家族滞在ビザとは?申請・更新の条件や必要書類を解説
更新日:2024年12月20日
◆もくじ◆
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザとは、日本で在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子が、日本で生活するために取得する在留資格です。
この在留資格は、中長期にわたって日本に滞在する外国人の家族を対象としており、短期滞在ビザでの滞在者の家族には適用されません。
具体的には、在留外国人が扶養する配偶者や子が該当します。
家族滞在ビザを取得するためには、申請者と扶養者との身分関係を証明する文書(例:結婚証明書、出生証明書)や、扶養者の職業および収入を証明する文書(例:在職証明書、住民税の課税証明書)など、必要な書類を準備し、申請手続きを行う必要があります。
また、家族滞在ビザの在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となります。
在留期間の更新を希望する場合は、在留期間更新許可申請を行い、必要な書類を提出する必要があります。
家族滞在ビザで在留中の方が日本国内で就労を希望する場合、一般的に就労は認められていませんが、「資格外活動許可」を申請し、許可を得ることで、週28時間以内の就労が可能となります。
ただし、資格外活動許可を得ずに就労した場合、不法就労とみなされる可能性があります。
より長時間の就労を希望する場合は、就労可能な在留資格への変更が必要となります。
在留資格に該当するもの
以下の在留資格が、外国人の家族が家族滞在ビザを認められる条件となります。
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 投資・経営
- 法律・会計事業
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術
- 外交
- 公用
- 技能
- 企業内転勤
在留資格に該当しないもの
- 就学
- 研修
- 短期滞在
なお、配偶者や子以外の血縁者(たとえば親や兄弟姉妹など)は、基本的に家族滞在ビザの資格対象外となっていますが、特別な事情があると判断された場合は認められることもあります。
家族滞在ビザに該当する人の条件
配偶者
家族滞在ビザを取得できるのは実際に婚姻している人であり、離婚していたり、内縁関係では取得できません。
ただし、扶養者は夫婦どちらでも構いません。
子
実子・養子・認知された子のいずれかで、かつ、未成年者である者が、家族滞在ビザを取得することができます。
ただし成年者でも扶養を受けている場合は、子と認められることがあります。
配偶者の連れ子の場合、家族滞在ビザを取得するには、養子縁組が必要となります。
なお、配偶者も子も、一定以上の収入を得るようになると、家族滞在ビザではなく、別のビザを取得する必要があります。
家族滞在ビザの申請のポイント
主たる生計者(呼び寄せる方を扶養する方)が家族を養えるか
留学生の場合、経費支弁者からの定期的な送金(親からの送金など)が有ることが確認されます。
アルバイトの給料は基本的に生活費の内計として計算されません。
会社員などの就労認定資格を持っている人については、安定した生活を送るに足りる年収があり、住民税を税税していることが確認されます。
これに加え、証明書の提出も求められることがあります。
たとえば、認められた資格外活動許可に基づき仕事をしている場合、その活動が許可の範囲内であることを証明するための書類の提出が必要です。
また、持っている就労認定資格が「技術・人文・国際」(いわゆる「技人国」)などの場合は、定められた就労基準を満たしているかどうかが重要な検為ポイントとなります。
結婚や家族の実態があるか
申請者と呼び寄せる方の関係を証明するためには、正式に発行された書類の提出が必要です。
たとえば、結婚公認書、出生証明書などは、入手先の規則に基づき、有効に発行されたものを用意する必要があります。
これらの書類は、両者の関係の真実性を証明するために重要なものとなります。
また、関係に関する不安を解消するために、歴代のメール交換記録や共通の書類の提出も有効です。
なお、入店レシートや共同の写真といった、住民者としての共通の生活の存在を補足するエビデンスの提出も考えられます。
過去の申請と矛盾点がないか
日本に呼び寄せる方のビザ申請書類に問題が無いか、あるいは日本で法令違反が無いかどうかも重要なポイントとなります。
例えば、その人が過去に住所を移したが、その発表が補足されていない場合、申請書類に違いがあると見なされることもあります。
その他、家族渡住ビザの更新時に活用される「書き方」についても、処理の詳細な不足がないかの検討が実施される場合もあります。
家族滞在ビザの外国人の就労は可能?
