医療機器製造販売業・製造業・製造販売承認・認証

コンタクトレンズを販売したい(生物学的安全性)

更新日:2024年3月20日


現代の忙しい生活において、メガネよりもコンタクトレンズを使用することが非常に増えてきました。
特にライフスタイルの変化により、スポーツやアウトドア活動にも最適な選択肢となっています。

コンタクトレンズを販売するのに必要なのは?

コンタクトレンズにも様々なものがありますが、そのうち特に取り扱いの多いものの一つは、視力補正用の再使用可能なレンズでしょう。
 
一般的定義は以下の通りです。
 

眼の前面に直接装着する着色剤又は紫外線吸収剤のいずれも含有しない視力補正用眼科用レンズをいう。
通常、医師の指示により使用する。本品は再使用可能である。

名称等再使用可能な視力補正用コンタクトレンズ
別表1-1057, クラスⅢ, コード:36055000, GHTFルール:5-③’
保守等特定保守: , 設置管理: , 修理区分:-, QMS:該当
類別器72  視力補正用レンズ
中分類コンタクトレンズ

レンズを販売するためには、「第一種医療機器製造販売業許可」を取得した上、上記の製品につき「医療機器製造販売承認」を受けなければなりません。また、BtoCとして一般消費者様にご販売されたい場合には、「高度管理医療機器販売業許可」を取得する必要があります。
 
第一種医療機器製造販売業・高度管理医療機器販売業許可については、~を参照いただき、本ブログでは、承認に必要なものについて知りたいと思います。
 
まず、コンタクトレンズを医療機器として世の中に出したい場合には、その安全性を有効性を担保する必要があります。その場合、以下のような規格に従って製品を作り上げ、試験を行う必要があります。
 

  • JIS B 7183, レンズメータ
  • JIS K 7361-1, プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法―第 1 部:シングルビーム法
  • JIS K 7127, プラスチック-引張特性の試験方法-第 3 部:フィルム及びシートの試験条件
  • JIS K 7161-1, プラスチック-引張特性の求め方-第 1 部:通則
  • JIS K 7142, プラスチック-屈折率の求め方
  • JIS K 7209, プラスチック-吸水率の求め方
  • JIS T 0993-1, 医療機器の生物学的評価-第 1 部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
  • JIS Z 8722, 色の測定方法-反射及び透過物体色
  • ISO 9394, Ophthalmic optics-Contact lenses and contact lens care products-Determination of biocompatibility by ocular study with rabbit eyes
  • ISO 11987, Ophthalmic optics-Contact lenses-Determination of shelf-life
  • ISO 18369-3, Ophthalmic optics-Contact lenses-Part 3: Measurement methods
  • ISO 18369-4, Ophthalmic optics - Contact lenses - Part 4: Physicochemical properties of contact lens materials
  • ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取扱い等について(平成 11 年 3 月 31 日医薬審第 645 号)(以下「資料の取扱い」という。)
  • :医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について(平成 24 年 3 月 1 日薬食機発 0301 第 20 号)(以下「生物学的安全性評価の基本的考え方」という。)

 
上記のうち、特に要求されるものとしては、ISO 18369-3及びISO 18369-4です。
本規格に従い、頂点屈折率や視感透視率、酸素透過係数、強度など様々な面においてコンタクトレンズとしての役割を果たすかを判断します。また、肌や粘膜などに接触を伴う医療機器であれば、上記の規格のみならず、生物学的要求事項を満たしたことを証明する必要があります。

生物学的安全性の規格とは?

医療機器の生物学的安全性評価は、原則として、JIS T 0993-1あるいは国際規格であるISO10993「医療機器の生物学的評価」シリーズに準拠して行われます。
 
では、生物学的安全性をなぜ評価しなくてはいけないでしょうか。
 
それは、医療機器の意図する使用または意図する目的及び安全性に関する特質を明確化し、生物学的有害作用(毒性ハザード)のリスク評価を行い、そのリスクを推定することで、医療機器としての安全性を確保するためです。

生物学的安全性における「ハザード」「リスク」

ハザード:人の健康に不利益な影響を及ぼす原因となりうる遺伝毒性、感作性、慢性全身毒性などの要素

リスク :ハザードにより引き起こされる人の健康に不利益な影響の発生確率及びその影響の程度

 
一言で安全性を評価するとはいえども、人体のどの部位にどれほど期間接触するかによって、その評価基準はそれぞれ違います。その基準は以下のように分けることができます。
 

  • 接触部位による分類 非接触
  • 体表面接触 :皮膚、粘膜、損傷表面
  • 体内と体外とを連結:血液流路間接的、組織/骨/歯質、循環血液
  • 体内植込み :組織/骨、血液
  • 接触期間による分類 一時的接触:単回または複数回使用され、その累積接触期間が24時間以内
  • 短・中期的接触:単回または複数回使用され、その累積接触期間が24時間から30日以内
  • 長期的接触:単回または複数回使用され、その累積接触期間が30日を超える

 
上記の基準により、評価すべき要素が変わりますが、今回のコンタクトレンズについては、ISO10993-1により、細胞毒性試験、皮膚感作性試験、遺伝毒性試験、亜急性毒性試験などを行う必要があります。