認定こども園の設置基準
近年では行政側も保育所より幼保連携型認定こども園を設置することを求める傾向にあります。
ここでは幼保連携型認定こども園の設置基準を解説します。
財産の基準
施設の使用権 | 原則として、幼保連携型認定こども園の経営を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有しているか、又は国若しくは地方公共団体から貸与若しくは使用許可を受けていることが求められます。 ただし、次の要件を満たす場合は、国又は地方公共団体以外の者から貸与を受けていても差し支えないこととされています。 ア 原則として、地上権又は賃借権を設定し、かつこれを登記すること。 ただし、次のいずれかに該当する場合などのように、安定的な事業の継続性の確保が図られると判断できる場合は、地上権又は賃借権の登記は行わなくても差し支えないこと。 ①建物の賃貸借期間が賃貸借契約において10年以上とされている場合 ②貸主が地方住宅公社若しくはこれに準ずる法人、又は、地域における基幹的交通事業者等の信用力の高い主体である場合 イ 賃借料が、地域の水準に照らして適正な額以下であること。 ウ 賃借料の財源について、安定的に賃借料を支払い得る財源が確保されていること。 エ 賃借料及びその財源が収支予算書に適正に計上されていること。 |
運営資金 | 幼保連携型認定こども園の年間事業費の12分の1以上に相当する資金を有していることが必要です。 |
職員の基準
園児の年齢と数に応じた配置 | 次に掲げる園児の年齢と数に応じた数の教育及び保育に直接従事する職員を置くことが必要です。 ア 満1歳未満の園児おおむね3人につき1人以上 イ 満1歳以上満3歳未満の園児おおむね6人につき1人以上 ウ 満3歳以上満4歳未満の園児おおむね20人につき1人以上 エ 満4歳以上の園児おおむね30人につき1人以上 |
常時2人以上の配置 | 幼保連携型認定こども園の園児の教育及び保育に直接従事する職員は、常時2人以上配置する必要があります。 |
専任保育教諭等の配置 | 満3歳以上の園児について、教育課程に基づく教育が適正に行われるように、原則として、学年の初めの日の前日において同じ年齢の園児で、学年進行上無理のないようにその数が35人以下となるように学級を編制し、学級ごとに担当する専任の主幹保育教諭、指導保育教諭又は保育教諭を1人以上置く必要があります。 |
職員の資格 | 幼保連携型認定こども園の園児の教育及び保育に直接従事する職員は、幼稚園の教諭の普通免許状を有し、かつ、保育士の登録を受けたものであることが求められます。 ただし、経過措置があり、法の施行の日から10年間(令和6年度末まで)は、幼稚園の教諭の普通免許状を有する者又は保育士の登録を受けた者は、園児の教育及び保育に直接従事する職員となることができることとされています。 |
園児の教育及び保育に直接従事する職員以外の職員 | 以下の職員を配置することが必要です。 ア 園医 イ 園歯科医 ウ 園薬剤師 エ 調理員(調理業務の全部を委託する幼保連携型認定こども園にあっては不要) オ 副園長又は教頭(置かないこともできる。) カ 主幹養護教諭、養護教諭又は養護助教諭(置かないこともできる。) キ 事務職員(置かないこともできる。) |
園舎その他設備の規模等に関する
園舎等の場所 | 幼保連携型認定こども園の園舎及び園庭は、同一の敷地内又は隣接する位置にあることが必要です。 |
園舎:階数 | 園舎は2階建以下、かつ、乳児室、ほふく室、保育室、遊戯室又は便所(以下「保育室等」)は1階に設けることを原則とされています。 ただし、耐火建築物で避難用設備及び園児が出入りし、又は通行する場所に、園児の転落防止設備が設けられている場合は2階に、避難用設備が避難上有効な位置に設けられ、かつ、保育室等の各部分からその一に至る歩行距離が30m以下となるように設けられていること、調理室の外部への延焼防止措置等が講じられていること、幼保連携型認定こども園の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材でしていること、園児が出入りし、又は通行する場所に、園児の転落防止設備が設けられていること、非常警報設備等及び消防機関への火災を通報する設備が設けられていること及び幼保連携型認定こども園のカーテン等で可燃性のものについて防炎処理が施されている場合は3階に保育室等を設けることができます。 この場合においても、3階以上の階に設けられる保育室等は、原則として、満3歳未満の園児の保育の用に供するものでなければなりません。 |
園舎:面積 | 幼保連携型認定こども園の園舎の面積は、次に掲げる面積を合算した面積以上であることが必要です。 ① 学級数に応じて定める面積 1学級:180平方メートル 2学級:320+100×(学級数-2)平方メートル ② 3.3㎡に満2歳未満の園児の数を乗じて得た面積 ③ 1.98㎡に満2歳の園児の数を乗じて得た面積 ただし、既存保育所の場合は①は1.98㎡に満3歳以上の園児の数を乗じて得た面積とすることができます。 |
園庭:面積 | 次に掲げる面積を合算した面積以上の園庭が設けられていることが必要です。 ① 次に掲げる面積のうちいずれか大きい面積 (ア)下欄に定める面積 2学級以下:330+30×(学級数-1)平方メートル 3学級以上:400+80×(学級数-3)平方メートル (イ)3.3平方メートルに満3歳以上の園児数を乗じて得た面積 ② 3.3平方メートルに満2歳以上満3歳未満の園児数を乗じて得た面積 ただし、既存幼稚園の場合は、①は(ア)とすることができ、既存保育所の場合は、①は(イ)とすることができます。 |
職員室及び保健室 | 職員室及び保健室が設けられていることが必要です。 なお、職員室と保健室とは兼用することができます。 |
乳児室又はほふく室 | 乳児室又はほふく室が設けられていることが求められます。 3.3㎡に満2歳未満の園児の数を乗じた面積以上とすることが必要です。 |
