入札参加資格

【建設業者向け】公共工事の入札参加資格・入札の流れについて解説

更新日:2024年7月11日


国や地方自治体から発注される公共の建設工事を受注するためには、入札に参加する必要があります。
原則、建設業許可を持っている企業や個人事業者が参加でき、その手続きには事前の準備が非常に重要です。

この記事では、公共工事の入札参加資格や入札手続きの流れについて詳しく解説します。

公共工事の入札は、国や地方自治体が実施する建設工事や関連業務を、民間企業に発注するためのプロセスです。
公平性と透明性を保つために、多くの場合は競争入札が行われ、最も適した業者が選ばれます。
公共工事の主な目的は、地域社会の発展やインフラの整備、安全性の向上です。
これにより、地域住民の生活が便利になり、経済活動も活性化されます。

入札の種類とその概要

入札には主に「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3種類があります。

①一般競争入札
広く業者に参加を募り、最も有利な条件を提示した業者が選ばれます。

②指名競争入札
あらかじめ選定された業者の中から選ばれる形式です。

③企画競争入札
価格だけでなく、提案内容や技術力、創造性に重点を置く形式です。
 
③随意契約
特定の業者と直接契約を結ぶ方法で、特殊な条件や緊急性が求められる場合に用いられます。

公共工事の入札に参加するためには、事前にさまざまな準備が必要です。
このセクションでは、建設業許可の取得方法、経営事項審査の重要性とその手続き、さらに入札参加資格を満たすための具体的な要件について詳しく解説します。

前提➀:建設業許可

建設業許可を取得するためには、一定の要件を満たす必要があります。
財務状況が安定していること、専任の技術者がいること、指定された資格と一定の実務経験を有している技術者が在籍していることなどが必要です。

そして、必要書類を揃えて管轄の都道府県知事に許可申請を行います。
申請後、多くの場合、書類の審査や実地調査が行われ、許可が下りるまで数か月を要することがあります。

この建設業許可を取得することで、公共工事の入札にも参加可能となります。

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前提②:経営事項審査

経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加するために必要な評価制度です。
 
この審査により、企業の財務状態や施工実績、技術力などが評価されます。
経審の評価結果は、入札における企業の信用度を示す重要な指標となります。
 
審査を受けるためには、全国主要都市にある建設業の関連機関に申請し、必要書類を提出します。
審査結果(評価点)を基に入札に参加することができます。

入札参加資格を満たすための要件

公共工事の入札に参加するためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。

建設業許可の取得と経営事項審査(経審)を受けていることを前提として、さらに、過去に不正行為や重大な法令違反がないこと、適切な営業所を保有していることが求められます。
また、財務状況が健全であることを証明するための財務諸表や納税証明書が求められる場合も多いです。

晴れて入札参加資格登録の申請が通ったら、いよいよ入札に参加できるようになります。
最後に、入札に参加する際の手順や、入札を成功させる際のポイントについて解説します。

①公募されている入札案件情報の収集

自社が入札できる有益な情報を収集すること。
情報収集が何よりも重要です。
 
主な情報は、官報や発注者のHPの公告・公示のページにありますが、
実は公告・公示のページに掲載されないケースもあります。

入札情報を提供する有料サービスのインターネットサイトもありますので、比較検討の上で採用することも一考の余地はあるかも知れません。
また、業界団体のメールニュースや専門のコンサルタントを利用することで、公告・公示ページに掲載されない有益な情報を得ることが可能です。

②仕様書の受領・説明会への参加

入札にあたっては、説明会が開催されて仕様書が配布されます。
ただし、説明会がなく仕様書が配布される場合がありますので、情報のチェックは欠かせません。

仕様書には、入札の要件や条件、納期、契約条件などが詳細に記載されています。
受け取った仕様書を細かく確認し、内容に不明点がある場合はすぐに質問しましょう。
質問期間は仕様書に関しての質問を受け付けてくれますが、曖昧な箇所を自社に有利な解釈ができないか、営業担当の腕にかかっています。
 
説明会では、入札案件に関する詳細な説明が行われ、担当者に直接質問できる機会も提供されます。
このため、説明会への参加は強く推奨されます。

一方で、説明会が開催されない場合もあります。
この場合、仕様書の内容を詳細に確認し、必要に応じて質問期間中に質問を行うことが非常に重要です。
曖昧な箇所がある場合は、自社に有利な解釈を引き出すためにも、営業担当の柔軟な対応が求められます。

③入札競争率・落札価格のチェック

誰もが知っている公共事業の発注機関には、多くの入札参加企業が集まります。
それだけ入札の競争率は高くなります。
そのため、最低制限価格近くで落札して十分な収益を得ることが難しいこともあります。

この様にならない為にも、まずは競争相手の少ない機関を狙うことが有効です。
公告・公示ページに掲載されない案件はまさに競合相手の少ないケースの一つです。

また、過去の落札価格を分析することにより、着実に落札への道は近くなります。
この確認を逃してしまうと、極端に低い価格や高い価格で入札参加資格登録審査申請をしてしまい、落札できないこともあり得ます。

入札は適切な価格の範囲の中で、利益を確保しつつ、競合より低い価格で応札する必要があります。
その為にはまず過去の落札価格の確認は欠かせません。

開札時には、名前と応札価格が公表されます。
これらの結果をデータとして保管すれば、他の類似案件の価格予想ができる場合があります。
ただし、過去に落札価格が下落する年もありましたので、鵜呑みにできないのが難点です。

