旅館業営業許可( 旅館・ホテル営業 )

旅館・ホテルの防火基準

更新日:2024年12月25日


たくさんの人が利用するホテルや旅館には「消防法」と「建築基準法」により、防火規定などを守ることが義務付けられています。住宅火災に比べて件数は少ないものの、1度火災が発生すると大惨事になりかねません。

消防法とは火災から国民の生命・身体・財産を保護すると共に、火災・地震などの災害による被害を軽減することにより、社会秩序を保持し、公共の福祉を増進することを目的として定められた法律。建物の規模や用途により消防設備などの設置、防火物品の使用などの防火安全対策が義務付けられています。

消防用設備等の設置

消防用設備設置対象条件
消火設備消火器
屋内消火栓
スプリンクラー設備
屋外消火設備
延べ面積150㎡以上
延べ面積700㎡以上
延べ面積6,000㎡以上
延べ面積3,000㎡以上
電報設備漏電火災報知器
自動火災報知機
消防機関へ通知する火災報知器
非常警報寄付・設備
延べ面積150㎡以上かつラスモルタルの物
延べ面積300㎡以上
延べ面積500㎡以上
収容人員が20名以上(300名以上で放送設備を設置)
避難設備避難器具
誘導灯・誘導標識
収容人員が2階以上の階で30名以上など
全部

上記のような消防用設備等を設置し、半年ごとに点検を実施し、1年ごとに消防機関(市町村の消防本部または消防署)に報告することが義務付けられています。

防火管理

防火管理とは、火災発生防止と火災被害を最小限に止めることを目的としています。誰が何をしたらよいのか?万が一火災が発生した場合、どのようにしたらよいのか?を消防計画に定め、火災に備えた消火訓練や避難訓練を行うものです。建物所有者の管理権原者は、消防法第8条により、防火管理責任者を定め、防火管理に係る業務を行わなければなりません。

防火対象物定期点検報告制度

消防法第8条の2の2に基づき、防火対象物点検報告制度として規定されているものです。 300人以上の収容人員があるホテルや旅館は、点検・報告が義務づけられています。

点検項目

点検項目は消防法によって定められており、点検資格者(防火対象物点検資格者)に行わせなければなりません。

一部挙げてみたいと思います。

1、防火管理者を選任していますか?

2、消火・通報・避難訓練を実施していますか?

3、避難階段に避難の障害となる物が置かれていませんか?

4、防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていませんか?

5、カーテン等の防炎性能を有する旨の標示が義務付けられていますか?

6、消防法令の基準による消防用設備等が設置されていますか? など

点検項目

罰則

消防法第44条30万円以下の罰金または拘留

・点検結果を報告していない又は虚偽の報告をした場合(消防法第8条2の2第1項)

・点検基準に適合していないにも関わらず「防火基準点検済証」を標示した、または、これと紛らわしい標示をした場合(消防法第8条2の3第8項)

・特例認定を受けていないにも関わらず「防火有料認定証」を標示した、または、これと紛らわしい標示をした場合(消防法第8条2の3第8項)

消防法46条の55万円以下の罰金

・特例認定を受けた管理権原者が、管理権原の変更届を怠った場合(消防法8条2の3第5項)

罰則

建築基準法とは、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低限の基準を定めて、国民の生命、健康および財産の保護を目的とする法律。建築基準法によりホテル・旅館などに外壁や間仕切り、廊下の幅などの規定が定められており、定期的に専門家による調査・点検、その結果の報告が義務付けられています。

