その他法令に基づく制限
重要事項説明書において、主軸となる法律が建築基準法と都市計画法です。
しかし、それ以外の法律も大きく関わってきます。
しかも、その他法令に基づく制限の法律は随時追加されていきます。
それに伴って、重説のひな形も変更になるのですが、不動産会社様の中には
そのことに気づかず、古いひな型のまま重説作成を行っているケースが見受けられます。
弊社と提携している会社様には、依頼があったタイミングで担当者がひな形を確認し、
古いままのひな形だった場合は、そのことをお伝えしたうえで、
最新のひな形に沿って作成を行っています。
やはり、他の業務で忙しいご担当者様にて作成を行うと、法改正情報やひな形の改正情報にまで
手が回らないのは、いわば当然のことだと思います。
そこで重説作成業務を弊社に外注することで、そういった改正情報についても弊社が管理致しますので、
安心して本来の業務に集中することが出来ます。
ここでは、その他法令に基づく制限で弊社の事例を基に、多くの物件で該当ありになった
法律に焦点をあてて解説していきます。
公有地拡大推進法
通称「公拡法」とも呼ばれているもので、簡単に言うと行政側が土地を優先的に
取得することのできる法律です。
ただし、どんな土地でも取得できるわけではなく、下記のような一定規模以上の土地である必要があります。
- 市街化区域内で5,000㎡以上の土地
- 市街化区域以外の都市計画区域(市街化区域を除く市街化調整区域・非線引き都市計画区域)で10,000㎡以上の土地
- 都市計画施設がかかる一定面積以上の土地(東京都や大阪府は200㎡以上)
- 都市計画区域内の土地で、道路・公園・河川の予定地として計画決定された区域内の土地
- 一定の土地区画整理事業、住宅街区整備事業の施行区域内にある土地
- 生産緑地地区内にある土地
上記に当てはまる土地は行政が購入を検討する土地なので、
不動産売買契約締結前に役所への届出が必要です。
この届出面積については、自治体によって異なる場合も多いため役所への確認が必要です。
つまり、公有地拡大推進法の対象地を購入しようと思っても、行政に買い取られる可能性があるため、
絶対に手に入れることができるとは限らないのです。
そのため、重要事項説明書に記載をし、契約締結前に説明する必要があるのです。
最後に、上記の基準に当てはまる場合でも適用が除外される場合について提示します。
- マンション一室の売買の場合
- 国、地方公共団体等への譲渡
- 都市計画施設用地等としての譲渡
- 開発行為の開発区域に含まれる場合
- 国土利用計画法の許可または届出が必要な場合
- 200㎡(100㎡まで引き下げ可能)未満の土地
- 文化財保護法、大都市法の規定の適用を受ける土地
国土利用計画法
通称「国土法」とも呼ばれる法律で、全国的な乱開発を抑制するために1974年に制定されました。
一定の区域内での土地取引の際に、届出又は許可を求められます。
下記にそれぞれの区域について提示します。
- 規制区域・・・許可が必要
- 監視区域・・・事前届出が必要
- 注視区域・・・事前届出が必要
- 区域指定なし・・・事後届出が必要
ここでは、弊社で最も事例があった区域指定なしの事後届出制について説明します。
下記に提示する一定面積以上の土地取引契約を結んだ場合、買主は契約日から2週間以内に、
土地の利用目的や取引価格を知事(政令指定都市の場合は市長)に届け出る必要があります。
- 市街化区域内の2,000㎡以上の土地
- その他の都市計画区域で5,000㎡以上の土地
- 都市計画区域外の区域で10,000㎡以上の土地
公有地拡大推進法でも同じですが、共同住宅などの大規模建築物の場合、
ほとんどがこのような要件に当てはまるので、注意して調査する必要があります。
また、公有地拡大推進法と国土利用計画法は土地関連の法律であるという点や、
土地の面積によって基準が示されているという点で、非常に似ていますので、
たまに混同されているケースがありますが、読み込むと全く違う法律ですので、
注意が必要です。
景観法
景観法は街の景観を守るために建築や増築に際して、規制をかけることによって
景観を保全しようとする法律です。
景観法上の規制区域には様々なものがありますが、ここでは最も重要な「景観計画区域」について
弊社の事例を基に説明していきます。
まず、景観計画区域内で建築物の建築等を行う際には、景観行政団体の長に届出が必要です。
つまり、本来なら自分の所有地なのだから好きなように建物を建築したり、
カラフルな外壁塗装を行っても良いはずです。
ただ、街の景観を守っていこうという景観計画区域内でそんな無秩序な行為を野放しにしていては
美しい街並みが破壊されてしまうので、所有権絶対の原則の例外として、
