クラウドファンディング
■クラウドファンディングとは
クラウドファンディングは、「crowd(群衆)」と「funding(資金調達)」を合わせた造語で、“ある事業を行う為に、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組み”をいいます。
クラウドファンディングでは、一般的に「クラウドファンディング事業者」が仲介役となって、「資金を集めたい事業者(個人・法人)」と「資金を提供したい人(支援者/投資家)」とを、マッチングするサービスを提供しています。
また、一言で「クラウドファンディング」といっても、実はその種類は様々。
一般的には、資金提供者が受ける見返り(リターン)の形態により、①寄付型 ②購入型 ③投資型の3つのパターンに分類されます。
スキーム次第で、必要な許認可や適用規制も変わってくる為、クラウドファンディングを行う目的等に応じて上手に使い分ける必要があります。
以下、それぞれ解説します。
①寄付型クラウドファンディング
②購入型クラウドファンディング
③投資型クラウドファンディング
[①寄付型クラウドファンディング]
寄付型クラウドファンディングでは、資金提供者はお金を「寄付」します。
いわゆる「寄付」なので、資金提供者は、金銭的・非金銭的にも見返り(リターン)は無く、被災地の復興支援等、社会貢献性/公益性の高い事業で活用されやすいスキームです。
(寄付型クラウドファンディングの一般的なスキーム例)
寄付型クラウドファンディングの場合、見返り(リターン)がない単なる寄付の為、基本的に、金融商品取引法等の許認可も不要です。
[②購入型クラウドファンディング]
購入型クラウドファンディングでは、資金提供者は、商品・グッズ・サービスなど、非金銭的な見返り(リターン)を受けます。
資金提供者としては、そのリターンを購入する感覚で出資(支援)することができるスキームで、例えば、コンサート・イベント・映画等の興行系の事業、商品開発系の事業等で活用されやすいです。
購入型クラウドファンディングでは、「All-or-Nothing型」と「All-In型」の2種類があり、事業者はその目的に応じた設定を行うことができます。
(実際は、クラウドファンディング事業者によって運用・ルールが異なる為、ご注意ください。)
All-or-Nothing型 (オールオアナッシング) | 募集期間内に目標金額を達成した場合のみ、プロジェクトが成立する方式。目標金額を達成しなかった場合、プロジェクトは不成立(終了)となり、事業者は集まった資金を受け取ることができず、集まった資金は返金されます。 |
All-In型 (オールイン) | 募集期間内に目標金額を達成しなかった場合でも、一人でも支援者がいれば、プロジェクトが成立する方式。プロジェクトが成立した場合、事業者は集まった資金額に関わらず、予定していたプロジェクト・リターンを実行しなければなりません。 |
例えば、「新開発製品で予め消費者の反応をみたい場合(テストマーケティング)」等に、All-or-Nothing型を選択し、募集期間中の集客スピードや反響を見たり、また、グループ結成やイベント実施可否をクラウドファンディングの募集結果(プロジェクト成否)に委ねるケースもあります。
さらに、購入型クラウドファンディングでは、設定したプロジェクト商品・企画等のコアユーザーやファンを集めることができる為、そのリアルな声を聞き、商品等の改善に活かす機会として活用される場合もあります。
(購入型クラウドファンディングの一般的なスキーム例)
購入型クラウドファンディングの場合、基本的に、金融商品取引法等の許認可は該当しませんが、特定商取引に関する法律(特定商取引法)等、インターネット通販事業と同様の規制がかかる為、 注意が必要です。
[③投資型クラウドファンディング]
投資型クラウドファンディングでは、資金提供者は、配当等の金銭的な見返り(リターン)を受けます。
投資型クラウドファンディングの中にも、以下のような様々な類型が存在し、どの類型かによって、スキームも登場人物も大きく異なります。
- ソーシャルレンディング(貸付型/融資型クラウドファンディング)
- 株式投資型クラウドファンディング
- ファンド型クラウドファンディング
- 不動産クラウドファンディング 等
(投資型クラウドファンディングの一般的なスキーム例)
投資型クラウドファンディングの場合、寄付型・購入型に比べて適用規制が厳しい傾向にあり、実際は、スキームに応じて、必要な許認可事業者(※)が関与した上で、金融商品取引法等の各種法規制に従った事業運営が必要になります。
(※)金融商品取引業者・貸金業者・不動産特定共同事業者 等
また、投資型クラウドファンディングに関する規制・法律は、改正が多いのも特徴です。
特に、不祥事等の問題が発生する度に規制・法律が厳しくなる傾向にある為、常に最新の法規制やその適用を確認するようにしましょう。
個別具体的な事情に応じて類型や法規制の確認を
以上が、①寄付型 ②購入型 ③投資型の3つのパターンとなります。
なお、実際にクラウドファンディング事業を行う際は、実際のスキーム等の個別具体的な事情に応じて、該当する類型や適用される法規制が変わってきますので、ご注意ください。