配偶者ビザ(日本人・永住者の配偶者等)

技能実習ビザから配偶者ビザに変更できるケースやその注意点を解説

国際結婚においては、個々の事情や保有しているビザの種類によって、出入国在留管理局への手続きが異なります。
それぞれの状況に応じた手続きを行わなければなりません。

本記事では、特に難しいとされる「技能実習ビザ」から「配偶者ビザ」への変更について説明します。

技能実習ビザから配偶者ビザへの在留資格変更は、技能実習制度の目的に反するため、原則として認められていません。

技能実習制度の目的は、「発展途上国からの外国人が日本の技術や知識を習得し、母国の発展に寄与すること」とされています。

技能実習生は、日本での在留期間を終えた後に帰国し、日本で学んだ技術を活かして母国で働くことが前提です。
したがって、技能実習から配偶者ビザへの変更は、技能実習生としての日本での活動のルールに反するため、出入国在留管理局の審査では認められにくいのが現状です。

「技能実習ビザから配偶者ビザへの変更が絶対に不可能」というわけではありません。
技能実習生は、実習期間を終えて一度母国に帰国し、一定期間を経た後、改めて配偶者ビザの申請手続きを行うことが可能です。

技能実習を修了後、一度帰国してから取得するケース

技能実習制度では、1号から3号までの継続を経て、最長5年間の在留期間が認められています。
通常、技能実習生は実習期間が終了すると、母国へ帰国するのが一般的な手順です。

配偶者ビザを取得したい場合には、実習期間終了後に一度帰国し、その後「在留資格認定証明書」を申請してから「配偶者ビザ」の手続きを進めるのが良いでしょう。

また、一時帰国後に再び日本に入国する際には、短期滞在ビザで入国し、その後に「配偶者ビザ」へ変更する手続きも可能です。

各機関・団体の同意書があることで認められるケース

技能実習制度では、技能実習生の監理・指導を行う「監理団体」が重要な役割を果たしています。
技能実習生が実習を目的とした活動に専念できるよう、監理団体によっては結婚を禁止していることもあります。

しかし、結婚を希望する技能実習生が監理団体や実習実施企業、送り出し機関から同意書を得られた場合は、出入国在留管理庁へ提出することで配偶者ビザへの変更ができる可能性もあります。

人道的な理由による配慮が得られるケース

技能実習生の配偶者が妊娠している、またはすでに子どもが生まれているといった状況では、人道的な観点から、技能実習ビザから配偶者ビザへの変更が認められることがあります。

ただし、この場合でも監理団体や実習実施企業から「結婚許可の承諾書」を得ることが必要です。
技能実習生が配偶者ビザへの変更を行うためには、監理団体が結婚を認めたことを公式に書面で証明しなければなりません。

監理団体が実習生に対する指導の範囲がビザ変更の可否に影響をするため、注意しましょう。

元技能実習生が配偶者ビザを取得する際に留意すべきポイントについて説明します。

①帰国後の再入国でも通常より審査が厳しい場合がある

技能実習生がビザを変更する理由には、個々の事情がさまざま存在します。
ビザの変更は、出入国管理及び難民認定法第20条に基づき、一定の条件下で申請が認められていますが、技能実習ビザから配偶者ビザへの変更は、他のビザ変更と比べて審査が厳しい傾向にあります。

②帰国直後の申請は審査が厳しくなる可能性が高い

技能実習生が実習を終えて帰国し、その後3年以上経過してから配偶者ビザを申請する場合、審査は比較的スムーズに進むことが多いです。

しかし、実習修了後すぐに配偶者ビザの申請を行うと、実習の目的が十分に果たされていないと見なされることや、偽装結婚の疑いが持たれる可能性があり、審査が通常より厳しくなることがあります。

③技能実習中の活動内容が審査に影響を与える

技能実習を終えた元実習生が配偶者ビザに変更する際、実習期間中の評価も審査されます。
実習中に問題行動がなく、途中で辞退することなく良好に実習を修了した場合、他の在留資格での日本入国も問題ないと判断されやすいでしょう。

まずは技能実習生としての義務をきちんと果たし、その後でビザ申請手続きを行うことが、スムーズに進めるためのポイントです。

技能実習ビザから配偶者ビザへの変更手続きについて、一般的な流れを説明します。
通常の手続きの流れは以下の通りです。

①実習を修了後、一度母国へ帰国する
②すぐには手続きを行わず、一定期間(約3年が理想)を母国で過ごす
③配偶者ビザのための「在留資格認定証明書」を申請する
④「在留資格認定証明書」が交付される
⑤再度日本に入国し、配偶者ビザを取得する

 
技能実習を修了後、一度母国へ帰国することが、配偶者ビザを取得しやすい最適な方法です。

ただし、何らかの理由で帰国が難しい場合や、実習中にビザの変更を希望する場合には、監理団体および実習先企業に結婚の報告を行い、以下の書類を準備して出入国在留管理庁に提出する必要があります。

  • 日本人配偶者の両親や親族、友人からの嘆願書
  • 技能実習先の同僚からの嘆願書
  • 近隣住民からの嘆願書
  • 技能実習先の上司からの承諾書
  • 監理団体からの承諾書 など

なお、実習期間中に配偶者ビザへの変更を行う場合、関係者からの同意を文書で得る必要があります。
この手続きは、審査が厳しいだけでなく、申請の準備自体もハードルが高くなります。

技能実習生が実習中に結婚し、配偶者ビザに変更することは認められていません。
技能実習期間を終えて一度帰国し、その後に配偶者ビザを申請するのが一般的な方法です。

ただし、特別な事情がある場合には、監理団体と実習先企業からの承諾と書面を得ることで、変更が認められる可能性があります。

ビザの変更については、個々の状況に応じた対応が求められます。
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