④落札可能性、利益確保の検討

落札しても利益が出なければ意味がありません。

ただ落札して受注すれば良いという考えではなく、入札競争率や落札予想価格から自社が落札できる可能性があるか、また落札後に適正な利益を出せるか入札金額を入念に検討することが重要です。

仕様書に記載されている条項や条件も再度確認し、自社のリソースや負担可能なコストを総合的に検討します。
入札額が低すぎると利益が確保できず、高すぎると落札の可能性が低くなるため、バランスが重要です。
 
例えば、詳細なコスト分析を行い、材料費、労務費、運搬費など全ての費用項目を精査することで、的確な入札額を設定できます。
また、自社の強みや競争優位性を活かし、柔軟な価格設定を行うことで落札の確率を高めることができます。
 
例えば、競合他社の過去の落札結果や市場価格の動向を調査し、戦略的な価格設定を行うことが有効です。
こうして、入札というビジネスチャンスを最大限に活用するためには、事前の計画と綿密な準備が不可欠です。

⑤案件に入札する

入札の目的に沿った形で、適切な入札金額を決定し、必要な添付書類を整えます。
添付書類の添付漏れや印ヌケがあると、「失格」になる場合もありますので、提出前にしっかりとチェックしてください。

早めに対応することで、予期せぬトラブルが発生した場合でも余裕を持って対処できます。
指示された通り、正確に対応することで入札の信頼性が高まり、今後の取引にも良い影響を与えることが期待されます。

⑥落札したら契約する

入札で落札が決定次第、正式な契約手続きを進めます。
契約書には、仕様書で定められた通りの条件が詳細に記載されるため、これを再度詳細に確認することは重要です。
契約条件に基づいたスケジュールや資金計画の立案も欠かせません。
特に、資金繰りの計画は事前に綿密に準備することで、突発的な問題の発生を防ぐことができます。

公共工事の入札で成功するためには、計画的で戦略的なアプローチが重要です。
このセクションでは、入札仕様書に対する重要な質問の仕方と、ミスを避けるためのチェックポイントについて具体的に解説します。

入札仕様書の正確な理解と疑問点の解消

入札仕様書は、入札に参加する上でも重要な資料です。
仕様書に記載された情報を正確に理解し、どのような質問をすべきかを見極めることが肝要です。

まず、工事の内容や条件、要求事項に疑問や不明点があれば、必ず発注者に確認しましょう。
例えば、技術的な要件、納期、品質基準などについて詳細な情報を求めることが有益です。
また、他の入札者が持つ一般的な質問も確認することで、自分が見落としている点に気づくことができます。

ミスを避ける

入札書類の準備においてミスを避けるためには、細心の注意を払うことが必要です。

まず、言うまでも無いことですが、提出期限を厳守することが重要です。
期限が過ぎると、それだけで失格となることがあります。

必要書類が全て揃っているかどうかを確認する際には、チェックリストを作成すると便利です。
特に、多くの書類が求められる公共工事の入札では、1つでも書類が不足していると評価が下がったり、失格となる可能性があります。

さらに、入札の価格や条件についての記載ミスがないか、申請前に再度見直すことも重要です。
最終確認を行うために、複数の担当者でWチェックを行う方法も効果的です。

これにより、ミスを未然に防ぎ、入札がスムーズに進行します。

サポート行政書士法人では、新規で入札に参加を希望される方へのスタートアップや、すでに多くの発注先・自治体へ入札参加資格登録をされている企業様向けに、各種変更届の一括管理・提出、更新登録申請をサポートしています。

また、建設業等の関連する許認可のサポートまで見据えたコンサルティングも行っています。
 
日々、事業者の皆様の代理人として行政庁への申請や折衝を行っている行政書士だからこそ蓄積できるノウハウ・実績を元に、入札参加資格登録審査申請に関する法務サービスを提供します。
 
弊社の担当者は、全国の都道府県で申請実績があります。ぜひご相談ください。

主任コンサルタント 名取 正輝

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3.相談は無料

ご依頼前の相談は無料で受けていただくことができます。
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よくある質問

公共工事の入札に関する手続きの種類は多岐にわたります。
以下で、入札に関する一般的な疑問について詳しく説明します。

公共工事の入札に参加するにはどうすれば良いですか?

まずは、建設業許可を取得し、経営事項審査を受ける必要があります。その後、事業者登録を行い、入札案件を発見し、必要な書類を揃えて入札に参加します。

入札説明会には必ず参加する必要がありますか?

はい。入札説明会に参加することで、工事の詳細や条件を正確に把握することができます。不明点があればその場で質問できるため、参加は非常に重要です。

経営事項審査の結果はどれくらい有効ですか?

経営事項審査の結果は、通常1年間有効です。この期間内に更新手続きを行わなければ、入札に参加する資格を失いますので注意が必要です。

入札価格の設定で気を付けるべきポイントは何ですか?

入札価格の設定では、工事の内容や条件、競合他社の動向を踏まえた適正価格を決定することが重要です。利益を確保しつつ、過度に高い価格設定は避けるようにしましょう。

書類の不備があった場合、どうなりますか?

書類の不備があると、入札自体が無効となる可能性が高いため、提出前に複数回チェックすることが重要です。特に期限や必要書類については厳密に確認する必要があります。

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