特定処遇改善加算とは
特定処遇改善加算の概要
正式名称を「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」といいます。
処遇改善加算との違いとして、加算対象が異なることが最大の特徴です。
・処遇改善加算
→直接処遇職員(現場の職員)を対象
・特定処遇改善加算
→事業所における中核人材を対象
※中核人材とは?
=福祉・介護業界で勤続年数が10年以上且つ介護福祉士の資格を持つ人
実務経験が相当年数あり、福祉関係の国家資格を取得している人
また、特定処遇改善加算は、現行加算とは別枠で取得できます。
(ただ、既存の処遇改善加算(Ⅰ~Ⅲ)のいずれかを算定する必要あり)
さらに、現行加算とは異なり、「サービス管理責任者」や、「児童発達支援管理責任者」「事務員」「調理員」などにも配分可能である点が、
特定処遇改善加算の最大の特徴です。
特定処遇改善加算の算定要件
・特定処遇改善加算の区分
特定処遇改善加算にはⅠとⅡの区分があり、区分によって加算率が異なります。
また、区分ごとに求められる要件も違ってきます。
・特定処遇改善加算の要件と区分の決定
特定処遇改善加算を算定する場合、まずは加算算定のための要件を確認する必要があります。
特定処遇改善加算の要件は、以下の4つです。
(1)配置等要件 | 「福祉専門職員配置等加算」の算定によって満たすことが可能 |
(2)現行加算要件 | 現行の処遇改善加算の(Ⅰ)から(Ⅲ)のいずれかを算定していれば満たすことが可能 |
(3)職場環境等要件 | 「入職促進に向けた取組」 「資質の向上やキャリアップに向けた支援」 「両立支援・多様な働き方の促進」 「腰痛を含む心身の健康管理」 「生産性向上のための業務改善の取組」 「やりがい・働きがいの構成」 上記6つの分野のうち、任意の3分野を選択して、その中から各「1つずつ」以上実施する必要がある |
(4)見える化要件 | 令和2年度から実施された要件です。職場環境等要件の取組を「障害福祉サービス等情報検索サイト」へ公表したり自社ホームページに掲載するなどして公表することで満たすことが可能 |
特定処遇改善加算の配分ルール
特定処遇改善加算の配分には、一定の手順があります。
手順1:事業所の全職員を「A人材」「B人材」「C人材」の3つのグループに分ける
「A人材」=A人材は、経験・技能のある福祉・介護職員が該当します。
例:勤続10年以上且つ介護福祉士の資格を持つ者等
「B人材」=B人材は、A人材には該当しない福祉・介護職員です。
「C人材」=C人材は、福祉・介護以外の職員が該当します。
例:事務員や調理員等
手順2:それぞれのグループに配分する金額を設定する(注意点が2つ)
「注意点1」=平均配分額の比率の目安が予め提示されています。
A人材:B人材:C人材=4:2:1 の比率です。
つまり、A人材に毎月4万円の配分をした場合、B人材は2万円、
C人材は1万円という比率になります。
※厳密には、A人材はB人材の2倍以上、BはCの2倍以上にする
「注意点2」=A人材の賃金改善額は基準が設けられています。
A人材のうち一人以上は、月額平均8万円以上の賃金改善
または年額440万円を超える賃金水準への改善が必須となってきます。
配分ルールの例外
上記の注意点2でも記載した通り、事業所内の人材をABCの3つのグループに分けるのが原則ですが、必ずしも3つに分けなければならないわけではありません。
具体例は以下に提示しています。
「A人材がいない場合」
→事業所が新設であり、経験・技能のある福祉・介護職員がいない事業所や、月額8万円以上の賃金改善または年額440万円水準への賃金改善が困難な事業所は、A人材を設定せずに、B・C人材のみの設定も可能となります。
(配分比率は、B:C=2:1)
「福祉・介護職員の全員がA人材に該当する場合」
→A人材とC人材のみを設定することが可能。
(配分比率は、A:C=4:1)
「福祉・介護職員のみに加算を配分したい場合」
→A人材とB人材だけを設定することが可能。
(配分比率は、A:B=2:1)
※いずれの場合においても、全職員への周知は必要です。