門学校以上の学歴が必要で、ホワイトカラーの職種に限られます。
 肉体労働系の仕事では「技術・人文知識・国際業務」ビザは取得できません。

⑸ 会社を設立して代表になる場合

「経営・管理ビザ」への在留資格変更許可申請

※資金面やビジネスの実施の確実性など、ハードルが高いです。

定住者ビザを選択する場合が多い

上記のいずれにも該当しない場合は、「定住者ビザ」への変更を検討します。

「日本人との結婚生活が長く、日本に生活基盤がある」
「母国に家族がいないため、帰国しても生活が成り立たない」
「離婚に際して子供を引き取ったため、日本で育てたい」

といった理由から、実際には多くの外国人が、日本人と離婚後も定住者ビザへの変更を希望しています。
「日本人の配偶者等」から「定住者」へ在留資格を変更することで、引き続き日本での生活を続けることが可能になります。

定住者ビザで在留していた外国人が一時的に出国し、再入国許可を受けて日本に戻ることは可能です。
ただし、長期間日本を離れた場合や再入国許可の有効期限を過ぎた場合は、新たに在留資格認定証明書の交付を受ける必要があります。

就労ビザは取得が難しい

就労ビザとは、日本で働くために必要なビザであり、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格が該当します。
離婚後も就労を続ける場合、「日本人の配偶者等」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザ等への変更申請が可能です。

ただし、就労ビザは離婚したからといって誰でも申請できるわけではありません。
学歴や職務内容、給与条件など、以下の要件をすべて満たしていることが必要です。

  • いわゆるホワイトカラーの職種に就いていること
  • 日本人従業員と同等以上の給与で契約を結んでいること

なお、就労ビザの要件は職種によって異なります。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、大学卒業または10年以上の実務経験が必要ですが、他の在留資格では異なる要件が設定されています。

また、離婚した配偶者は就労ビザの要件に該当しないことが多いため、取得が難しい傾向にあります。

配偶者ビザから離婚定住ビザへの変更申請には、5つの要件があります。
離婚定住ビザは、入管局での厳しい審査を経て許可が決定されるため、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。

1年以上の婚姻期間の証明

最初の条件は、婚姻期間が1年以上継続していることです。
離婚に至るまでに、一般的な夫婦生活を1年以上送っていることが求められます。

この審査項目では、「客観的に見て正常な婚姻関係・家庭生活」を証明するために、原則として同居していた事実が認められなければなりません。
別居期間があった場合でも、夫婦間の相互扶助が認められれば、1年の婚姻期間として認められることがあります。

また、夫婦の間に子どもがいて、離婚した外国人配偶者が日本人の子どもの親権を持ち、養育していく場合は、婚姻期間が1年未満であっても定住者ビザへの変更が許可されやすくなります。

この申請は一般に「日本人の実子扶養定住」と呼ばれています。

安定した収入の見込み

離婚後も日本で安定して生活できる収入や資力が求められます。
収入の具体的な金額の目安は公式には示されていませんが、申請者が自立した生活を送れることを示す必要があります。

勤務形態に特別な制限はありませんが、正社員として勤務していることが望ましいです。
婚姻中から企業に在籍している場合、離婚後もその企業での勤務を続けることが可能です。

専業主婦・主夫の場合の対処法

離婚時に専業主婦や主夫であった場合は、速やかに就職活動を行い、雇用契約を結ぶ必要があります。
変更申請時には、雇用契約書などの資料を添付し、就労の意思や将来的な自立能力を主張・立証します。

定住者ビザには就労制限がないため、業種の選択は自由です。
そのため、単純労働に該当する仕事でも問題ありません。

基本的な日本語能力

  • 日常生活に支障がない
  • 通常の社会生活を送る上で困難がない

これらの2点が重要なポイントとなります。
日本語能力を証明する資料として、日本語能力試験(JLPT)の結果、日本語教育機関での学習証明書、その他の日本語学習歴を示す資料の提出が求められます。

在留を希望する合理的理由

配偶者ビザは本来、「日本人の配偶者」という身分に基づいて付与されるものです。
そのため、離婚によって身分が消滅すると、帰国が求められることになります。

多くのケースでは、「日本で引き続き生活を送りたい」「母国に帰国したくない」という理由でしょう。
しかし、こうした理由だけを記述するのは避けるべきです。

以下のような内容を具体的かつ論理的に記載し、申請理由書の中で、申請者(在留を希望する外国人)が日本に定着していることをアピールすることが重要です。

  • 離婚に至るまでの経緯
  • これまでの在留歴
  • 現在の生活状況
  • 勤務先との契約内容や収入
  • 身元保証人がいれば、その人との関係

また、家庭内暴力(DV)や子どもの養育に関する問題がある場合は、それらの詳細も記載しましょう。

公的義務の履行

公的義務とは、法律違反の有無や納税状況などを指します。
税金の滞納や交通違反が過去にある場合、在留状況が不良と評価され、離婚定住ビザの申請において不利になります。

また、現行の法律では、離婚して14日以内に出入国在留管理局への届け出が必要です(入管法第19条の16)。
この期限を過ぎると、届出義務違反となります。

日本での生活が必要である理由や状況の説明、そして生計(収入)をどう維持するかについての証明をしっかりと行う必要があります。
離婚定住者ビザは、申請すれば必ず許可されるわけではなく、個々の事情に基づいて審査されます。

離婚後に「定住者ビザ」へ変更し、日本に残りたいと考えている場合は、現在の収入の証明や、今後日本でどのように生活していくのか、そしてなぜ日本に留まりたいのかを、合理的かつ説得力のある理由書にまとめて申請しなければなりません。

本記事では、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」ビザを持っていた方が、日本人と離婚した際に、「定住者ビザ」に変更するケースについて解説しました。

日本人と離婚した後も日本で生活を続けたいと考える方は、離婚手続きと並行して今後のビザに関する確認もしっかりと行うと良いでしょう。

サポート行政書士法人では、これまで数多くの定住者ビザ申請をサポートしています。
必要書類を揃えるのに苦戦している方も、自分で申請して上手く進んでいない方も、弊社にぜひ一度ご相談ください。