仮想通貨交換業登録申請はハードル走
1.ハードル走ってどういうこと?
仮想通貨交換業の登録申請は、ハードル走に似ています。どういうことかというと、仮想通貨交換業の登録申請というのは、事業者の財政基盤は十分か、利用者を保護するために適切な情報を伝えているか、犯罪組織やテロ組織へお金が流れないような対策をしているかといったハードル(クリアすべき課題)の全てを、一つ一つ飛び越えていくプロセスだからです。このハードルは全て飛び越える必要があります。一つでも飛び越えられなければ当局からストップがかかり、登録にはいたりません。最近のビジネスでは「ゆっくりやって100点より早く80点のものを出せ」と言われますが、仮想通貨交換業の登録については「減点をゼロにしろ」なのです。ですので、例えば事業者の財政基盤や利用者保護の体制等、他の全ての項目が飛び抜けてしっかりしていても、唯一、犯罪組織へのお金の移転を止める体制がザルならば、登録はできなくなってしまいます。
2.登録という行政手続
なぜ、仮想通貨交換業登録はハードル走のようになるのでしょうか?あくまで個人的な見解ですが、仮想通貨交換業の「登録」という行政手続が要因のように思えます。日本の行政手続きは、許可、認可、免許、特許、登録、届出といった種類があり、それぞれ特徴があります。例えば外国人が日本に滞在するために必要な在留資格を得るには「許可」が必要ですが、管轄する入国管理局の裁量権が比較的大きく、要件を全て満たしても(ハードルを全て飛び越えても)、担当者の判断で許可されない可能性は残ります。逆を言えば、仮に一つの要件に少々怪しい部分があっても、全体的に見て申し分のないものならば、担当者の判断で許可されるケースも実際にあります。一方、「登録」は役所の裁量権が比較的小さく、原則として要件を全て満たしていれば(ハードルを全て飛び越えれば)、役所はOKにしなければなりません。だからこそ、役所は「(要件を全て満たせばOKになるのだから)要件を全て満たしてよ」となり、間違いが一つもないかチェックするようになったのだと思います。
3.事業者としてはどうするべきか?
それでは、事業者としてはどのようにするべきでしょうか?前述したように仮想通貨交換業登録申請はハードル走のようなもので、全てのハードルを一つ一つ飛び越えていく以外にありません。どれかのハードルで素晴らしく高く飛ぶ必要はなく、例えば及第点しかいかなくても全てのハードルをきちんと飛び切ることが重要です。そのため事業者としては、当局が求めている要件の一つ一つの具体的内容(※1)を知り、それらに合わせて事業体制を整え、社内規定類を含めた申請書類を作成していくという地道なプロセスをこなしていくことになります。もちろん、実際の事業体制や実現したいこともありますので、それらとの兼ね合いも取りつつ、上手に登録に向けてバランスを取っていくことも必要性も出てきます。
(※1)・・・要件の詳細な内容は事務ガイドラインに記載。
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20161228-4/29.pdf
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