※国土交通省HPより
ホテル 旅館
2階200㎡未満の建物
界壁・間仕切壁
(法第26条 令第114条)
準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達する準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達する(戸建住宅は適用無し)
用途による耐火建築物要求
(法第27条)
①3階以上の場合
②2階部分の床面積の合計が300㎡以上の場合
適用なし
廊下の幅
(法第35条 令第119条)
居室の床面積の合計が200㎡以上の場合
・中廊下→1.6m以上
・片廊下→1.2m以上
適用なし
居室から直通廊下までの距離
(法第35条 令第120条)
①主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、50m以下
②その他の場合、30m以下
ほぼ適用なし
2以上の直通階段
(法第35条 令第121条)
①主要構造部が準耐火構造又は不燃材料の場合、宿泊室の床面積の合計が200㎡超の階
②その他の場合、宿泊室の床面積の合計が200㎡超の階
ほぼ適用なし
避難階段の設置
(法第35条 令第122条)
5階以上の階適用なし
排煙設備の設置
(法第35条 令第126条の2)
延べ面積500㎡以上適用なし
非常用照明装置の設置
(法第35条 令第126条の4)
居室
②避難経路※避難階の居室等で、屋外への出口に至る歩行距離が30m以下(避難階の直上階・直下階の場合は20m以下)のものは対象外。
ほぼ適用なし
内装制限
(法第35条の2 令第128条の4令第129条)
①居室及び避難経路の内装仕上げを難燃材料等とする
・耐火建築物の場合→3階以上の床面積が300㎡以上
・準耐火建築物の場合→2階以上の床面積が300㎡以上
・その他の場合→床面積が200㎡以上(100㎡以内毎に防火区画されている場合は対象外)
火気使用室の内装仕上げを準不燃材料とする(住宅の場合、最上階は適用外)
火気使用室の内装仕上げを準不燃材料とする(住宅の場合、最上階は適用外)
屋内階段の寸法
(法第36条 令第23条)
直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える場合等
・階段及び踊り場の幅:120㎝以上
・けあげ:20㎝以上 踏面:24㎝以上(勾配40°)
上記以外の場合
・階段及び踊り場の幅:75㎝以上
・けあげ:22㎝以上 踏面:21㎝以上(勾配46°)
・階段及び踊り場の幅:75㎝以上
けあげ:22㎝以上
踏面:21㎝以上(勾配46°)

※住宅内階段はけあげ:23㎝以下
踏面:15㎝以上
(勾配57°)
赤字:共同住宅とホテル・旅館との異なる基準
青字:戸建住宅とホテル・旅館との異なる基準

宿泊施設は、不特定多数の方が利用することから、消防法令により、火災時の初期消火や避難誘導のための計画作成や訓練の実施、消火設備や警報設備などの消防用設備等の設置、階段や避難口の管理等、さまざまな防火安全対策を講じることとされています。
「適マーク」は、これらの対策が適切に講じられていることを消防機関が審査し、消防法令のほか、重要な建築構造等に関する基準に適合していると認められた場合に交付されるものです。義務付けはありませんが、「適マーク」の交付を希望される場合は申請サポートいたします。

対象となる建物:3階建て以上で、収容人員が30名以上のホテル・旅館等

三年継続すると、表示マークが銀から金に

3年継続して表示基準に適合していると認められる場合は「表示マーク(金)」(有効期限3年)が交付されます。

表示制度の申請から交付までの流れ

①表示マークの申請

※表示マークの交付(更新)を希望する場合、ホテル・旅館の関係者は「表示マーク交付(更新)申請書」に以下の書類を添えて管轄の消防機関に申請することが必要です。

<申請に必要な書類>

①防火対象物(防火管理)点検結果報告書

②消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書

③製造所等点定期点検記録表

④特殊建築物等定期調査報告書

⑤その他消防機関が必要と認める書類

②表示基準の審査

消防機関は、ホテル・旅館等の関係者からの申請書と添付書類に基づき、建物が表示基準に適合していることを審査するため、各部局と協力し現地調査を実施します。

表示基準

○消防法令の基準(防火管理の実施状況、消防用設備等の設置状況及び危険物施設等)に適合していること。

○建築基準法令の基準(構造・防火区画・階段・避難施設等)に適合していること。

③交付

表示マークの交付(銀)

消防機関による審査の結果、表示基準に適合していると認められた場合「表示マーク(銀)」((有効期限 1年間))が交付されます。

表示マークの交付(金)

