旅行業登録

旅行業における組織再編(M&A)

更新日:2025年2月19日


旅行業における組織再編(合併、分割、ホールディングス化)

M&Aなどの組織再編(合併、分割、ホールディングス化)が行われることが多くなってきました。

許認可業種の場合は、合併後存続する会社に許認可も引き継がれるかが重要になります。
どのような手続き、申請で引き継がれるかは、許認可によって異なります。

組織再編における許認可申請のパターンは、

1.許認可の承継をしない、
2.承継に許認可が必要、
3.届出だけで承継できる


の大きく3つに分かれてます。

いずれの場合も、業務の引き継ぎに関して、届出が必要となることがほとんどです。

事前に申請が必要なもの、事後に(期日あり)に申請が必要な場合など、許認可により異なります。
旅行業の場合、旅行業登録は承継をしません。
したがって、合併前に新規申請が必要となります。

旅行業登録のあるA社を合併する場合、自動的に合併後存続するB社に自動的に移行しません。
まず合併の前に、B社が新規で旅行業登録を受けた後に、合併後事業を移行(変更申請)の必要があります。

事業の多角化で旅行業の他に許認可業務を行っている場合は、その都度許認可手続きが必要です。

注意すべき点としては、旅行業には業務範囲によって、第1種から第3種と申請先が下記の表のように分れているため、手続きが複雑になることが挙げられます。

登録行政庁業務範囲
企画旅行手配旅行
募集型受注型
海外国内
第1種観光庁長官×
第2種主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事×
第3種主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事×
隣接市町村
旅行業者代理業主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事旅行業者から委託された業務
観光圏内限定旅行業者代理業観光圏整備実施計画における国土交通大臣の認定旅行業者から委託された業務
(観光圏内限定、対宿泊者限定)

旅行業登録は承継をしないため、業務を引き継ぐ会社が新規登録または登録種別の変更をしてから、引き継いだ会社の持っている登録事項を変更届を出すことによって、引き継ぎをします。

この一連の手続きには、多くの書類提出が必要となり、申請に時間がかかるため、組織再編の日までに余裕をもって準備をする必要があります。

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ここまで見てきたように、許認可が絡むM&Aは様々な問題が起こりがちです。
ここからは、「売り手」と「買い手」の視点から、メリット・デメリット、注意点をまとめていきます。

「売り手」視点でのM&A

メリット

  • 事業売却により資金調達が可能
  • リスク分散できる

デメリット

  • コロナの影響を受け、売却希望額に至らない可能性が高い
  • 既存従業員を解雇される可能性がある

注意点

  • どのような条件で会社売却するのか、経営者は自分の中で優先順位を付ける必要がある

「買い手」視点でのM&A 

メリット

  • 旅行業取次管理者を新たに採用しなくてもいいケースがある
  • 既存事業とのシナジー効果を期待できる
  • 安く買収できる

デメリット

  • 買収資金の調達が必要
  • デュー・デリジェンス(買収調査)の費用がかかる
  • コロナの状況によって、先が読めない

注意点

  • 法人商号、代表者、本店所在地、主たる営業所の名称・所在地、旅行業取次管理者選任>等に変更が生じる場合、30日以内に「管轄行政庁」及び「旅行業協会(加入している場合)」に提出する必要がある
  • 取引額によって、行政機関を供託した営業保証金を追加する可能性がある

事例1:旅行業登録を受けていないA社が、旅行業登録を受けているB社から旅行事業の全部を、事業譲渡契約にて譲り受ける場合

①事業譲渡の日までにA社が新規で旅行業登録を受ける

その後

②事業譲渡の日以降、A社が事業譲渡により追加となった登録事項の変更届を提出する

③事業譲渡の日以降、B社が事業譲渡届出書を提出する

注意点

事業譲渡の日までに、A社が新規で旅行業登録を受けていなければ、B社から譲渡を受けた旅行事業を継続することができない。

事例2:旅行業登録を受けていないC社が、旅行業登録を受けているD社から旅行事業の全部を、 会社分割(吸収分割)にて承継する場合

①会社分割の効力発生の日までにC社が新規で旅行業登録を受ける

その後、

②会社分割の効力発生の日以降、C社が会社分割により追加となった登録事項の変更届を提出する

③会社分割の効力発生の日以降、D社が事業分割承継届出書を提出する

事例3:旅行業登録を受けていないE社と、旅行業登録を受けているF社が、E社を存続会社として合併し、F社が行っていた旅行事業を、E社でも継続する場合

①合併の効力発生の日までにE社が新規で旅行業登録を受ける

その後、

②合併の効力発生の日以降、E社が合併により追加となった登録事項の変更届を提出する

③合併の効力発生の日以降、F社が法人消滅届出書を提出する

事例4:第3種の旅行業を取得しているG社が存続会社として、第2種の旅行事業を行うH社を、会社分割(吸収分割)にて承継する場合

①会社分割の効力発生の日までに、G社が第2種に変更登録手続きをする

その後、

②会社分割の効力発生の日以降、G社が会社分割により追加となった登録事項の変更届を提出する

③会社分割の効力発生の日以降、H社が事業分割承継届出書を提出する

注意点

手続き中に第3種の旅行業登録の有効期間が満了すると、登録は失効してしまいます。

有効期限が迫っている場合、第3種旅行業の更新手続きをした後に、第2種へのランクアップの手続きが必要な場合があります。

サポート行政書士法人では、旅行業における組織再編における、煩雑な許認可申請の手続きを一括して代行をさせていただいています。

日々企業の皆様の代理人として行政庁への申請や折衝を行っている行政書士だからこそ蓄積できるノウハウ・実績を元に、旅行業に関する法務サービスを提供します。
 
弊社の担当者は、全国の都道府県で申請実績があります。
どのような些細なことでも結構ですので、お気軽にご相談ください。