投資運用業登録

投資運用業の登録要件

更新日:2024年3月18日


このページでは、

  • 投資運用業の登録要件
  • 投資運用業者の兼業規制
  • 投資運用業者の主要株主規制

の3点について解説しています。

①投資運用業の登録要件

 

組織要件

 

○「株式会社」であること

 「個人での申請不可」「”合同会社”含め株式会社以外の法人格は不可」です。

 

○取締役会設置会社であること

  取締役会設置会社のため、最低でも取締役3名+監査役1名以上が必要です。

  また、投資運用業者は、取締役・監査役の任期伸長は不可なので注意しましょう。 

 

○定款の目的欄に「投資運用業」等の記載があること

 

財産要件

 

○「資本金」及び「純財産額」が 5,000万円以上であること

 資本金要件は、5,000万円でクリアすることができますが、5,000万円ピッタリで設定すると、純財産額要件に抵触する場合があるので注意しましょう。

 

○決算内容・決算見込みが良好であること

 明確な基準はありませんが「債務超過」や「連続赤字決算」等、金商業者の財産基盤としてふさわしくない要素があると、登録申請自体が難しくなる場合も。

 

事務所(場所)の要件

 

○適切な使用権を有する”独立した区画”を確保すること

 

 例えば、賃貸の場合「賃貸借契約の名義/使用用途/契約期間」含め、金商業者として適切な区画を確保していることが必要です。

 登録申請時には、全役職員の名前入りの配席図等の提出が求められます。

 (NG事例)バーチャルオフィス 他社とのシェアオフィス 

 

 

人的構成要件(業務を適確に遂行するに足りる人的構成を具備すること)

投資運用業の場合、監督指針に従い、以下の体制整備が必要です。

 

○経営者(=代表取締役):

 その経歴及び能力等に照らして、投資運用業者としての業務を公正かつ的確に遂行できる資質を有していること

 

○常務に従事する役員:

 金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理

 に関する十分な知識・経験を有すること       

      

○資産運用担当者:       

 権利者のために資産運用を行う者として、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者が確保されていること       

      

○コンプライアンス担当者:       

 資産運用部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として十分な知識及び経験を有する者が十分に確保されていること       

      

○内部管理担当者:       

 上記の他、行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人的構成にあること       

      

○その他:       

 行おうとする業務について、「運用財産の分別管理」「リスク管理」「法人関係情報管理」等、監督指針上求められる体制整備が可能な要因が確保されていること       

人的構成を整備する際の注意点

「人的構成要件」は、ライセンスを取得する上で“最重要”の要整備項目です。

ただし、金商法上、いつどんな経験が何年以上ある人が何名確保されていればいいか等、具体的な基準は明記されていません。

個社別に、行う業務内容・規模等に応じて「適切に業務遂行可能な体制」を検討した上で、登録申請手続きにおいて、当局に説明し、納得してもらう必要があるんです。

「ピカピカの経歴の方を揃えたはずなのに登録申請が難航する」のは、以下のようなケースです。

  • 過去勤務した金商業者での出来事(行政処分・届出遅延等)に問題がある場合
  • 雇用形態や勤務形態が不適切な場合 
  • 他社との兼務や自社内の兼務が不適切な場合

「高額な経費負担を覚悟して採用した途端、NG材料が出てきてしまった…」とならないよう、弊社では、人的構成に関する診断サービス(有償)を提供しています。

②投資運用業者の兼業規制

旧法(証券取引法)時代は、証券会社には「専業義務」とされ、「原則、証券業務以外の業を行ってはいけない」義務が課せられていた時期がありました。
 
それに対して、現行法(金融商品取引法)下では、第1種金融商品取引業者及び投資運用業者は、それぞれの本来業務(第1種金融商品取引業務・投資運用業務)及びそれに付随する業務(「付随業務」)を行う他、個別に「届出業務」と「承認業務」を行うことができるとされています。
 
つまり、一定の規制のもと、兼業の余地が与えられており、以下が兼業業務となります。 
付随業務

付随業務とは、本業である金融商品取引業に付随する業務として認められる業務です。

 

金融商品取引法の第35条1項には、付随業務が例示列挙されており、他の事業者のM&Aに関するアドバイザリー業務や経営コンルティング業務等が該当します。

 

旧法(証券取引法)上は届出業務とされていた業務に関しても、金融商品取引法の改正に併せて、付随業務として認められています。 

 

届出業務

届出業務とは、本業である金融商品取引業及びその付随業務の他に、届出をすることで認められる業務です。

金融商品取引法の第35条2項及び業府令の中には、届出業務が限定列挙されており、

例えば、宅地建物取引業や不動産特定共同事業等が挙げられます。

 

届出のタイミングは、当該業務を行うこととなった際に、遅滞なく、金融庁又は財務局へ提出する形になります。

 

承認業務

承認業務とは、本業である金融商品取引業、付随業務、届出業務以外、全ての業務を指します。

 

特に承認申請ができる業務に限定はありませんので、基本的にどんな業務での承認申請を行うことが可能です。

ただし、「承認」を受けなければ行うことはできません。

 

例えば、公益に反する業務はもちろん、本業である金融商品取引業の継続が困難になる業務だったり、損失発生のリスクが多い業務(投資者保護に欠ける場合)等については、承認を得るのが難しいと言えます。

 

③投資運用業者の主要株主規制

金融商品取引業者のうち、第一種金融商品取引業者及び投資運用業者には、
主要株主規制がかかってきます。
主要株主とは、総議決権の20%以上の議決権(※)を保有している者等を指します。
さらに、50%を超えるの議決権を保有している者を特定主要株主といいます。
主要株主又は特定主要株主が欠格事由(成年被後見人等)に該当していると、
登録拒否事由となりますので、注意が必要です。

(※)・・・会社の財務及び業務の方針の決定に対して重要な影響を与える場合は、
      15%以上の議決権でも届出の対象者となります。

下記に該当する場合は、遅滞なく当局に届出が必要です。
なお、届出は、金融商品取引業者からではなく、当該主要株主又は特定主要株主から行います。

 
 ①第一種金融商品取引業者又は投資運用業者の主要株主となったとき

 ②第一種金融商品取引業者又は投資運用業者の主要株主でなくなったとき

 ③保有議決権割合が変わり、主要株主から特定主要株主に該当することになったとき

 ④保有議決権割合が変わり、特定主要株主から主要株主に該当することになったとき