配偶者ビザ(日本人・永住者の配偶者等)

配偶者ビザ申請は自分でもできる?申請方法や注意点を解説

更新日:2024年8月21日


日本人と結婚した外国人が日本で生活するために必要な「配偶者ビザ」は、専門家に依頼せず、自分で申請することももちろん可能です。

本記事では、配偶者ビザを自分で申請する場合の具体的な方法やその注意点について解説します。

配偶者ビザは、日本人と結婚した外国人が日本で生活するために取得するビザです。
正式名称は「日本人の配偶者等」であり、日本人との法的な婚姻関係が必要です。
偽装結婚でないことを証明しなければなりませんが、日本に入国後は就労制限がなく、日本人と同様に働くことができます。

配偶者ビザを申請するパターン

配偶者ビザの申請には以下のようなパターンが考えられます。

①海外在住の配偶者を日本に呼び寄せる場合
この場合、外国人配偶者が日本に入国する前に配偶者ビザを申請します。
ビザがなければ日本に入国できないため、事前の申請が必須です。

②夫婦で海外在住から日本に移住する場合
この場合も同様に、外国人配偶者のビザを新規で取得する必要があります。

③外国人配偶者が既に他のビザで日本に在留している場合
この場合、現在保有しているビザから配偶者ビザへの変更申請を行います。
婚姻が成立し、要件を満たした時点で変更申請が可能です。

配偶者ビザ申請を自分ですると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
一般的には、以下のようなものが考えられます。

費用を抑えられる

配偶者ビザの申請を自分で行う場合、専門家に依頼する費用を節約できます。
行政書士などに依頼すると、書類の収集や作成に関するアドバイスを受けることができますが、その代わりに一定額の報酬が発生します。
自分で手続きを行うことで、この費用を節約できるのが大きな利点です。

手続きの学習機会

自分で配偶者ビザを申請することで、手続きの方法や入管法について学ぶことができます。
ただし、ビザの手続き以外の場面で役に立つことは少なく、また更新機会も頻繁では無いため覚えているのは大変かもしれません。

プライバシーの保持

配偶者ビザの申請には、個人的な情報を提供する必要があります。
行政書士などに依頼する場合、「どのように付き合い始めたか」「その時の心境」「現在の生活」など、プライベートな情報も伝える必要があります。
自分で申請を行うことで、他者にプライベートな情報を明かす必要がなくなるのも一つの利点です。

配偶者ビザを自分で申請する場合、以下のようなデメリットも存在すると考えられます。

手続きに多くの時間と労力がかかる

配偶者ビザを自分で申請する際の主なデメリットは、準備に多くの時間と労力がかかることです。
必要な書類を自分で判断し、役所などに足を運んで証明書を収集する必要があります。
行政書士に依頼すれば、書類の選別や作成、場合によっては収集も代行してくれることが多いです。

許可率が下がる可能性がある

専門知識がない状態で配偶者ビザの申請を行うと、書類にミスや不備が発生することがあります。
一つの小さなミスですぐに不許可になるわけではありませんが、ミスの修正や追加書類の提出が求められることがあります。
ミスが多い場合や審査のポイントを外れた書類を提出すると、不許可になる可能性も上がります。
また、自分で申請を行うと手続きがスムーズに進まないリスクもあります。

少しでも不許可のリスクがある場合は専門家に相談を

配偶者ビザの申請で不許可になる可能性がある場合は、専門家に依頼した方がスムーズです。
特に以下のようなケースでは、配偶者ビザが不許可になりやすいため、注意が必要です。

  • 結婚までの交際期間が短い
  • 夫婦の年齢差が大きい
  • 夫婦の収入が少ない
  • 結婚紹介所での出会いによる結婚
  • 交際の証拠が少ない

これらのケースでは、偽装結婚の可能性が高いと判断されることがあります。
そのほか、過去の入管法違反や素行不良も不許可の要因となります。

配偶者ビザを申請する手順は、配偶者が日本に住んでいるか海外に住んでいるかで異なります。
どちらの場合でも自分で申請可能ですが、ビザ取得までにかかる時間が異なるので注意が必要です。

海外に住んでいる配偶者のビザ申請の場合

STEP1 婚姻届を提出する
配偶者ビザを申請するためには、各国で結婚の手続きを完了させる必要があります。
婚約中だとビザは取得できません。

STEP2 適切なビザを確認する
日本人と海外に住む外国籍配偶者の場合、「日本人の配偶者等」のビザが該当します。
夫婦両方が外国籍の場合は、日本に住んでいる方のビザに応じて申請するビザが異なるので注意してください。

STEP3 必要な書類を確認する
配偶者ビザを取得するために必要な書類を出入国在留管理庁の公式サイトから確認します。

STEP4 書類を準備する
必要な書類を確認したら、日本側と相手国側のそれぞれで必要な書類を集めます。
出入国管理庁の公式サイトから申請書をダウンロードして記入します。

