【コラム】医療機器業界のM&A
更新日:2024年9月6日
更新:2021年1月
今回は、許認可の観点からみた「医療機器製造販売業者のM&A」についてお話しします。
(医療機器製造販売業の「許可取得」については、弊社専門ページをご覧ください。)
許認可が関わるM&Aでは様々な問題が起こりがちです。
「売り手側」と「買い手側」のそれぞれの視点から、メリット、デメリット、注意点をまとめてみました。
「売り手側」視点でのM&A
●メリット
・廃業せずに許可が維持できれば、製品も承継し存続できるので、お客様が困らない。特に病院で使うような製品であれば、安定的な供給が維持できる。
・取得ハードルの高い許認可を持っているので、販売価格が高い。
・ハードルが高い許認可付きの案件は意外と需要が多い。
●デメリット
・許認可に対して買い手側の理解が足りないため、引継ぎが難航する可能性がある。
・許認可は法人に対して出ているため、事業譲渡のケースでは許認可は引継ぎ出来ない。(株式譲渡であれば引継ぎ可能)
●注意点
・売買する前に、許認可DDを適切に行わないと大きなトラブルになる可能性がある。
・譲渡前のQMS・GVPの体制・運用が正確であったか確認する必要がある。
・事業譲渡の場合は許認可が維持されない。許認可要件も併せて譲渡する場合では、新規に許可取得が必要であることを買い手側に伝える必要がある。
「買い手側」視点でのM&A
●メリット
・参入障壁が高い医療機器業界に簡単に参入できる。
・許可取得に必要な時間が節約できる。(特に製品の承継ができれば、半年~数年の節約になる)
・すぐに事業が開始できるため、売上に繋がるのも早い。
●デメリット
・事業譲渡の場合、許認可がついてこないので、再取得が必要。(要件となる人も譲渡される場合は許可取得が可能)
・譲渡前に作られた製品の品質問題や安全問題が発生した際に対応しなければいけない。
・QMS・GVP等が適切に運用されていなかった場合、整備が必要になる。
●注意点
・許認可が維持できるM&Aなのかしっかりと確認する必要がある。
・許認可の再取得が必要となった場合のスケジュールが重要。
・許認可の知識を事前に勉強しないと、譲渡後の運営が難しくなる。
・これまでに製品の問題が発生していないか調査が重要。
・製造業者や販売代理店との関係性の確認も重要。
以上、いかがでしょうか。
これからも、 医療機器製造販売業に関するM&Aの様々な情報を共有してまいります。