建設業法改正(令和6年度)
更新日:2024年5月20日
令和6年3月8日に「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、さらには、働き方改革や現場の生産性向上を図るための措置が盛り込まれています。
①労働者の処遇改善
・建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化
⇒国は当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表
・労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告
・受注者及び注文者の双方に対して著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼を禁止
⇒違反発注者には国土交通大臣等が勧告
・併せて、受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止
上記の改正にあたって、建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化した上で、国は、
これらの取り組み状況を調査・公表し、中央建設業審議会へ報告するとしています。
また、労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、
著しく低い労務費等による見積書の作成や変更依頼が、受注者と注文者の双方において禁止され、
違反発注者に対しては、国土交通大臣等による勧告がなされます(図)。
加えて、不当に低い請負代金による原価割れ契約の禁止について、受注者に対しても導入されます。
②資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
・資材高騰など、請負代金や工期に影響を及ぼす事象(リスク)がある場合、
請負契約の締結までに受注者から注文者に通知するよう義務化
・資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化
・注文者に対し、当該リスク発生時は、誠実に協議に応ずることを努力義務化
上記の改正にあたって、契約前のルールとして、資材高騰や主要な資材の著しい減少といった請負額に影響を及ぼす情報について、受注者から注文者に提供するよう義務化するとともに、資材が高騰した際の請負代金などの「変更方法」を契約書記載事項として明確化するとしています。
また、契約後のルールでは、資材高騰が顕在化した場合に、受注者が「変更方法」に従って工期や工事内容などに関する契約変更協議を申し出た時は、正当な理由がある場合を除き、注文者が誠実に協議に応じる努力義務が課せられます。
③働き方改革と生産性向上
・長時間労働を抑制するため、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止
・ICT活用等を要件に、現場技術者に係る専任規制
・公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化
・ICT活用による現場管理の「指針」を国が作成
⇒特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化
上記の改正にあたって、長時間労働を抑制するため、工期ダンピング対策を強化し、著しく短い工期による契約締結を受注者にも禁止する予定です。
また、ICTを活用した生産性の向上を目的に、遠隔通信の活用など現場技術者に関する専任義務を合理化するほか、国が現場管理の「指針」を作成し、多数の下請け業者に発注する特定建設業者や公共工事受注者に対して、効率的な現場管理を努力義務化するとしています。
そのほか、公共工事発注者への施工体制台帳の提出義務が合理化され、ICTの活用で施工体制を確認することができれば提出の省略が可能となります。
今後、2024~2029年度を期間として、全産業を上回る賃金上昇率の達成や、2029年度には技能者と技術者の週休2日の割合を原則100%とすることを目指す方針のようです。
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