家族滞在ビザ

両親と日本で暮らしたい時

更新日:2025年1月29日


まず、現在の入国管理法では、海外在住の両親を日本に呼びよせて一緒に暮らすためのビザは存在しません。
日本に在留する外国人が海外に住む親を呼び寄せて一緒に生活することは、現行の在留資格制度上、非常に難しいとされています。

在留資格制度の制約

現行の制度では、親を長期間滞在させるための在留資格が明確に定められていないため、特例的な対応が求められます。

日本の財政状況が厳しい

高齢者の増加や社会保障費の増大に伴い、外国人の親を受け入れることによる追加的な負担を懸念する声があります。

生活保護費の増加

特に、外国人の親が日本で生活保護を受ける可能性があり、その財政的負担が問題視されています。

親を呼び寄せる理由の明確化

なぜ日本で一緒に生活する必要があるのか、その理由を明確にし、証拠資料を準備することが求められます。

本国での身寄りの有無

親が本国で他に扶養者がいない場合、呼び寄せの必要性が高まります。

経済的な安定性

日本で親を扶養するための十分な収入や資産があることを証明する必要があります。

在留資格「特定活動」で両親(父母)を呼ぶ

親を長期間日本に滞在させるための明確な在留資格は存在しません。
ただし、一定の条件下であれば、認められるケースもあります。

親の呼び寄せを希望する場合、まずは特定活動ビザの取得を検討することになります。
特定活動ビザとは、法務大臣の裁量によって、特に指定する活動に関して認められるビザです。

一般的な在留資格(留学、就労、定住者など)では、親を呼び寄せることは基本的に認められていません。
しかし、人道的な理由や特別な事情がある場合、例外的に特定活動ビザが許可されることがあります。
例えば、親が高齢であり、本国に他に身寄りがいない場合などが該当します。
ただし、これらの申請は非常に難易度が高く、個別の状況に応じて慎重に審査されます。
 
具体的には、以下のような目安を満たすことで、人道的な措置として許可される場合もあります。

  • 親の年齢が70歳以上であること
  • 親の面倒をみてくれる親族が本国にいないこと
  • 日本側に親を扶養できるだけの経済力があること
  • 親が本国で1人で暮らしていること
  • 「扶養」が目的で親を日本に呼ぶこと
  • 扶養者(日本側)が日本在住であること

この許可は、正式に認められているわけではなく、人道的にイレギュラーに認められる措置です。
上記の要件を満たせば許可になるか、というとそうではなく、あくまで目安とされているもので、明確な許可基準がありませんので、非常に難しい申請になります。

呼び寄せる方が「高度人材」として認められること

2012年7月に新在留制度が施行され、新たに「高度人材」という制度が設けられました。

特定活動ビザの一つに、「高度専門職外国人またはその配偶者の親」を対象としたものがあります。
このビザは、高度専門職外国人またはその配偶者の7歳未満の子供の養育や、妊娠中の配偶者の支援を目的として、親の入国・在留を認めるものです。
ただし、申請には高度専門職外国人の世帯年収をはじめとした厳格な要件が定められています。

この高度人材と認められ、「高度人材本人の両親」または「高度人材の配偶者の両親」を日本に呼び寄せる事が認められます。

具体的な要件は以下の通りです。

  • 申請人の入国時点において、高度人材の世帯年収が申請時点で800万円以上あること 
  • 高度人材と同居すること 高度人材またはその配偶者のいずれかの親に限ること
  • 妊娠中の介助又は7歳未満の子を養育を行おうとするものであること 

認められる活動

「特定活動」で扶養を受ける方(親)が日本国内で認められる活動は、日常的な活動のみです。
日本で扶養を受けるための在留資格(ビザ)ですから、収入を伴うような活動は「日常的な活動」に当てはまりませんので、ご注意ください。

認められる在留期間

1年以内という範囲において、在留資格が与えられ、個々の案件に応じて法務大臣(入国管理局)が定めます。
なお、このビザは更新が可能です。

以下のQ&Aは一般的な情報であり、個々の状況によって異なる場合があります。
具体的なケースについては弊社にお問い合わせください。

親を日本に呼び寄せる際の申請手続きに必要な書類は何ですか?

親を日本に呼び寄せるための在留資格を申請する際には、以下の書類が一般的に必要とされます。
ただし、具体的な必要書類は、申請する在留資格の種類や個々の状況によって異なるため、事前に出入国在留管理庁や専門家に相談することをお勧めします。

  • 申請書(在留資格認定証明書交付申請書など)
  • 申請人(親)のパスポートの写し
  • 扶養者(日本在住の子)の在職証明書
  • 扶養者の収入を証明する書類(住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書など)
  • 親子関係を証明する書類(出生証明書、戸籍謄本など)
  • 親が本国で扶養者と同居し、扶養を受けていたことを証明する書類

日本で永住権を取得すれば、母を日本に呼び寄せて一緒に暮らすことは容易になりますか?

日本で永住権を取得しても、親を日本に呼び寄せて長期間一緒に暮らすことは依然として難しいとされています。
現行の在留資格制度では、親を長期間滞在させるための明確な在留資格が存在しないため、特定活動ビザなどの取得を検討する必要があります。
しかし、これらのビザの取得には厳格な要件があり、申請が許可されるかどうかは個別の状況によります。

留学生が卒業後に就労ビザへ切り替える際、母を日本に呼び寄せることは可能ですか?

留学生が卒業後に就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)へ切り替えた場合でも、親を日本に呼び寄せて長期間滞在させることは難しいとされています。
家族滞在ビザは配偶者や子供を対象としており、親は対象外となります。
親を呼び寄せるためには、特定活動ビザの取得を検討する必要がありますが、申請には厳格な要件があり、許可されるかどうかは個別の状況によります。

日本人と離婚した場合、母を日本に呼び寄せることは可能ですか?

日本人と離婚した後でも、親を日本に呼び寄せることは基本的に難しいとされています。
親を長期間日本に滞在させるための明確な在留資格が存在しないため、特定活動ビザの取得を検討する必要があります。
しかし、これらのビザの取得には厳格な要件があり、申請が許可されるかどうかは個別の状況によります。

日本での養子縁組を通じて、親を日本に呼び寄せることは可能ですか?

日本での養子縁組を通じて親を日本に呼び寄せることは、法律上および在留資格の観点から非常に複雑であり、一般的には難しいとされています。
養子縁組によって直ちに在留資格が付与されるわけではなく、個別の状況に応じて慎重な審査が行われます。
そのため、専門家に相談し、適切な手続きを検討することをお勧めします。