STEP5 日本で申請を行う
日本人配偶者が住んでいる場所に応じて、管轄の出入国在留管理局が異なります。
公式サイトで管轄を確認し、開庁時間内に申請を行います。
混雑が予想されるため、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。

STEP6 在留資格認定証明書を受け取る
ビザの審査が終わると、結果が郵送されます。

STEP7 海外に住む配偶者が大使館で手続きを行う
認定証明書を海外に住む配偶者に送り、管轄の日本国大使館で査証申請をします。

STEP8 ビザを受け取る
査証(ビザ)が発給されるとパスポートに貼られます。
このパスポートを使って日本へ入国します。

STEP9 日本到着後、空港で在留カードを受け取る
日本に到着すると、空港で入国審査を受け在留カードを受け取ります。
これで日本での生活が正式に認められます。

日本に住んでいる配偶者のビザ申請の場合

STEP1 婚姻届を提出する
配偶者ビザへの変更申請を行うために、各国で結婚の手続きを完了させます。
相手国の手続きは日本にある領事館で行えることもあります。

STEP2 必要なビザを確認する
日本人と外国籍配偶者が日本に住んでいる場合、「日本人の配偶者等」のビザへ変更申請を行います。

STEP3 必要な書類を確認する
配偶者ビザへの変更に必要な書類を確認します。
出入国在留管理庁の公式サイトに情報がありますが、こちらのサイトにも分かりやすくまとめてありますので参考にしてください。

STEP4 書類を準備する
必要な書類を確認したら、日本側と相手国側で必要な書類を集めます。
出入国管理庁の公式サイトから申請書をダウンロードして記入します。

STEP5 入管で申請を行う
管轄の出入国在留管理庁にて、開庁時間内に申請を行います。
混雑が予想されるため、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。

STEP6 郵送で結果を受け取る
ビザの審査が終わると、通知書(はがき)が郵送されます。

STEP7 在留カードを受け取る
出入国管理局で新しい在留カードを受け取ります。

(参考)申請に必要な主な書類

配偶者ビザの申請に必要な主な書類は、以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書写真(縦4cm×横3cm)
  • 日本人配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書
  • 日本での滞在費用を証明する資料(直近1年分の住民税の課税証明書など)
  • 日本人配偶者の身元保証書
  • 日本人配偶者の世帯全員分の住民票の写し
  • 質問書
  • スナップ写真(夫婦で写っており、容姿がはっきり確認できるもの。加工したものは不可。)2〜3枚
  • 身分証明(パスポートなど)

配偶者ビザの申請にあたって、注意すべき重要な点は以下の2つです。

①結婚の信憑性

まず重要なのは、結婚の信憑性です。

配偶者ビザは学歴や職歴などの要件がなく、発給後は就労制限がないため、外国人が自由に日本で働くことができます。
このため、偽装結婚による制度の悪用を防ぐために、結婚に至る経緯や交際の証拠が求められます。

特に、交際期間が短かったり、お互いに会った回数が少ない場合や、出会い系サイトやSNSを通じて知り合った場合などは要注意。
これらの状況では、交際の真剣さを証明するために写真やメールのやり取りなどの証拠提出が求められます。
また、結婚の経緯や理由、両親が結婚の事実を把握しているかなど、詳細な説明が必要です。
情報が不十分な場合、ビザの申請は厳しく審査され、許可が下りない可能性があります。
こうした場合は、質問書や理由書、スナップ写真などを用いて、結婚の経緯を詳細に説明し、正当な婚姻関係であることを示すのが効果的です。

②収入額

次に重要なのは、収入の確認です。
外国人配偶者が入国した後、夫婦が日本で問題なく生活するためには、一定の収入が必要です。
具体的な年収の基準は明示されていませんが、世帯収入が年間約250万円、月収で約20万円が目安とされています。
(※ビザ申請に必要な収入の目安は、申請者本人と扶養する家族の人数に応じて決まります)

特に、個人事業主の場合、確定申告がされていないと所得がないと見なされる可能性があり、注意が必要です。
収入が少ない場合でも、家族からの援助や将来の収入見込み(例えば、就職先からの証明書)を提出することでビザの許可を得ることが可能です。
また、生計を立てるための収入の証明に関しては、日本人配偶者側か外国人配偶者側のいずれかが収入を得ていれば問題ありません。

やむを得ず収入が少ない場合、日本に滞在できることを証明する預金残高や今後の雇用予定などの証拠を申請理由書とともに入出国管理局に提出する必要があります。

配偶者ビザの申請は、自分で行うことができます。
自分で申請する際には、入管が重視する審査のポイントを理解し、偽装結婚ではないことや十分な収入があることを証明することが重要です。

不許可になる可能性がある場合や、自分で申請するための時間や手間をかけたくない場合には、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

サポート行政書士法人では、日本の配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)申請を考えている方に向けて、ビザ専門コンサルタントがサポートしています。
相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください!