児童発達支援定員の考え方
障害児通所支援事業所(児童発達支援や放課後等デイサービス)を運営している皆様は、定員超過利用減算についてご存知でしょうか。 「聞いたことはある」、「なんとなく把握している」という方もおられると思います。
しかし、定員超過利用減算について事業者はきちんと把握しておかなければいけません。 児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける定員超過利用減算が適切に算定されておらず、
障害児通所給付費が過大に支給されている事例が発生したことを受け、 厚生労働省は令和4年2月28日に「障害児通所支援事業所における定員超過利用減算の取扱いについて」という通知を出しています。
この通知の認識を間違えて障害児通所給付費を過大に請求してしまうと、最悪行政処分・指定の取消にもなりかねません。
サポート行政書士法人では年間約100件以上の障害福祉サービスに関する相談を受けています。
専門チームで手続きを代行していますので、障害福祉サービス業に詳しいスタッフが多数在籍しています。
本ページでは、「障害児通所支援の定員」の考え方について、具体的な数字を出しながら解説しています。
これを読めば、事業所の障害児通所給付費を過大に請求してしまうことを防げるでしょう。
児童発達支援事業所の定員数の考え方
人員基準は常勤換算で考えます。
例)
児童指導員又は保育士の数が常勤2名(月160時間/人)、非常勤2名(月80時間/人)の場合、計4名で20名の受け入れが可能なわけではなく、常勤換算後3名となり15名の受け入れが可能です。
定員10名の場合、児童指導員又は保育士の数が2名の時、
〇Aクラス5名+Bクラス5名=10名は可能ですが、
✖Aクラス10名+Bクラス10名=20名は定員超過となります。
週7日開所する事業所の場合など、常に常勤が出社する必要はありません。
ただ定員10名の事業所であれば、土日に5名ずつしか来なかったとしても、サービス提供時間に2名(非常勤でも可)の配置は必要になるのでご注意ください。
★ちなみに現在開所している児童発達支援事業所は10名定員が多いです。
これは10名を超えると基本単価が減額になるためです。
減算について
基本原則
事業所は、指定基準において利用定員及び指導訓練室の定員を超えて、児童発達支援、医療型児童発達支援又は放課後等デイサービス(通所支援)の提供をおこなってはいけないことになっています。
利用定員を超過して障害児に通所支援を行うことは指定基準を満たさないことになるため、事業所においては利用定員を超過しないよう、障害児の利用する曜日の調整をする必要があります。
ただし、やむをえない事情がある場合は定員超過が認められます。
やむを得ない事情がある場合の取り扱い
定員超過については、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は認められています。
やむを得ない事情の例は下記のとおり
〇災害やコロナにより他の事業所が閉鎖した場合
〇安否確認の必要な児童がいる場合
〇一ヶ月前に翌月の予定を確定させますが、確定後に退院した児童を受け入れる場合
〇欠席しがちで、定期的な利用を見込むが難しい障害児に継続した支援が必要な場合
〇障害児の家庭状況や地域資源の状況から受入をしないと、障害児の福祉を損ねる場合
※都道府県等において個別の事情ごとに判断される事になります。
①定員超過の減算
次の(1)、(2)の範囲の定員超過利用については、適正なサービスの提供が確保されることを前提に可能ですが、過剰な定員超過利用の未然防止を図るため、(1)、(2)の範囲を超える定員超過利用に関しては、定員超過利用減算が行われます。
(1)1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取り扱い
①利用定員50人以下の場合
1日の障害児の数が、利用定員を1.5倍した数を超える場合に、対象の1日について障害児全員につき減算を行います。
(例1)利用定員10人の場合、10×1.5=15人
・1日の障害児の数が15人 :定員超過利用減算とならない。
・1日の障害児の数が16人 :定員超過利用減算となる。
(例2)利用定員が5人の場合、5×1.5=7.5人⇒8人(小数点以下切り上げ)
・1日の障害児の数が8人 :定員超過利用減算とならない。
・1日の障害児の数が9人 :定員超過利用減算となる。
②利用定員51人以上の場合
1日の障害児の数が、利用定員に、当該利用定員から50を差し引いた数に、0.25倍した数に
25を加えた数を加えて得た数を超える場合に、対象の1日について障害児全員につき減算を行います。
