高度永住の申請について
更新日:2024年12月24日
執筆者:ビザ担当 坂本 那紗
永住許可申請をするためには,原則として10年以上日本に在留し,そのうち5年以上は就労資格または居住資格で在留していることが必要です。
しかし,これには例外があって,一定の条件を満たすことができれば最短1年の在留で永住許可申請ができる場合もあります。
このページでは、永住ビザの要件である「在留年数」が大幅に緩和される,高度人材ポイント制度を利用した永住ビザの申請について解説していきます。現在,就労ビザで日本に在留していて,将来的に永住申請を考えている方はぜひ最後までお読みください。
高度人材(高度専門職)とは
高度外国人材とは・・・
「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」であり、
「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とされています。(平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書)
高度人材の活動内容それぞれの特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に「高度人材」であると認められています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
永住ビザの原則的な要件
永住ビザを取得するためには,原則として以下の3つの要件を満たす必要があります。
①素行善良要件
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること
②独立生計要件
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア.原則として引き続き10年以上本邦に在留していること
この期間のうち,就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
イ.罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を履行していること
※納税,公的年金及び公的医療保険の納付に加え,入管法に定める届出等の義務を適正に履行していることが求められます。
ウ.現に有している在留資格について,入管法に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
※当面の間は,在留期間「3年」を有する場合は,「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
エ.公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
高度人材によって緩和される永住申請の要件とは?
上記の原則要件のうち、高度人材として緩和されるのが「③-ア」です。
③ア.原則として引き続き10年以上本邦に在留していること
この期間のうち,就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
永住申請は,原則として10年以上の在留歴が必要とされるところ,高度人材に認定されることで,日本での在留年数が「3年」または「1年」で永住申請できることになります。
どちらになるかは,高度人材ポイントの点数で決まります。
- ポイント計算した点数が70点以上~80点未満 ⇒ 日本に在留3年で申請可能
- ポイント計算した点数が80点以上 ⇒ 日本に在留1年で申請可能
永住ビザ申請でのポイント計算は「申請時点」と「過去時点」の2つが必要
高度人材として永住申請をする場合は,申請時点だけでなく過去時点でのポイント計算も必要になります。
申請時点のポイントが合計80点以上の場合
⇒「1年前」の時点でポイント計算して,現在まで合計80点以上をキープしていることが必要です。
これを満たせば、最短の在留1年で永住申請が可能です。
申請時点のポイントが合計70点以上の場合
⇒「3年前」時点でポイント計算して,現在まで合計70点以上をキープしていることが必要です。
これを満たせば、在留3年で永住申請が可能です。
スタディケースを見てみましょう。
【ケース1】
申請時点「80点」
申請時点から1年前「75点」
申請時点から3年前「70点」
このケースは、申請時点では80点ありますが、1年前が80点に満たないので、
3年間70点以上のパターンとして、永住申請が可能です。
【ケース2】
申請時点「80点」
申請時点から1年前「90点」
このケースは、申請時点で1年前より点数は下がっていますが、80点以上になりますので、最短の在留1年で永住申請が可能です。
【ケース3】
申請時点「80点」
申請時点から1年前「75点」
申請時点から3年前「65点」
このケースは、申請時点では80点を越えますが、それ以外の点数が要件を満たしていないため、現時点では永住申請はできません。
【ケース4】
申請時点「70点」
申請時点から1年前「65点」
申請時点から3年前「70点」
このケースは、申請時点も申請時点から3年前も70点以上は満たしますが、申請時点から1年前に65点となってしまい、70点以上をキープできておらず、永住申請ができません。
高度専門職ビザに変えないと永住申請できない?
現在、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)をお持ちの方は、「じゃあ、一回高度専門職のビザに変更しないと!」と思われたかもしれません。 高度専門職ビザをお持ちでなくても、高度人材ポイントを有していれば、高度人材としては認められ、ビザの種類を変更しなくてもポイント制度を利用した永住申請が可能です!
ここまででお伝えした通り、高度人材として認められると永住申請に対しては非常に優遇される形になります。
ただし、高度人材として認められるにはポイントの計算が非常に重要です。 自分での計算だけでなく、専門家と一緒に計算し、間違いのないポイントを把握し、自分が永住申請できる時期を確認しましょう!