日本支店設置のポイント
更新日:2024年11月26日
海外の法人が、日本国内において営業活動を行う形態の一つに、支店を設置して活動するという方法があります。
本社である本国の法人に付属する支店となり、利益に対する課税としては、原則として日本国内で発生した所得に対して課税されることになります。
法律上では「営業所」といいますが、名称は必ずしも「営業所」にする必要はなく、「支社」「支店」「日本オフィス」など任意に決定することができます。
◆もくじ◆
支店設置のための主な検討項目
設置方法 | 管轄法務局への外国会社の営業所設置登記申請を行うことにより設置ができます |
営業活動 | 販売、サービスなど売上となる契約に基づく行為が可能です。 |
銀行口座の開設 | 「日本支店」としての口座開設が可能です。 |
本国への送金 | 本国への送金は可能で、原則非課税とされています。 ※ |
資本金 | 支店では資本金の設定はなく、登記簿謄本上も本社の資本金が記載されます。 |
役員 | 最低1名の支店を代表する「日本における代表者」を選任する必要があります。「日本における代表者」は少なくとも1名は日本国内で住民登録をしている日本人か外国人である必要があります。 |
株主総会 | 株主総会の開催義務はありません。 |
株式会社への移行 | 簡易な移行はできず、日本支店の閉鎖、日本法人(株式会社)の設立の手続きを経ることになります。 |
債権者に対する本社の責任 | 取引や訴訟などによる債務は限度額なく本社が責任を負う必要があります。 |
従業員の雇用 | 可能 |
税務署等への届出 | 必要 ※ |
課税 | 法人税(国税)、地方法人税(国税)、法人住民税(地方税)、事業税(地方税)などの対象となります。 |
課税の対象 | 以下のようなものが代表例となります。 国内における事業による所得 技術者等の派遣事業の対価 国内不動産等の賃貸料 国内にある営業所に預けられた預貯金の利子 内国法人から受ける配当 国内において事業を行う者に対する貸付金の利子 国内において事業を行う者から受けるライセンス料、ロイヤリティー、機械・装置の使用料 国内不動産の譲渡による所得 国内資産の運用による所得 「JETROより引用」 |
※詳しくは税理士・会計士へご相談ください。弊社提携の税理士・会計士のご紹介も可能です。
日本における代表者の決定
支店設置を行うにあたり、支店の代表である「日本における代表者」を選任し、法務局へ登記する必要があります。
日本における代表者は、日本国内における裁判上又は裁判外の一切の行為をなす権限を有しますので、適切な人物を選任する必要があります。
日本における代表者は、複数名を選任することが可能ですが、少なくとも1名は日本に住所を有する方(住民登録をしている方)であることが必要になります。
外国人の方を選任する場合は、投資経営ビザ(経営管理ビザ)、企業内転勤ビザ、人文知識・国際業務ビザ等の在留資格を得る必要があります。
永住ビザを保有されている外国人の方が就任するケースもよく目にします。
宣誓供述書(アフィダビット・AFFIDAVIT)
日本支店を設置する手続きの中で重要となるのが、宣誓供述書の作成です。
欧米諸国を初め、世界各国で認められた制度で、法廷外で公証人その他宣誓を司る者の面前で宣誓した上、記載内容が真実であることを確約し、署名したものをいいます。
swearやtake an oathとして宣誓されてる文書もあるようです。
支店を登記するにあたっては、法律上以下の①~④の資料を提出必要があります。
①本店の存在を認めるに足りる書面
②日本における代表者の資格を証する書面
③外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
④会社法第939条第2項 の規定による公告方法についての定めがあるときは、これを証する書面
①~④の書面をそれぞれ用意して、登記申請の際に提出することも可能ですが、例えば①ですと本国の本社の登記簿謄本になりますが、これを本国で公証を受け、それを翻訳した資料を提出する必要があり、手続きが複雑になってしまいます。
そこで、①~④の記載項目を一つの書面にまとめ、宣誓供述書として公証を行う資格を保有した者の公証を受けて、提出することで簡素化ができます。
この宣誓供述書の作成は、本社の国によって、日本国内でできるもの、本国で行わなければならないものにわかれます。
手続きに必要な期間
登記申請に必要な全ての書類が整い、法務局に申請すれば1週間程度で完了します。
ただ、この申請までには宣誓供述書の認証手続きなどが必要となります。
国によっても手続き方法が異なりますので、
早めに具体的な手続きを確認した上で準備を進めていく必要があります。
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