コラム/営業倉庫登録で節税対策 事業所税の特例
営業倉庫の登録をすると節税対策になるってご存知でしたか?
地方税の1つである事業所税には、その軽減を図るため課税標準の特例措置が講じられています。
営業倉庫の登録をすると、この特例措置を受けることができ、営業倉庫の床面積の事業所税が4分の3も控除されるのです。
これから、倉庫業の登録をしようと考えている方にとっては、重要なポイントといえますね。
そこで今回は、この特例措置について徹底解説です。
(参照:国土交通省『平成28年度 倉庫業等税制一覧』)
営業倉庫の登録により事業所税が減税される理由
営業倉庫の登録をすれば、倉庫の床面積に応じて事業所税が控除されます。
では、なぜこのような特例があるのでしょうか?
そもそも事業所税は、一般的な事業所がたくさんの行政サービスを必要とすることが作られました。
例えば、大規模な事業所では、ゴミの処理や上下水道の完備、交通対策などが必要になります。
これらの行政サービスの財源にあてるため、事業所税が作られたのです。
ですが、中には行政サービスを必要としない施設もあります。
例えば、営業倉庫には、あまり行政サービスは必要ありません。
そこで、営業倉庫に対しては特例措置を設け、事業所税の控除が認められているのです。
また、営業倉庫は他の施設と比べて収益性が低く、課税による負担を軽減するべきという点も考慮されています。
事業所税は全ての地域で課税されるわけではありません
事業所税は市区町村が一定規模の事業者に対して課す地方税です。
そのため、事業所税を課すかどうかは、市町村によって異なります。
事業所税が課されるのは、東京23区や政令指定都市など、事業所の多い都市部の地域です。
これから、倉庫業の登録を考えている方は、自分の地域が事業所税の課税対象になっているか、役所等に確認するとよいでしょう。
営業倉庫の節税効果
実際に、営業倉庫の登録をするとどのぐらいの節税効果があるのでしょうか?
営業倉庫の登録をしている場合とそうでない場合とで比べて解説したいと思います。
事業所税の計算方法
営業倉庫の節税効果について解説をする前に、まずは基本的な事業所税の計算方法について説明します。
事業所税は、資産割と従業者割という2つの基準によって計算されます。
それぞれに、免税点が設定されており、免税点を超えた場合に課税される仕組みです。
資産割については、事業所等の床面積が1,000平方メートル(免税点)を超えた場合に、1平方㎡あたり600円が課税されます。
従業者割については、100人(免税点)を超えた場合に、従業者の給与総額に100分の0.25円を乗じた額が課税されます。
例えば、事業所の床面積1,100平方メートル、従業員50人の事業所の場合、従業者割は課税されませんので、資産割のみ66万円(1,100×600円)が課税されることになります。
全国に複数の事業所がある場合には、市町村ごとに計算しなければなりません。
(参照:東京都主税局『事業所税』)
営業倉庫は資産割の4分の3が控除されます
では、営業倉庫の登録により、どのような節税効果があるのか具体的に解説をします。
営業倉庫については、事業所税の課税標準の特例により、資産割の4分の3が控除されます。
例えば、1000平方メートルの工場と100平方メートルの倉庫があるとします。
もしこの倉庫について、営業倉庫の登録をしていなかった場合、資産割の額は先ほど計算したとおり66万円です。
ですが、営業倉庫の登録を行うと、営業倉庫は床面積の4分の3が特例によって控除されるため、課税額は1万5千円(100×4分の1×600円)となり、4万5千円の節税になっています。
営業倉庫の登録をしている場合とそうでない場合とでは、課税額に大きな違いがあることがわかりますね。
事業所税の特例を受ける方法
事業所税の特例を受けるには、事業所税の申告をする際に、倉庫の床面積算出の基礎となった図面などの資料を申告書とあわせて提出します。
場合によっては、倉庫業登録を受けた証明書などを求められることもあるので対応しましょう。
事業所税の申告期限は、法人の場合は事業年度終了日から2か月以内、個人の場合はその年の翌年3月15日までです。
他の法人事業税などと異なり、納付期限の延長は一切認められないので注意しましょう。
まとめ
営業倉庫の登録を受けた場合、事業所税の特例が受けられるので、節税効果に期待ができます。
具体的には、事業所税の資産割から倉庫の床面積分の4分の3が控除されます。
ただし、この特例を受けるためには、申告時に図面などの資料を提出する必要があるので、注意しましょう。
倉庫業登録について詳しくは、こちらからご覧ください。
また、ご不明がある場合は、お気軽に当社にご連絡くださいませ。