第二種金融商品取引業

第二種金融商品取引業とは?主な登録要件を解説!

株式や債券といったメジャーな金融商品ではなく、「信託受益権」「ファンド」「社員権」といった、より流動性が低い金融商品を取り扱う業務は第二種金融商品取引業と呼ばれています。
 
第二種金融商品取引業に関する基本的な知識、主な登録要件や規制など、事業を始めるうえで知っておきたい情報を専門家の視点からわかりやすく解説します。

金融商品取引業とは、金融商品取引法その他関連法令等に基づいて、投資性のある金融商品を取り扱う業務のことを指します。
これらの業務は、投資家の保護や市場の健全性を確保するために規制されています。
 
金融商品取引業は、以下の4つのカテゴリに分類されます。

  • 第一種金融商品取引業
  • 第二種金融商品取引業
  • 投資運用業
  • 投資助言・代理業

これらの業務を行うためには、金融庁の審査と登録が必要です。
審査・登録において、金融商品取引業者は、最低資本金などの財産的基盤や事業者としての適格性の基準を満たすことが求められます。

第二種金融商品取引業は、株式や債券、ETFなどの流動性の高い有価証券ではなく、流動性の低い「二項有価証券」を取り扱う業務を指します。

金融商品取引法第2条第2項で規定されているこれらの有価証券は「みなし有価証券」とも言います。
そして、証券または証書に表示されるべき権利以外の権利も有価証券とみなすことから、みなし有価証券とも呼ばれるのです。

具体的には、主に以下のような業務を行う場合に登録が必要です。

①信託受益権の売買、売買の媒介、募集の取扱い(媒介)
 例)宅地建物取引業者「現物不動産ではなく、不動産信託受益権として売買等業務を行いたい」

②ファンドの自己募集、募集の取扱い(媒介)
 例)金融系スタートアップ企業、金融商品取引業者「新たにファンド業務を行いたい」

もちろん、①②業務同時スタートで第二種金融商品取引業の登録手続きを進めることも可能ですが、業務開始時期や要件の整備状況等により、優先順位を付けた対応が必要となるケースがあります。

なお、全国には1,205社の第二種金融商品取引業者が存在しています(2024年5月末時点)。

「みなし有価証券」には、具体的に以下のようなものが含まれます。

  1. 信託受益権
  2. 集団投資スキーム持分(ファンド)
  3. 合同会社の社員権、合名会社および合資会社の社員権

1.信託受益権

信託受益権とは、委託者が自らの資産(例えば不動産)を信託銀行などの受託者に信託し、その資産から発生する経済的利益(賃料収入など)を受け取る権利を指し、売買することも可能です。

2.集団投資スキーム持分(ファンド)

一般にファンドと呼ばれるものの基本的な仕組みは、出資者が資金を出し、その資金を活用して事業が行われ、その事業から生じた収益を出資比率に応じて分配する仕組みです。

集団投資スキーム持分とは、そのファンドの持分、つまり出資割合に応じて分配を受ける権利のことです。
ファンドの対象となる事業は多岐にわたり、太陽光発電事業、リース事業、スタートアップ企業への投資、地域活性化事業、SDGs関連事業などがあり、どの事業を対象とするかで必要な許認可も変わります。
 
第二種金融商品取引業のみでファンドの運用が行えない場合もありますので、注意する必要があります

3.合同会社の社員権、合名会社および合資会社の社員権

合同会社の社員権とは、株式会社における株券と類似した権利であり、合同会社の有限責任社員たる地位を指します。

合同会社は日本における会社形態の一つで、出資者と経営者が原則として同一人物であることが特徴です。
出資者全員が有限責任社員で構成される合同会社は、全員が無限責任社員である合名会社や、無限責任社員と有限責任社員が混在する合資会社と同様に持分会社に分類されます。

株式会社では、所有と経営の分離が原則ですが、合同会社では所有と経営が一体化しています。
金融商品取引法では、合同会社の社員権もみなし有価証券として規制の対象となっており、同様に特定の合名会社や合資会社の社員権も規制対象となっています。

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第二種金融商品取引業を行うためには、原則として内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

第二種金融商品取引業は登録制であり、要件を満たせば、法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)や個人でも登録申請を行うことが可能です。
無登録で営業を行った場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方の刑罰が科されることがあります(金融商品取引法第197条の2)。

第二種金融商品取引業の登録を受けるためには、以下のような要件を満たすことが必要です。
各要件は、新規登録時点だけでなく、登録後も継続してクリアする必要があります。

財産の要件

①資本金が 1,000万円以上であること(法人の場合)
 営業保証金として 1,000万円の供託(個人の場合)
 
②決算内容・収支見込みが良好であること
 ※株主の属性・関係性等も注意

【ポイント】

・登録申請時に、直近一年間の決算書と今後二年間の収支見込を提出。

 赤字決算や債務超過があると不利になります。

[事務所の要件]

①適切な事務所の使用権限を有していること
 
②物理的な独立性を確保できていること
 (適切な使用権限を有する独立した占有区画(事務所)の確保)

【ポイント】

・登録申請時に、役職員の名前入りの配席図等を提出。

 情報管理を含む適切な業務遂行が可能な事務所を、常時確保できていることが必要。

・バーチャルオフィス・他社共有オフィス等はNG。

[組織・人的構成の要件]

①経営者要件
金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる資質

②常務に従事する役員要件
金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確な遂行に必要なコンプライアンス及びリスク管理に関する知識・経験等
 
③業務の適確な遂行に必要な人員の確保
各部門に各部門が担当する業務に通じた知識・経験(金融商品取引業者における経験)のある責任者の配置 等
(例)営業部門・コンプライアンス部門・内部監査部門の設置
   各部門に各部門が担当する業務に通じた知識・経験ある責任者の配置 等

[その他の要件等]

①定款の目的欄に「第二種金融商品取引業」等の記載があること(法人のみ)
 
②金融ADR 制度への対応((一社)第二種金融商品取引業協会に入会)
 (参考:入会金 100 万円、年会費 50 万円)

③登録拒否事由への非該当


サポート行政書士法人では、第二種金融商品取引業に関するご相談を承っています。
初回相談無料ですので、Webサイトをご覧になって「相談したい」という方や「もっと詳しく知りたい」という方は是非お問い合わせください!

サポート内容

新規登録地方財務局への登録・協会への入会を代行
変更登録・変更届登録事項に変更があった場合に必要な変更登録・変更届を代行
事業報告書提出営業年度を終了して3ヶ月以内に行う事業報告書の提出を代行
契約書面作成必要となる契約前交付書面・契約時交付書面の作成
社内規程類の作成社内規程類の作成
社内研修の実施コンプライアンスとして求められる社内研修の実施
内部監査支援の実施定期的に必要となる内部監査支援の実施