【コラム】運送業のM&A
(更新:2021年1月)
許認可の視点から運送業のM&Aについてお話しをしたいと思います。
(運送業の「許可取得」については、弊社専門ページをご覧ください。)
運送業市場は参入障壁が非常に高く、新規参入が実質不可能な業種もあります。運送業の参入障壁が高い主な理由は①法規制が厳しいことと②莫大な初期投資を要することにあります。
運送業を行うには、国土交通省の許可を得なければなりません。許可を得るための要件は非常に厳しく<ヒト・カネ・モノ>の観点から厳しい審査を乗り越えなければなりません。また、要件を満たすための「資金的なコスト」や要件を揃えて許可を取得するまでの「時間的なコスト」は非常に高くなります。
以上のようにハードルが高いとされる運送業市場への参入ですが、M&Aという選択肢によって解決できる可能性があります。高い参入障壁を乗り越えて既に許可を取得している企業から「事業そのもの」を購入することで、自社で一から立ち上げるよりも低コストでの市場参入を実現も可能になります。
「売り手側」視点でのM&A
● メリット
・事業売却による資金調達が可能。
・将来的に損失を被るリスクを軽減できる。
・不採算事業を損切りすることで損失を最小化できる。
・経営者交代によって事業継続が可能。
●デメリット
・希望する売却価格より低価格で成約する可能性がある。
・売却先の企業との間で文化摩擦が起きる可能性がある。
●注意点
・売却額の下限額を設定しておくこと
・売却先の企業風土について理解しておくこと
「買い手側」視点でのM&A
●メリット
・既に許可を受けている事業を購入することで参入コストを軽減できる。
・運送業特有の事業譲渡認可により、スムーズに許可を承継できる。
●デメリット
・購入する企業が抱える負債を引き継がなければならない可能性がある。
・財務諸表から読み取れない非財務的リスクを引き継ぐ可能性がある。
・価格交渉により希望する価格で購入できない可能性がある。
●注意点
・購入企業の財務状況について専門家の見解を得ること
・財務諸表だけでなく企業の内部状況について情報を得ること
・購入価格の上限を設定しておくこと
以上、いかがでしょうか。
これからも、 運送業に関するM&Aの様々な情報を共有してまいります。