資金決済法に基づく資金移動業者として登録するための要件
更新日:2024年12月18日
資金移動業者として登録するためには、資金決済に関する法律(通称、資金決済法)が定める基準を満たす必要があります。
登録を目指す事業者は、適切な内部管理体制や資金管理の仕組み等を整えることが求められます。
資金決済法における登録の拒否事由
資金決済法では、資金移動業者としての登録を拒否する事由を明確に定めています。
つまり、登録するためにはこれらの事由に該当しないように社内態勢を整える必要があるということです。
以下は、実際の条文の引用です。(目次にもなっています。)
本記事では、それぞれの項目についてわかりやすく解説していきます。
(登録の拒否)
第四十条 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 株式会社又は外国資金移動業者(国内に営業所を有する外国会社に限る。)でないもの
二 外国資金移動業者にあっては、国内における代表者(国内に住所を有するものに限る。)のない法人
三 資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない法人
四 資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人
五 この章の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていない法人
六 他の資金移動業者が現に用いている商号と同一の商号又は他の資金移動業者と誤認されるおそれのある商号を用いようとする法人
イ 心身の故障のため資金移動業に係る職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ニ この法律、銀行法等、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)若しくは信託業法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ホ 資金移動業者が第五十六条第一項若しくは第二項の規定により第三十七条の登録を取り消された場合又は法人がこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録(当該登録に類するその他の行政処分を含む。)を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にその法人の取締役等であった者で、当該取消しの日から五年を経過しない者その他これに準ずるものとして政令で定める者
資金決済に関する法律 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=421AC0000000059
株式会社又は外国資金移動業者であること
資金移動業者として登録をすることができるのは、株式会社か、外国資金移動業者に限られています。
個人事業者が資金移動業者となることはできません。
外国資金移動業者とは、資金決済法に相当する外国の法令によりその外国において資金移動業の登録と同様の登録を受けて為替取引を行っている事業者をいいます。
外国資金移動業者として登録を行うには、日本国内に支店を設置する必要があります。
外国資金移動業者にあっては、国内に住所を有する代表者がいること
外国資金移動業者として資金移動業の登録を受ける場合、国内に営業所を有する外国会社であることや、日本国内の住所を有する代表者を選任する必要があります。
特に外国籍の代表者を選任する場合は、その方の在留資格が資金移動業を行うのに問題がないかを確認する必要があります。
資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有すること
金融庁が提供しているガイドラインでは、資金移動業を行う事業者に求める財産的基礎として以下を挙げています。
- 申請者が法に基づく履行保証金の供託等の義務を履行するに足る財産的基礎を有しているか
- 利用者に対する資金の授受を円滑に行うに足る態勢を有しているか
- 収支見通しについて、競合者の参入、システムの陳腐化等、環境の悪化に伴う対応方策が確立しており、その場合でも一定の収益を見込めるような計画となっているか
財産的基礎については、一律に資本金の額や純資産額を求めるといった定量的な基準は設けられていません。
登録申請者が行おうとする資金移動業の内容及び方法に応じて、必要となる財産的基礎を有するかを具体的に審査されることになります。
資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていること
社会インフラの一部としての役割も求められる資金移動業には、送金業務を行うのに十分な業務運営や業務管理がなされることを求められます。
資産保全義務の履行など、資金決済法に定める措置が確実に行われることを意味します。
資金決済法を遵守するために必要な体制の整備が行われていること
必要な体制が整備されているかどうかの基準として、金融庁が提供しているガイドラインでは、以下のようになっています。
- 国際送金や現金の受払いの有無など、当該資金移動業者の規模・特性等からみて、適切に対応するための態勢(法令等遵守のための態勢のほか、特に相互けん制機能が有効に機能する内部管理部門の態勢(業容に応じて、内部監査態勢)を含みます。)が整備されているか
- 定款又は寄付行為等に法人の目的として資金移動業を営むことが含まれているか
- 特に、国際送金を取扱うことを予定している申請者については、外国為替及び外国貿易法、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律等、国際送金に係る関係法令を踏まえた態勢整備が行われているか
- 申請者が行う業務に国際送金が含まれている場合には、登録申請書に記載されている未達債務の算出時点及び算出方法が、申請者が使用する約款の記載事項と合致しているか
他の資金移動業者と誤認されるような商号を用いていないこと
他の資金移動業者と同一又は類似の商号や名称を使用して資金移動業の登録をしようとすると、利用者が為替取引を提供する事業者の区別ができず、利用者保護に欠けるおそれがあることから、登録が認められません。
過去に資金移動業の登録等の取消しを受けていないこと
過去5年間に、資金移動業の登録、資金清算業の免許を取り消されたり、資金決済法、銀行法等に相当する外国の法令の規定により同種の登録、免許を取り消されたことがある事業者は登録を受けることができません。
過去に特定資金移動業又は電子決済手段等取引業等の廃止命令を受けていないこと
過去5年間に、特定資金移動業や電子決済手段等取引業に関する廃止命令を受けた事業者や、資金決済法や銀行法等に相当する外国の法令に基づき、同種の業務に対して廃止命令を受けた事業者は登録を受けることができません。
過去に資金決済法・銀行法等の違反により罰金刑に処せられていないこと
過去5年間に、資金決済法、銀行法等、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑又はこれに相当する外国の刑に処せられたことがある事業者は登録を受けることができません。
他に行う事業が公益に反していないこと
資金移動業者は、社会インフラの一部を担う役割から、信頼性が確保されなければなりません。
資金移動業の他に行う事業が公益に反すると認められる者は、資金移動業者となることができません。
公益に反する事業とは、違法事業のみならず社会的に不当と認められる事業も含み、例えば、暴力団をはじめとする反社会的勢力と関係する事業や、その事業内容が社会的に批判を受け、又は受けるおそれがあるものなどを指します。
取締役・監査役等が成年被後見人等に該当しないこと
資金移動業登録をしようとする事業者に下記に記載する欠格自由に該当する役員の方がいる場合は、登録を受けることができません。
- 成年被後見人、被保佐人(外国の法令上これらに相当する者)
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(外国の法令上これに相当する者)
- 禁錮以上の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過していない者
- 資金決済法、銀行法等、出資法、暴力行為等処罰法(これらに相当する外国の法令)に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過していない者
- 資金移動業者が登録を取り消された場合(外国において同種の登録を取り消された場合)の取消の日前30日以内に取締役等であった者で、5年を経過していない者、その他これに準ずるものとして政令で定める者
資金移動業に関する相談はサポート行政書士法人へ
サポート行政書士法人では、新規で資金移動業界へ参入される方から、既存の資金移動業者の皆様に対して、資金決済法に関する申請サポートやコンサルティングを行っています。
資金移動業登録は専門性が高く、対応している行政書士が少ない分野の一つと言えます。
日々企業の皆様の代理人として行政庁への申請や折衝を行っている行政書士だからこそ蓄積できるノウハウ・実績を元に、資金移動業に関する法務サービスを提供します。
初回の面談は無料で承っています。
下記電話番号又は問い合わせフォームからぜひご相談ください。
電話でのお問い合わせ
03-3526-3915(平日9時~12時、13時~18時)