3年間継続して表示基準に適合していると認められる場合「表示マーク(金)」((有効期限3年間))が交付されます

○表示マークの交付を受けた建物の関係者は、建物に掲出するほか、ホームページ等に表示マークを掲出することができます。

ホテル・旅館を開業・運営するにあたっては、消防法に基づく届出を作成して、施設を管轄する消防署へ手続を行う必要があります。

①工事着工届出書

②消防用設備等設置届出書

③防火対象物使用開始届出

④防火管理者選任届出

⑤消防計画届出

①工事着工届出書

屋内消火栓やスプリンクラーといった消防法施行令第36条の2に定める消防用設備等、または特殊消防用設備などの工事に着手する前に、この届出書を提出しなければなりません。

手続は「消防設備士」にて行います。

②消防用設備等設置届出書

消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事が完了した場合は、工事が完了した日から4日以内に届出書を提出し、消防署の検査を受けなければなりません。

③防火対象物使用開始届出

建物の使用開始にあたっては、「防火対象物使用開始届出」の提出が必要となります。

④防火管理者選任届出

③とあわせて、防火管理上必要な業務の実施責任者として「防火管理者」を選任し届出を行う必要があります。

また、一定規模以上の大規模な建物等においては、防災管理上必要な業務の実施責任者として防災管理者を選任する必要があります。

⑤消防計画届出

選任された防火管理者及び防災管理者は、管理権原者の指示を受けて消防計画を作成し、遅滞なくその旨を所轄の消防署長に届け出なければなりません。

サポート行政書士法人では、新規で旅館業・ホテル業へ参入される方から、既存の旅館業・ホテル業の皆さまに対して、旅館業営業許可に関する申請サポートや専門性の高いコンサルティングを行っています。

旅館業営業許可は、各保健所が管轄しており、ローカルルールも保健所ごとに存在します。弊社の担当者は、全国の都道府県で申請実績がございます。ぜひご相談ください。

対応実績例

【日本初進出 大手外資系ホテル】

 
本件は、日本初進出のホテル事業者様でしたが、
本国で対応できたことが、日本の法律・条例等で対応できないことがわかりました。
ご希望のスタイルを伺った上で、ホテルの設計や対応方法をご提案させていただき、
無事日本で初開業を迎えることができました。
また、弊社は外国語対応も可能ですので、現地法人と、英語にて打ち合わせも対応しました。  

取得した許認可の種類・数 
 旅館業営業許可/飲食店営業許可(3件)/深夜における酒類提供飲食店営業開設届
 公衆浴場営業許可申請/遊泳用プール/クリーニング/一般酒類小売業免許申請
地域 
 京都 

【ラグジュアリー シティーホテル】  

 
宿泊・飲食・SPA・消防等 分野ごとに複数の担当者に分かれているなかで、
許可を取るための準備だけでなく、
それぞれの本来業務(スタッフ育成や料理メニューの開発等)も並行して進めなければいけない状況でした。
弊社が開業チームに加わったことで、ライセンス取得に関しては、弊社が一括して行政窓口となるため
本来業務にも支障なく、無理なく許認可準備を進めることができました。

取得した許認可の種類・数
 旅館業営業許可/飲食店営業許可(7件)/深夜における酒類提供飲食店営業開設届(2件)
 公衆浴場営業許可申請/遊泳用プール/クリーニング
地域 
 大阪 

【大型リゾートホテル】  

 
本件は、台風などの影響で、当初計画の工期からずれ込んだケースでした。  
工期が後ろ倒しになってしまったとしても、開業予定日を変更することは難しいので、 
限られたスケジュールの中で、申請日程・実地調査日程等をしっかりスケジューリングし 
無事予定日に開業することができました。

取得した許認可の種類・数 
 旅館業営業許可/飲食店営業許可(3件)/深夜における酒類提供飲食店営業開設届
 公衆浴場営業許可申請/遊泳用プール/クリーニング/一般酒類小売業免許申請
地域 
 沖縄

【完全無人型ホテル】  

 
人件費が高騰する中で、完全無人でホテルを運営したいというご希望の案件でした。
一般的には、対面でのチェックインが必要になりますが、
緩和措置のルールをしっかり把握し、ホテル現場・運営方法に落とし込むことで
省人化を図った営業が可能になりました。
 
取得した許認可の種類・数 
 旅館業営業許可/飲食店営業許可
地域 
 伊勢市

専任のスタッフが全国の案件に対応しています。