例)利用定員が60人の場合、60+(60-50)×0.25+25=87.5人⇒88人(少数点以下切り上げ)
・1日の障害児の数が88人 :定員超過利用減算とならない。
・1日の障害児の数が89人 :定員超過利用減算となる。
(2)過去3月間の利用実績による定員超過利用減算の取り扱い
①利用定員12人以上の場合
直近の過去3月間の障害児の延べ数が、利用定員に開所日数をかけて得た数に1.25倍した数を超える場合に、当該1月間について障害児全員につき減算を行うものとされます。
例)利用定員30人、1月の開所日数が22日の場合
30人×22日×3月=1,980人
1,980人×1.25=2,475人
⇒3月間の総延べ障害児数が2,475人を超える場合に減算になります。
②利用定員が11人以下の場合
直近の過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に3を加えて得た数に開所日数をかけた数を超える場合に減算を行うものとされます。
例)利用定員10人、1月の開所日数が22日の場合 (10人+3)×22日×3月=858人
⇒3月間の総延べ障害児数が858人を超える場合に減算となります。
(3)多機能型事業所等における定員超過利用減算の取扱い
多機能型事業所における1日当たりの利用実績による定員超過利用減算及び過去3月間の利用実績による定員超過利用減算については、(1)及び(2)と同様になります。
ただし、多機能型事業所が行う複数のサービスごとに利用定員を定めている場合にあっては、サービスごとに、利用定員を超える受入れ可能人数を算出するものとされます。
例1)利用定員30人の多機能型事業所(児童発達支援の利用定員 10 人、生活介護の利用定員 20 人)の場合の1日当たりの利用実績による定員超過利用減算
○ 児童発達支援 10 人×1.5=15 人
・ 1日の障害児の数が 15 人 :定員超過利用減算とならない。
・ 1日の障害児の数が 16 人 :定員超過利用減算となる。(児童発達支援のみ)
○ 生活介護 20 人×1.5=30 人
・ 1日の障害者の数が 30 人 :定員超過利用減算とならない。
・ 1日の障害者の数が 31 人 :定員超過利用減算となる。(生活介護のみ)
例2)利用定員 30 人、1月の開所日数が 22 日の多機能型事業所(児童発達支援の利用定員 10 人、
生活介護の利用定員 20 人)の場合の過去3月間の利用実績による定員超過利用減算
○ 児童発達支援
・ 10 人×22 日×3月=660 人
・ 660 人×125%=825 人(受入可能延べ障害児数)
⇒ 3月間の総延べ障害児数が 825 人を超える場合、児童発達支援は減算となる。
○ 生活介護
・ 20 人×22 日×3月=1,320 人
・ 1,320 人×125%=1,650 人(受入可能延べ障害者数)
⇒ 3月間の総延べ障害者数が 1,650 人を超える場合、生活介護は減算となる。
(4)やむを得ない事由により障害児の数から除外するときの取り扱い
(1)から(3)における障害児の数の算定に当たり、災害等やむを得ない事由により受け入れる障害児は除くことができるものとします。
なお「障害の特性や病状等のため欠席しがちで、定期的な利用を見込むことが難しい障害児」は、この取扱いの対象とはならない点に注意しましょう。
(欠席しがちであっても、利用をする場合は障害児の数として計上します)
(5)定員超過利用の前提となる適正なサービス提供について
定員超過利用を可能とする前提となる「適正なサービスの提供」について、具体的な取扱いは以下のとおりとしている点に留意すること。
実際の利用人数に応じた人員基準や設備基準を満たしていること
(例:利用人数が 12 人の場合、児童指導員又は保育士を3人配置すること)を想定しています。
なお、災害の直後に必要な児童指導員等の確保ができない場合等合理的な理由が認められる場合は、利用定員に応じた人員基準(例:利用定員 10 人の場合で 12 人利用するときに、児童指導員又は保育士を2人配置)のまま定員超過することもやむを得ないものとされています。
加算について
定員10名の事業所だと、常勤1名+常勤換算後1名の計2名の配置があれば開所可能ですが、加えて1名の保育士を配置するなど、配置基準よりも多い人員を配置した場合は、「加配」と呼ばれる加算が発生します。
まとめ
児童発達支援事業所の定員数の考え方は以下の様になります。
〇人員基準は常勤換算で考える。
〇定員超過の減算は利用定員と過去3月間の利用実績から算出する
〇原則定員超過にならない様に工夫。多く人員を配置したときは加算
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