家族滞在ビザで在留する外国人が就労を希望する場合、資格外活動許可の取得が必要です。
この許可を得ることで、週28時間以内の就労が可能となります。ただし、風俗営業に該当する業務には従事できません。
資格外活動許可には、「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。
包括許可は、週28時間以内の就労で、特定の勤務先や業務内容を定めずに許可されるものです。
一方、個別許可は、包括許可の条件に該当しない場合に、特定の勤務先や業務内容に対して個別に許可されるものです。
家族滞在ビザの所持者が就労を希望する場合、通常は包括許可が適用されます。
しかし、より長時間の就労や特定の職種での就労を希望する場合は、就労可能な在留資格への変更が必要です。
例えば、介護分野での就労を希望する場合、介護ビザへの変更が考えられます。
資格外活動許可の申請手続きや在留資格の変更手続きには、申請書類の正確な記入や必要書類の準備が求められます。
申請の流れを理解し、適切な書き方で書類を作成することが重要です。
手続きに不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
家族滞在ビザでの就労には、年齢制限や活動内容の制限があります。例えば、未成年者の就労には特別な条件が課される場合があります。また、風俗営業に該当する業務には従事できません。
家族滞在ビザの在留期間
家族滞在ビザの在留期間は、5年、4年3ヶ月、4年、3年3ヶ月、3年、2年3ヶ月、2年、1年3ヶ月、1年、6ヶ月、3ヶ月のいずれかです。
ただし、家族滞在ビザで在留する方の在留期間は、扶養者の在留期間と同じです。
そのため、扶養者の在留期間が満了した場合には、 家族滞在ビザを有する方の在留期間も同時に満了することになりますのでご注意下さい。
在留期間の更新
在留資格を有して在留する外国人は、原則付与された在留期間に限って在留できますが、在留期間の更新許可申請をすることにより、在留期間を更新できます。
家族滞在ビザの在留期間が切れる前に、在留期間の更新許可申請を行わなければ不法滞在となりますので、忘れずに申請する必要があります。
通常、この在留期間の更新申請は、在留期間満了の3ヶ月前から申請できます。
弊社では、下記のような方の在留資格の更新の手続きを代行します。
- 現在の在留期間よりも長い期間の在留資格を取得したい方
- 転職をされた後、初めて在留資格の更新をされる方
- 勉強や仕事が忙しく更新手続きの時間がない方
在留期間更新許可申請の方法
在留期間更新許可申請とは、現在与えられている在留資格の期限後も、現在と同一の活動を行うために必要な手続きです。
申請方法は以下の通りです。
申請する時期
在留期間の満了する日以前
許可が出るまでの期間
2週間~3ヶ月
家族滞在ビザの必要書類
家族滞在のビザ申請は「在留資格認定証明交付申請」、「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」によって、必要書類が違います。
※下記の書類は一例となります。お客様の状況に応じて、必要な書類が増える可能性がありますのでご注意ください。
在留資格認定証明交付申請
<申請人に関する書類>
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(4cm×3cm)
- 申請人と扶養者との身分関係を証明する資料
<扶養者に関する書類>
- 在留カードのコピー
- 住民税課税証明書
- 住民税納税証明書
<扶養者の勤務先に関する書類>
- 在職証明書又は営業許可証
<その他の書類>
- 返信用封筒(404円切手貼付)
在留資格変更許可申請
<申請人に関する書類>
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 申請人と扶養者との身分関係を証明する資料
<扶養者に関する書類>
- 在留カードのコピー
- 住民税課税証明書
- 住民税納税証明書
<扶養者の勤務先に関する書類>
- 在職証明書又は営業許可証
在留期間更新許可申請
<申請人に関する書類>
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 申請人と扶養者との身分関係を証明する資料
<扶養者に関する書類>
- 在留カードのコピー
- 住民税課税証明書
- 住民税納税証明書
<扶養者の勤務先に関する書類>
- 在職証明書又は営業許可証
上記は必要最低限の書類であり、これらの書類全てを提出しても、入国管理局で更に追加書類の提出を求められたり、書類不足で不許可になってしまう場合もありえます。
家族滞在ビザ取得に必要な書類は個々人のケースにより異なり、許可を得るために必要な事項は、申請者の側で立証しなければなりません。
企業にとってのメリット
家族を日本に呼び寄せることが可能となれば、家族の事情で外国人社員が退職するリスクが軽減されます。
外国人社員の中には「家族と一緒に生活したい」と強く願う方が多くいます。
