マンション管理業とは
更新日:2024年7月9日
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」では、住人全員でマンションの資産価値を守り、快適な住環境を確保することを目的とし、マンション管理が適正に行われるような仕組みが定められています。
ここでは、マンション管理業について、その定義や登録要件、登録手続きに関して詳しく解説します。
◆もくじ◆
マンションとは
マンション管理業の対象となる「マンション」は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律で以下のように定義されています。
1 | 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設 |
2 | 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む相当の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設 |
全戸が人の居住の用に供しない事務所として使用されている場合は、法律上「マンション」には含まれないとされています。
マンション管理業とは
マンション管理業とは、マンションの管理組合から委託を受けて、基幹事務を含むマンションの管理事務を行う行為で業として行うもの(区分所有者等が行うものを除く)であり、①~③から構成される基幹事務すべてを業として行う業態と定義されています。
基幹事務
①管理組合の会計の収入及び支出の調定に関する事務
②管理組合の出納に関する事務
③専有部分を除くマンションの維持又は修繕の実施に関する企画又は実施の調整に関する事務
「業として行う」に該当するか否かについては、営利目的を要さず、また、反復継続的に管理事務を行っているかどうか等の個別の事案を総合勘案して判断すべきであるとされています。
なお、反復継続性については、契約を反復継続するものに加え、一つの契約であってもこれに基づく業務の履行の継続性がある場合は、反復継続性があると判断される可能性があります。
マンション管理業者の登録要件
マンション管理業を営むためには、国土交通省が管理する「マンション管理業者登録簿」への登録が必要です。
また、登録の有効期間は5年間です。
有効期間満了後引き続きマンション管理業を営むためには、更新手続が必要です。
マンション管理業の登録要件については法令で以下の通りとされています。
①欠格要件に該当しないこと
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
- 第八十三条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
- マンション管理業者で法人であるものが第八十三条の規定により登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないもの
- 第八十二条の規定により業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
- この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
- マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
- 法人でその役員のうちに第一号から第六号までのいずれかに該当する者があるもの
(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第47条第1号から第8号)
②専任の管理業務主任者を設置すること
事務所ごとに、事務所の規模を考慮して一定数の成年者である専任の管理業務主任者をおくことが必要です。
この「一定数」とは管理事務の委託を受けた管理組合30組合につき1名以上とされています。
管理業務主任者は、管理業務主任者証の交付を受けた方で、マンション管理業を営む事務所に常勤して、専らマンション管理業に従事する状態である専任性が求められます。
このため、宅建業の専任の取引主任者と兼任することはできません。
ただし、人の居住の用に供する独立部分が5以下である法第2条第1号イに掲げる建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務とする事務所については、専任の管理業務主任者を置く必要はありません。
③財産的基礎を有すること
マンション管理業を遂行するために必要と認められる基準に適合する財産的基礎を有することが求められます。
この財産的基礎は、資産(創業費その他の繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した基準資産額が300万円以上であることが必要です。
マンション管理業の新規登録・更新登録
申請先
マンション管理業登録は、以下に示される本店の所在地を管轄区域とする各地方整備局へ申請を行います。
申請方法は郵送となっており、登録までには申請から約90日間の処理期間があります。
北海道 | 北海道開発局 事業振興部 建設産業課 不動産業第一、二係 | 〒060-8511 札幌市北区北8条西2丁目 札幌第一合同庁舎 TEL:011-709-2311 |
青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県 | 東北地方整備局 建政部 計画・建設産業課 不動産業第一、二係 | 〒980-8602 仙台市青葉区二日町9-15 TEL:022-225-2171 |
茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・長野県 | 関東地方整備局 建政部 建設産業第二課 不動産業第三、四係 | 〒330-9724 さいたま市中央区新都心2番地1 さいたま新都心合同庁舎二号館 TEL:048-601-3151 |
岐阜県・静岡県・愛知県・三重県 | 中部地方整備局 建政部 建設産業課 不動産業第一、二、三係 | 〒460-8514 名古屋市中区三の丸2-5-1 名古屋合同庁舎第二号館 TEL:052-953-8119 |
福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県 | 近畿地方整備局 建政部 建設産業課 不動産業第一、二、三係 | 〒540-8586 大阪市中央区大手前1-5-44 大阪合同庁舎第一号館 TEL:06-6942-1141 |
鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県 | 中国地方整備局 建政部 計画・建設産業課 不動産業第二係 | 〒730-0013 広島市中区八丁堀2-15 TEL:082-221-9231 |
徳島県・香川県・愛媛県・高知県 | 四国地方整備局 建政部 計画・建設産業課 不動産業係 | 〒760-8554 高松市サンポート3-33 TEL:087-851-8061 |
福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県 | 九州地方整備局 建政部 計画・建設産業課 不動産業第二、三係 | 〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-10-7 福岡第二合同庁舎別館 TEL:092-471-6331 |
沖縄県 | 沖縄総合事務局 開発建設部 建設産業・地方整備課 鑑定評価指導係 | 〒900-0006 那覇市おもろまち2-1-1 那覇第二地方合同庁舎二号館 TEL:098-866-0031 |
新規登録・更新登録の申請書類
1 | 登録申請書 |
2 | 誓約書 |
3 | マンション管理業経歴書 |
4 | 事務所について専任の管理業務主任者を設置していることを証する書面 |
5 | 申請者(法人の場合は相談役及び顧問を含む役員全員)及び専任の管理業務主任者全員について、成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の東京法務局の発行する登記事項証明書で発行日から3ヶ月以内のもの |
6 | 申請者(法人の場合は相談役及び顧問を含む役員全員)及び専任の管理業務主任者全員について、成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産者で復権を得ないものに該当しない旨の 本籍地の市区町村の長の証明書(身分証明書)で発行日から3ヶ月以内のもの |
7 | 法人の場合、相談役及び顧問の氏名及び住所並びに株主又は出資している者について記載した書面 |
8 | 申請者(法人の場合は相談役及び顧問を含む役員全員)及び専任の管理業務主任者全員についての 略歴書 |
9 | 法人の場合、直前1年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書 |
10 | 個人の場合、資産に関する調書 |
11 | 法人の場合は法人税、個人の場合は所得税の直前1年の各年度における納付すべき額及び納付済額を証する書面(納税証明書) |
12 | 法人の場合は登記簿謄本、個人の場合は住民票の抄本 |
13 | 第三者との間で返還債務の保証契約を締結した場合は、当該保証契約に関する事項を記載した 書面 |
登録免許税・登録手数料
新規の申請の場合:90,000円
更新の申請の場合:12,100円
マンション管理業の登録事項変更届出
マンション管理業者は、以下の登録事項に変更が生じた場合に、変更の事由が生じた日から30日以内に変更届を郵送で提出する必要があります。
1 | 商号、名称(氏名、住所) |
2 | 事務所(本店または支店の名称、所在地、法第56条第1項ただし書に規定する事務所であるかどうかの別) |
3 | 役員 |
4 | 法定代理人 |
5 | 専任の管理業務主任者 |
マンション管理業の業務規制
マンション管理業者には、以下の通り、業務規制があります。
1.管理業務主任者の設置
マンション管理業者は、一定の数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければなりません。
管理業務主任者は、国家試験に合格して管理事務に関し一定の期間以上の実務経験を有する者又は国土交通大臣がその実務経験を有するものと同等以上の能力を有すると認められる必要があります。
登録受けて交付の申請日前6ヶ月以内に講習を受けた者は、管理業務主任者証の交付を受けることができます。
管理業務主任者は区分所有者等から請求があったときは、管理業務主任者証を提示しなければなりません。
管理業務主任者証の有効期間は5年間で、更新することができます。
2.重要事項の説明
マンション管理業者は、管理組合と委託契約を締結しようとするときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対して、説明会を開催して管理業務主任者の記名押印のある重要事項等を記載した書面を交付するとともに管理業務主任者が重要事項について説明させなければなりません。
※新築マンションの建設工事完了日から1年を経過する日までの間に契約期間が満了するものを除きます
3.契約成立時の書面の交付
マンション管理業者は、管理組合と委託契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該管理組合の管理者等である場合又マンションの区分所有者全員)に対し、遅滞なく、管理業務主任者の記名押印のある一定の事項を記載した書面を交付しなければなりません。
4.再委託の制限
マンション管理業者は、託された管理事務のうち基幹事務は一括して再委託できません。
5.財産の分別管理
マンション管理業者は、管理組合の修繕積立金等の財産を自己の固有財産等と分別して管理しなければなりません。
6.管理事務の報告
マンション管理業者は、定期的に管理業務主任者がマンションの管理者又は区分所有者等に対して、管理事務に関する報告をさせなければなりません。
7.書類の閲覧
マンション管理業者は、マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、関係者の求めに応じ、閲覧させなければなりません。
8.秘密保持義務
マンション管理業者及びその使用人その他の従業者は、業務に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません。
9.監督処分
マンション管理業者は、上記の業務に違反すると、国土交通大臣から行政指導、指示処分、業務停止命令、登録の取消し等の監督を受けることとなります。
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