保育室及び遊戯室 | 保育室及び遊戯室を設けられていることが必要です。 保育室(満3歳以上の園児に係るものに限る。)の数は、学級数を下まわってはいけません。 なお、保育室と遊戯室とは兼用することができます。 1.98㎡に満2歳以上の園児の数を乗じた面積とすること。 ただし、既存幼稚園はこの限りではありません。 |
調理室 | 調理室が設けられていることが必要です。 満3歳以上の園児に幼保連携型認定こども園の外で調理された食事の提供を行う場合(満3歳未満の園児の保育を行わない場合に限る。)又は園児に対する食事の提供について、幼保連携型認定こども園内で調理する方法により行う園児数が20人に満たない場合は、調理室が設けられていなくてもよいこととされています。 なお、この場合であっても、幼保連携型認定こども園において必要な調理のための加熱、保存等の調理機能を有する設備が設ける必要があります。 |
便所 | 便所が設けられていることが必要です。 |
飲料水用設備、手洗用設備及び足洗用設備 | 飲料水用設備、手洗用設備及び足洗用設備が設けられていることが必要です。 飲料水用設備は、手洗用設備又は足洗用設備と区別して設けることが必要です。 |
運営に関する基準
幼保連携型認定こども園の園長 | 幼保連携型認定こども園に一人の園長を置くことが必要で、その園長は、教諭の専修免許状又は一種免許状を有し、かつ、保育士の登録を受けており、及び、教育施設又は児童福祉施設の職員等の職に5年以上あること又は幼保連携型認定こども園を適切に管理及び運営する能力を有する者であって、上記の者と同等の資質を有すると認められることが必要です。 |
教育及び保育を行う期間及び時間 | 幼保連携型認定こども園における教育及び保育を行う期間及び時間は、次に掲げる要件を満たすことが必要です。 ア 毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き、39週以上とすること。 イ 教育時間は、4時間とし、園児の心身の発達の程度、季節等に適切に配慮すること。 ウ 保育を必要とする子どもに該当する園児に対する教育及び保育の時間(満3歳以上の保育を必要とする子どもに該当する園児については、教育時間を含む。)は、1日につき8時間を原則とすること。 上記アからウは、その地方における園児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して、園長がこれを定めること。 |
健康及び安全の確保 | 次に掲げる子どもの健康及び安全を確保する体制が整備されていることが求められます。 ア 園児の健康診断を毎年度2回実施すること。 イ 毎学期一回以上、園児が通常使用する施設及び設備の異常の有無について系統的に安全点検を行うこと。 ウ 毎学年定期に環境衛生検査を行うこと。 エ 震災、風水害、火災その他の非常災害時に園児の安全を確保するために講ずべき必要な措置に関する具体的な計画を立てること。 オ 避難及び消火訓練を毎月1回以上行うこと。 |
保険等への加入 | 事故等により園児に危険又は危害が現に生じた場合において、適切な保険や共済制度に加入するなど、適切に対処することができるよう努める必要があるが必要です。 |
運営状況の評価体制 | 次のア~ウに努めることが必要です。 ア 幼保連携型認定こども園における教育及び保育並びに子育て支援事業の状況その他の運営の状況について、自ら評価を行い、その結果を公表すること。 イ 前記アによる評価の結果を踏まえた当該幼保連携型認定こども園の園児の保護者その他の当該幼保連携型認定こども園の関係者による評価を行い、その結果を公表すること。 ウ 幼保連携型認定こども園における教育及び保育並びに子育て支援事業の状況その他の運営の状況について、定期的に外部の者による評価を受けて、その結果を公表すること。 |
情報の提供 | 幼保連携型認定こども園は、教育及び保育並びに子育て支援事業の状況その他の当該幼保連携型認定こども園の運営の状況に関する情報を積極的に提供することが必要です。 |
苦情対応 | 幼保連携型認定こども園は、その行った教育及び保育並びに子育ての支援に関する園児又はその保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければなりません。 また、その行った教育及び保育並びに子育ての支援について、都道府県又は市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければなりません。 |
食事の提供 | 幼保連携型認定こども園における園児に対する食事の提供が、調理室において調理して行われるものであることが必要です。 ただし、満3歳以上の園児に対する食事の提供については、次のアからオの要件を満たす場合には、当該幼保連携型認定こども園の外で調理されたものを搬入することができることが必要です。 ア 幼保連携型認定こども園の体制 園児に対する食事の提供の責任が当該施設にあり、その管理者が、衛生面、栄養面等業務上必要な注意を果たし得るような体制及び調理業務の受託者との契約内容が確保されていること。 イ 栄養士による配慮 当該幼保連携型認定こども園又は他の施設、保健所、市町村等の栄養士により、献立等について栄養の観点からの指導が受けられる体制にある等、栄養士による必要な配慮が行われること。 ウ 調理業務の受託者の要件 調理業務の受託者は、当該幼保連携型認定こども園における給食の趣旨を十分に認識し、衛生面、栄養面等、調理業務を適切に遂行できる能力を有する者であること。 エ 食事の提供体制 園児の年齢及び発達の段階並びに健康状態に応じた食事の提供や、アレルギー、アトピー等への配慮、必要な栄養素量の給与等、園児の食事の内容、回数及び時機に適切に応じることができること。 オ 食育計画に基づく提供 園児の発育及び発達の過程に応じて食に関し配慮すべき事項を定めた食育に関する計画に基づき食事を提供するよう努めること。 |
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