そのため、家族が母国にいる場合、一定期間勤務した後に帰国を希望し離職するケースも少なくありません。
企業が外国人社員の家族を呼び寄せるためのサポートを行うことで、家族の都合による離職を防ぐことができ、結果的に社員が企業に長く定着する可能性が高まります。
安定した雇用を目指す企業にとって、このような取り組みは大きなメリットとなります。
特に、長期的な雇用を見据えている場合は、家族滞在ビザの活用について十分に理解しておくことが重要です。
企業が外国人社員を雇用する際のポイント
家族滞在ビザで日本に滞在している外国人を採用する場合、企業は以下の点に注意を払う必要があります。
まずは在留カードの確認を
雇用にあたっては、不法就労を避けるため、在留資格の確認が極めて重要です。
在留カードが正規のものであり、本人のものであるかをチェックする必要があります。
偽造カードの可能性を排除するためにも細心の注意を払いましょう。
在留資格が「家族滞在」であること、在留期限が有効であることも確認が必要です。
また、「家族滞在」の資格では、週28時間までしか就労できない制限があることを理解しておくべきです。
特に、キャバレーやスナックといった風俗関係の業種では就労が認められていません。
不適切な雇用を行うと、不法就労助長罪に問われる可能性があり、企業も厳しい処罰を受けることになります。
これは雇用主にとっても、外国人社員にとっても大きなリスクとなります。
注意を怠らず、適切な範囲内で雇用を行うことが必要です。
家族滞在への該当性も要確認
家族滞在ビザが認められるケースは、特定の在留資格を有する外国人に限られます。
具体的には、「在留資格に該当するもの」で触れた在留資格を持つ外国人が扶養する配偶者または子供が対象となります。
離婚した場合
家族滞在ビザは、扶養されていることを条件として発給されるため、離婚した場合はこの条件を満たさなくなります。
その結果、家族滞在ビザのままでは日本に滞在することができなくなります。
離婚後も引き続き日本に滞在を希望する場合は、就労可能な在留資格などへ変更する手続きを行う必要があります。
適切な在留資格を取得することで、引き続き日本での生活を続けることが可能となります。
就業時間を増やしたい場合
家族滞在ビザでは、週28時間以内の就労が原則となっています。
この制限を超える就労を希望する場合、就労可能な在留資格への変更が必要です。
具体的には、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格に切り替える手続きを行うことになります。
この手続きには、在留資格変更許可申請が求められます。
必要書類としては、在留資格変更許可申請書や雇用先の会社に関する書類、そして日本での活動内容を証明する資料などが挙げられます。
よくあるご質問
家族滞在ビザを持っている人は日本で仕事ができますか?
家族滞在資格者は日本で生活することは認められていますが、仕事をすることは認められていません。
このため、仕事をする前に資格外活動許可を取る必要があります。
資格外活動許可では週28時間の勤務が認められますが、職種には制限がありますのでご注意ください。
家族滞在ビザで両親を日本に呼ぶことは出来ますか?
残念ながら、家族滞在ビザの資格対象は、日本の在留資格を持っている方の配偶者または子のみです。
どうしても両親を日本に呼ぶ必要がある場合は、特定活動ビザの申請か、また、呼び寄せる方が高度人材として認められる事が必要です。
扶養者の収入が少なくても家族滞在ビザの申請はできますか?
家族滞在ビザの申請にあたり、扶養者の収入状況が確認されます。
収入の安定性や納税状況も判断基準となりますが、扶養者の収入が少額であっても、申請は可能です。
家族滞在ビザの更新で注意することは何ですか?
在留期間は基本的に主たる生計者の有効期間に合わせてあります。
更新申請は在留期限の3ヶ月前から受け付けられます。
不許可となっても、問題点を修正して再申請すれば、更新許可されることもありますので、早めに更新されることをおすすめします。
家族滞在ビザで滞在する子どもに本国で教育を受けさせたいと思います。
この場合、家族滞在ビザは更新されますか?
日本に中長期的滞在をする前提で家族滞在ビザが出ているので、本国で教育を受けるために出国すると、更新は難しくなります。
審査には、どのくらい時間がかかりますか?
審査は申請順に行われ、通常1~3ヶ月かかります。
ただし追加書類の指示があれば、3ヶ月を越えることもあります。
一度申請で不許可になった場合、再び申請できますか?
申請は何度でもチャレンジすることができますので、あきらめずに再申請することをお勧めします。
過去に不許可になられたということですが、法務局から不許可を通知された際に、その理由が記載されていると思います。
申請が許可されるためには、記載されている不許可理由をしっかりとクリアすることが必要です。
弊社でサポートした事例集
◆事例1◆
オーバーステイの経歴があるが、家族滞在ビザを取得できる?
・中国人女性(30代)からのご相談。
・中国人の夫は以前オーバーステイで出国命令が出て帰国した。
・夫は現在中国で生活している。
・夫は出国して5年は経過している。
・なんとか日本で一緒に暮らしたいと思い、相談来社された。
出国命令での出国となった場合、1年間の上陸禁止期間があります。 今回の場合は、出国して既に5年経っているので、十分可能性があると最初の面談で伝えました。
しかし、法律違反の前歴は消えることはないので、「日本に再上陸しても問題ないことを立証する」ことが今回の申請のポイントです。
そのために下記の3点を丁寧に説明しました。
・オーバーステイになった理由
・出頭までの生活と心境
・本国での生活とこれまでの総括・反省の状況
そして、結果、無事に許可がおりました。
後日談ですが、このご夫婦は要件を満たして間もなく永住申請も当社にご依頼され、 今書類を作成している最中です。
ビザに関する知識があまりなく、夫は永遠に日本に入国できないと思いました。
聞くだけ聞いてみようという気持ちで電話してみましたが、担当者の対応が良く、ビザが下りる可能性がある根拠を分かりやすく説明してもらいました。
それで依頼すると決めました。無事許可もおり、依頼して良かったです。
◆事例2◆
留学生同士の結婚で、留学生ビザから家族滞在ビザへ変更できる?
・中国人女性(20代)からのご相談。
・留学ビザで滞在中に知り合った留学生と大学在籍中に結婚。
・自分は今春卒業することになった。
・夫は大学在学中(新年度で4回生)。
・日本で夫と一緒に生活するために家族滞在ビザに変更したい。
下記の3つを確認した上で、申請書類を作成しました。
・生活費を負担する配偶者の、入国からの現在までの生活費の状況
・アルバイトの時間が 資格外活動許可の範囲内であること
・結婚の経緯と家族との関係
既に日本にいる留学生の申請の場合は在留状況を審査することになっていますので、生活の実績を見てもらえる有利なところがある反面、 違反事項があれば厳しい審査になるので、問題ない夫婦でしたが、審査結果が出るまでは、ルールを守ることをお願いしていました。
生活費について一度で多額の振込があったので、その使用状況を確認する追加書類の 指示を受け、時間がかかりましたが無事に許可されました。
審査にあたって、これまでの申請書類や生活費の受け取り状況まで確認されると聞いてビックリしました。
両親が今回のビザ変更にあたって一括でお金を送ってくれたのですが、これがマイナスポイントになることも教えてもらえて、その他今後の生活に役立つことを教えてくれました。
審査中の生活状況も審査に影響があるとのアドバイスから許可の連絡を頂くまでおとなしく生活しましたが、その甲斐もありました。
◆事例3◆
資格外活動の労働時間オーバーで、更新不許可になった。
・家族滞在ビザの中国人男性(40代)からのご相談。
・中国人の妻は就労ビザで滞在中。
・資格外活動許可で許可されている時間を超えてアルバイト活動していた。
・自分で家族滞在ビザ更新を申請したけど不許可になった。
・再申請は専門家に依頼しようと思っている。
不許可となった理由は、資格外活動許可で許可されている時間を超えて働いていたことです。
今回のようなケースの場合、本人の反省文だけではこのことを立証するには不足しており、下記の2点を客観的に分かりやすく示すことが重要です。
・再申請の際は労働時間を超えた理由や再発防止策
・今後の改善案
雇用先にも協力を得てヒアリングを行い、どうして労働時間を超えてしまったのか、今後の再発を防ぐためにどのような対策を練るのか、をしっかりと書面で示すことにより、再申請で許可になりました。
不許可の通知に本国へ帰国しないといけないと考えましたが、不許可の理由を直せば再申請ができるので、頑張りましょうと言われて安心したのを覚えています。
これからは、ちゃんとルールを守って生活します。ありがとうございました!
◆事例4◆
今、日本に留学していて、中国から妻を呼び寄せたい。
・中国人男性(20代)からのご相談。
・現在、留学ビザで日本に滞在中。
・来年春に大学院に進学予定。
・中国にいる妻を呼び寄せ、長期的に日本で一緒に暮らしたい。
よく誤解されますが、留学生の配偶者は、「家族滞在ビザ」が必要です。
今回の申請のポイントは、生計(収入と生活費のバランス)をいかに証明するかという部分です。
今回のように手渡しでのお金の受け渡しは、生活費を渡されている証拠となりません。振込の証明が少ないため通常通りの書類で申請すると、不許可になる可能性が高くなります。
そこで、親族の方と直接やり取りをさせていただくことで、生活費の受け取り状況の実態を確認し、より有効な証明となるよう、追加で書類を提出することにしました。
また、夫の身元保証人が本国のご両親でなく日本にいるご親族という事でしたので、この事情を申請理由書にて丁寧に説明することで、許可となりました。
留学生の家族滞在ビザは難しいと聞いていましたし、周りでも不許可になっているのを見ていましたので、不安でした。
申請理由書を私が説明しようと思っていた以上のことを書いてくれたので、さすがプロだと感じました。 無事に妻も日本に来ましたので、安心して勉強を頑張っています。