建設業許可申請

建設業の適正取引の注意点 

更新日:2025年3月5日


建設工事の見積条件の提示

元請業者が下請業者に見積条件を提示するにあたって、具体的内容を提示しない場合や、工期等に影響を及ぼす地盤沈下などの事象が発生するおそれがあると知りつつ、その情報を提供しないまま契約した場合は、建設業法違反になるおそれがあります。

<チェックポイント>
工事内容、工事着手及び工事完成の時期、支払時期及び方法等の具体的内容の見積条件は提示していますか?

見積期間の設定

元請業者が下請業者の見積りを行うために、必要な一定の期間を設けなかった場合は、建設業法違反になります。
必要な期間は建設業法で下記のように定められています。

  • 税込500万円未満・・・中1日
  • 税込5000万円未満・・・中10日
  • 税込5000万円以上・・・中15日以上

<チェックポイント>
工事1件の予定価格の金額に応じた見積期間が設けられていますか?

工事契約は着工前に書面で行う必要があり、口頭契約などの書面を交わさない契約及び工事着工後に契約書面を交付する行為は、建設業法違反になります。

※参考:建設業法
(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、
契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
(以下省略)

「書面」の他に、「相互に交付」という点も重要です。
注文書を一方的に発行するのみで、注文請書を発行しない場合は、「相互に交付」していないことになるため、建設業法違反となります。
契約書を相互に取り交わすことや、注文書及び注文請書を相互に取り交わすことが必要となります。
 
契約は工事着工前に交わしている必要がある点にも、注意が必要です。

<チェックポイント>
建設業法で定められた必要事項も含め、元請負人と下請負人の間で合意された事項を記載した契約書面を工事着工前に相互に交わしましょう。

追加工事等に伴う追加・変更契約も、書面を事前に相互に交付!


追加工事等により、契約内容を追加・変更する場合も、変更内容を記載した書面を改めて相互に交付しないと、
建設業法違反となります。

(第十九条第二項)
請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

変更契約も、追加工事等の着工前に交わしている必要がある点に、注意が必要です。
 
<チェックポイント>
契約内容を変更する場合、工事内容、工期、請負代金額の精算方法などについて協議し、変更内容を記載した書面を改めて交わしましょう。

建設業の働き方改革のために、適切な工期の確保が必要

建設業就業者の年間の実労働時間は、全産業の平均と比べて相当程度長い状況となっています。
国交省は、建設業就業者の長時間労働の是正を急務としており、建設業法上も「通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間」を工期とする契約は禁止されています。

建設業法 第19条の5

注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。
 

「適切な工期」の判断基準


「通常必要と認められる期間」は、 「工期に関する基準(令和2年7月中央建設業審議会勧告)」を参考に、工事内容、請負金額などの契約内容を総合的に検討する必要があります。

適正な工期で請け負うことができるのかを確認してから契約しましょう!

契約変更の際も、適切な工期の確保に注意

当初契約に限らず、契約変更の際も、工期の設定には注意が必要です。
下請負人の責に帰さない理由により、当初の契約どおり工事が進行しなかったり、工事内容に変更が生じるなどにより、工期を変更する契約を締結する場合も、上記の建設業法第19条の5は適用され、「著しく短い工期」を設定することも禁止されています。

当初契約時点で、工期変更時の紛争を未然に防止しましょう

工期の変更時に紛争が生じやすいため、未然防止の観点から、工期の延長や、それに伴う工事費用の増加が発生した際に、元請負人としっかり協議できるよう、当初契約で協議方法などを明確に定めておきましょう。

適切な工期の確保に関するチェック項目

  • 通常よりもかなり短い期間を工期とした契約をしていませんか。
  • 工期などの契約内容が変更になった場合に、元請負人と下請負人は、双方対等な立場において協議を行っていますか。
  • 当初契約の時点で、契約変更時の協議方法などを定めていますか。