こういった規制を設けることによって、景観を守っているのです。
ここで注意しなければいけないのは、重説で説明が求められているのは、
景観法上の景観計画区域であるかどうかです。
景観法とは別で自治体独自の条例によって、似たような区域を設定している自治体もありますが、
その場合は説明不要になります。
役所担当者に電話で聴取する際に気を付けるべきポイントとしては、
必ず景観法上の景観計画区域かどうかを聞くことです。
景観法以外の法律についての聴取の際、実際にあった事例で、
〇〇法の〇〇区域について尋ねたところ、上手く意思疎通が図れていなかったのか、
〇〇条例の〇〇区域について案内されたことがありました。
つまり、条例には当てはまるけど、法律には当てはまらないということです。
弊社の専門スタッフが対応していたので、意思疎通の違いについてすぐに判明し、
大事には至りませんでしたが、気づかずにスルーしていたら間違った重説になってしまいます。
景観法の景観計画区域に該当していないのに、該当していることを重説に書くと、
無駄にその不動産の価値を下げることに繋がってしまい、営業上の損失が発生します。
ここでも慣れていない方が調査を行った場合に起きやすく、後々売主側に損害が発生するので、
重説作成に精通したプロに外部委託する方がベターです。
文化財保護法
文化財保護法は誰もが一度は聞いたことのある法律だと思います。
主な目的として、文化財を保存し活用を図り、国民の文化的向上と世界文化の進歩に
貢献することを目的として、1950年に制定されました。
文化財保護法による規制は大きく3つに分かれますが、下記に提示します。
- 重要文化財、史跡、名勝、天然記念物の指定による規制
- 伝統的建造物群の保存地区の指定による規制
- 周知の埋蔵文化財包蔵地の指定による規制
ここでは、弊社の実績としても、最も多い周知の埋蔵文化財包蔵地について解説します。
埋蔵文化財包蔵地に指定されているかどうかは役所に確認する必要があります。
市町村によっては、インターネットで公開されている場合もありますが、
具体的な遺跡名や場所について確認が必要なので、直接電話等で確認するのがベターです。
もし、埋蔵文化財包蔵地に指定されている土地だった場合、その土地で建物建築や土木工事など
発掘調査以外の目的で土地を発掘するときは60日前までに届出が必要です。
また、文化財保護の観点から必要がある場合には、行政は記録保存のための発掘調査を指示出来ます。
こういった調査には時間がかかることも多く、その費用を土地の所有者が負担すべきことがほとんどのため、
重説へ記載し、買主に対して説明が必要です。
しかし、ここで注意すべきは埋蔵文化財包蔵地に該当しない場合でも
自治体との協議が必要になるケースがゼロではないということです。
弊社で実際にあった事例を基に紹介します。
役所にFAXにて対象物件が埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうかの確認を行いました。
その役所からの回答では、「埋蔵文化財包蔵地に該当しないが、近くに〇〇遺跡があるため、
工事の際に土器等が出土した場合には〇〇センターと協議してください。」とありました。
つまり、対象物件が埋蔵文化財包蔵地に該当していなくても近隣に遺跡などがある場合、
工事中に土器などが出土する可能性があり、その場合に自治体との協議が必要になるということです。
もし、詳しく調べた結果、今まで発見されていなかった遺跡などが見つかれば、
たちまち発掘調査という話になり、土地の所有者が負担を強いられることになります。
通常は対象物件が埋葬文化財に該当するかどうかを確認するので、
その確認だけで満足してしまいがちですが、実はこういった盲点もあるのです。
その他法令上の制限を全て網羅することは困難
不動産会社のご担当者様で、建築基準法及び都市計画法に精通している方は一定いると思います。
ただ、その法令上の制限に精通している方は少ないのではないかと思います。
その他法令上の制限は、とにかく数が多いですし、改正や追加もあるため、
他の業務でも忙しいご担当者様が、最新の情報を追っていくのは至難の業です。
だからこそ、重説作成業務を我々のようなプロに依頼するメリットがあります。
弊社には重説作成の専門スタッフが複数在籍しているため、
スピーディーかつ高クオリティな重説をご提供できます。
また、全国対応が可能ですので、地方の物件にも対応可能です。
法律に精通したプロも多く在籍していることから、最新の法改正情報にもアンテナを張っています。
貴社内での重説業務における困りごとを、ぜひ弊社へご相談ください。
貴社内の業務負担を軽減し、精度の高い重説作成を行うことで、売上アップを目指せます。