医療機器を販売・貸与する
医療機器販売業・貸与業で扱う医療機器が、高度管理医療機器・特定保守管理医療機器・管理医療機器に該当する場合は営業所ごとに、営業所の所在地の知事あてに許可または届出が必要となります。
高度管理医療機器とは
副作用又は機能の障害が生じた場合に人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器
例としてコンタクトレンズ・透析器等が該当します。
特定保守管理医療機器とは
「管理医療機器」又は「一般医療機器」のうち保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とするものに該当する医療機器
例として心臓ペースメーカー等が該当します。
管理医療機器とは
特定保守管理医療機器を除く管理医療機器が該当します。
クラス分類 | 扱う医療機器の分類 | 手続き等 | ||||||
許可届出の別 | 管理者の設置義務 | 管理者の基礎講習の受講要件 | その他 | |||||
従事年数 | 基礎講習 | 継続研修 | 営業所において取り扱い可能な医療機器の範囲 | |||||
高度管理医療機器 | ①高度管理医療機器 | 許可 | あり(法第39条の2) | 3年 | 必要 | 必要 | 制限なし(医療機器全般) | |
②指定視力補正用レンズ(コンタクトレンズ) | 1年 | コンタクトレンズ、管理医療機器及び一般医療機器 | ||||||
③プログラム(記録媒体・電気通信回路による提供を含む) | 不要 | プログラム高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器 | ||||||
管理医療機器 | 特定管理医療機器 | ④家庭向け管理医療機器 | 届出 | あり(施行規則第175条第1項) | 3年 | 必要 | 努力義務 | 管理医療機器及び一般医療機器 |
⑤補聴器 | 1年 | 補聴器、家庭用管理医療機器及び一般医療機器 | ||||||
⑥家庭用電気治療器 | 家庭用電気治療器、家庭用管理医療機器及び一般医療機器 | |||||||
⑦プログラム(記録媒体・電気通信回路による提供を含む) | 不要 | プログラム特定管理医療機器、家庭用管理医療機器及び一般医療機器 | ||||||
⑧家庭用管理医療機器(・電気治療器・家庭用マッサージ器・アルカリイオン整水器等) | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 家庭用管理医療機器及び一般医療機器 | |||
一般医療機器 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 一般医療機器 |
許可・届出の要件
許可・届出の要件には、おおまかに①営業所と②営業所管理者の2つがあります。
①営業所
●採光、照明及び換気が適切であり、かつ、清潔であること。
●常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
●取扱品目を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
なお、医療機器プログラムの電気通信回線を通じた提供のみを行う営業所については、適用しません。
診療所が販売を行う場合は、診療所と販売店/営業所が独立した入口を持って、内部で人の動きが交わらないようにします。
診療所の一部を販売店にする場合は、「診療所の構造の変更」を保健所に届け出る必要があります。
販売店は「医療法人名義の建物」の中におくことは、原則できません。医療法人は不動産賃貸業を行うことができないためです。
また、無償貸借であっても、都道府県によっては医療法人の資産の流用・利益供与にあたり医療法に抵触すると解釈されることもありますので、事前に相談が必要です。
②営業所管理者
管理医療機器を取扱う販売業者又は貸与業者は営業所ごとに所在地の都道府県知事に販売業等の届出を、また高度管理医療機器等を取扱う販売業者又は貸与業者は販売業等の許可を受けるとともに、営業所管理者を設置しなければなりません。
営業所管理者の要件は、取り扱う医療機器によって変わってきます。
高度管理医療機器の営業所管理者
指定視力補正用レンズ等のみを販売等する販売業者等
(1)高度管理医療機器等(プログラム高度管理医療機器を除く)の販売等に関する業務に1年以上従事した後、別に厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けた者が行う基礎講習を修了した者
(2)非視力補正用コンタクトレンズの販売業及び貸与業に関する講習を修了した者
プログラム高度管理医療機器のみを販売提供等販売業者等
別に厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けた者が行う
基礎講習を修了した者
上記以外の医療機器の販売等する販売業者
