保険薬局・保険医療機関の指定申請
更新日:2025年2月7日
◆もくじ◆
保険医療機関として指定されるための基準
保険医療機関の指定とは、健康保険法に基づき、医療機関が公的医療保険の適用を受ける診療を行うために必要な制度です。
指定を受けるには、以下の基準を満たす必要があります。
⑴ 施設基準の遵守
保険診療を適切に提供できる設備や人員体制が整っていることが求められます。
これには、診療科ごとの必要な医療機器や施設条件の確保が含まれます。
⑵ 医療従事者の資格要件
保険診療を担当する医師、歯科医師、薬剤師が適切な資格を持ち、必要な研修を受けていることが必要です。
⑶ 適正な運営管理
診療録の適切な記載・保存、診療報酬の請求管理、患者対応の適正性が求められます。
⑷ 指定の有効期間と更新
保険医療機関の指定は通常6年間の有効期間があり、継続して指定を受けるためには更新の手続きを行う必要があります。
更新手続きを怠ると、保険診療が継続できなくなるため、期間内に適切な申請が求められます。
保険医療機関指定のメリット
保険医療機関としての指定を受けることで、以下のメリットがあります。
⑴ 保険診療の提供が可能に
指定を受けることで、患者は公的医療保険を利用した診療を受けることができ、医療機関は診療報酬を請求できるようになります。
⑵ 労災保険・生活保護指定医療機関としての対応
保険医療機関の指定を受けることで、労災保険指定医療機関や生活保護指定医療機関の申請が可能となり、幅広い患者への対応ができます。
⑶ 地域医療への貢献
公的医療保険適用の診療を行うことで、地域の医療アクセスの向上に寄与し、安定した患者の受診が期待できます。
指定申請手続きの詳細
保険医療機関の指定申請は、診療所の新規開設や移転などの状況に応じて手続きが異なります。
以下、それぞれのケースについて説明します。
⑴ 診療所の新規開設・分院に伴う保険医療機関指定申請
自由診療のみしか診療を行わない診療所であれば保険医療機関の指定を受ける必要はありませんが、保険診療を行うすべての診療所は、保険医療機関の指定を受ける必要があります。
保険医療機関の指定は、診療所の開設後、厚生局が定める期日までに申請を行うことで、原則として翌月の1日に指定がされます。この指定を受けることにより、クリニックでの診療が開始できることになります。
レセプトなどで必要となる医療機関コードもこの指定時に付与されます。
新規開設や分院設立に際して、保険医療機関の指定を受けるには、以下の手続きが必要です。
指定申請書の提出
必要な書類を準備し、管轄の地方厚生(支)局に指定申請書を提出します。 申請書には、施設の概要や診療科目、医療従事者の資格情報などを記載します。
指定申請書記載例の確認
申請書の不備を防ぐため、厚生局が提供する記載例を参考にしながら作成することが重要です。
審査と現地調査
提出後、審査が行われ、必要に応じて現地調査が実施されます。 施設や人員体制が基準を満たしているかを確認するための重要なプロセスです。
指定通知書の交付
審査が通れば、保険医療機関指定通知書が交付され、正式に指定が完了します。
⑵ 診療所の移転に伴う保険医療機関指定申請(遡及申請)
診療所を移転する場合、保健所にて移転先の診療所開設許可と移転元の診療所廃止を同時に行うことによって、実質的に移転となります。
移転先にて診療所開設後に、保険医療機関指定申請を行いますので、指定を受けるのは翌月となりますので、保険医療機関の指定の空白期間が生じないよう、遡及申請を行う必要があります。
遡及申請とは、移転後の診療を継続するために、指定の効力をさかのぼって認めてもらう手続きです。
遡及申請が可能となるのは保険医療機関等が至近の距離(原則として2km以内)に移転し同日付けで新旧医療機関等を開設・廃止した場合で、患者が引き続いて診療を受けている場合となります。
原則として、移転前に新所在地での指定申請を行い、継続的に保険診療を提供できるようにする必要があります。
⑶ その他の保険医療機関の指定の届出
以下のような場合には、適切な指定申請または届出が必要です。
指定医療機関
薬局の申請保険薬局として保険調剤を行う場合、指定医療機関薬局としての申請が必要になります。
保険医療機関の一覧への登録
指定を受けた医療機関は、厚生局の「保険医療機関の一覧」に掲載されるため、地域の患者が医療機関を選ぶ際の参考になります。
保険医療機関指定通知書の更新
指定の有効期間が終了する6年ごとに、指定通知書の更新手続きを行う必要があります。
更新申請が遅れると、保険診療が一時的に行えなくなる可能性があるため、注意が必要です。
各種変更届
その他、保険医療機関の指定事項について以下の変更がある場合は、その都度変更届を提出する必要があります。
- 病床の数を増加
- 病床の種別の変更
- 保険医療機関の名称変更
- 法人名、代表者の変更
- 管理者の変更
- 保険医の勤務、勤務形態、退職、異動
- 区画変更、診療科目、診療時間・病床数(減少の場合)、法人所在地など
- 事業の廃止、休止、再開
- 指定の辞退
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