(1) 医療機器の販売又は貸与に関する業務に3年以上従事した後、別に厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けた者が行う基礎講習を修了した者
(2)厚生労働大臣が上記(1)に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認めた者
・医師、歯科医師、薬剤師の資格を有する者
・医療機器第一種製造販売業の総括製造販売責任者の要件を満たす者
・医療機器製造業責任技術者の要件を満たす者
・医療機器修理業の責任技術者の要件を満たす者
・法律で規定する試験に合格したとみなされた者で登録を受けた者
・財団法人医療機器センター及び日本医科器械商工団体連合会が共催で実施した医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了した者
管理医療機器の営業所管理者
(1) 高度管理医療機器等の販売等に関する業務に1年以上若しくは特定管理医療機器の販売等に関する業務(一部の限定された医療機器の販売業務を除きます)に3年以上従事した後、国の登録を受けた者が行う基礎講習を修了した者
※基礎講習実施機関
財団法人 医療機器センター
日本ホームヘルス機器協会
総合健康推進財団
(2)医師、歯科医師、薬剤師の資格を有する者
(3)第一種医療機器製造販売業総括製造販売責任者の要件を満たす者
(4)医療機器製造業の責任技術者の要件を満たす者
(5)医療機器の修理業の責任技術者の要件を満たす者
(6)法律に規定する試験に合格したとみなされたもののうち登録を受けた者(=みなし合格登録販売者)
(7)公益財団法人医療機器センター及び日本医科器械商工団体連合会が共催で実施した
医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了した者
(8)「検体測定室に関するガイドラインについて」の別添で定める検体測定室の運営責任者である看護師又は臨床検査技師
この場合は、検体測定室における検査で使用される医療機器のみを販売等する営業所に限られます
常勤性の例外
高度管理医療機器販売業の管理者は、「隣り合う診療所の医師」でもよいとされています。
ただ、診療所の管理者(=院長)である医師は診療所に常勤していることが前提ですから、医療機器販売店の管理も同時に行うと、診療所の管理者の要件(常勤性)を欠くことになる
とも考えられます。
このため、双方で常勤性を保つことが必要です。
兼務について
原則認められませんが、次の場合のみ例外的に認められます。
・医療機器の特性等から営業所において医療機器を取り扱うことが品質管理上好ましくない場合や医療機器が大型である等により、営業所で医療機器を取り扱うことが困難な場合等において、営業所専用の倉庫である別の営業所を同一事業者が設置している場合であり、かつ、営業所において実地管理できる場合
・医療機器のサンプルのみを掲示し(サンプルによる試用を行う場合は除きます)、営業所において販売、貸与及び授与を行わない営業所である場合であり、かつ、その営業所において実地に管理できる場合
販売業・貸与業の営業所管理者になるための基礎講習
営業所管理者になるためには基礎講習を受講する必要があります。
以下の厚生労働大臣の登録を受けた登録講習機関のサイトで詳細を確認ください。
財団法人 医療機器センター
一般社団法人 日本ホームヘルス機器協会
公益財団法人 総合健康推進財団
販売業・貸与業の営業所管理者の継続的研修
営業所管理者になると、毎年度研修を受講する必要があります。
下の厚生労働大臣に届け出た研修実施機関のサイトで詳細を確認ください。
欠格要件(高度管理医療機器のみ)
申請者(申請者が法人であるときは、その業務を行う役員を含む。)が、次の①から⑥までのいずれかに該当するときは、欠格の基準となって許可を与えられない場合があります。
(管理医療機器に欠格要員はありません。)
① | 許可を取り消され、取り消しの日から3年を経過していない者。 |
② | 登録を取り消され、取り消しの日から3年を経過していない者 |
③ | 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者 |
④ | ①から③までに該当する者を除くほか、医薬品医療機器等法、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法等薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過 していない者 |
⑤ | 成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者 |
⑥ | 心身の障害により高度管理医療機器又は特定保守管理医療機器の販売業又は貸与業の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの |
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