建築基準法による制限
重説に記載すべき事項で建築基準法による制限があります。
その項目は多岐にわたり、用途地域・建蔽率・容積率・敷地等と道路との関係など、
建物にとって重要な事項ばかりです。
重要な事項ばかりだからこそ、細心の注意を払って調査しなければならないのです。
下記では、弊社での取り扱った物件の事例を基に、調査時に注意すべきポイントをまとめます。
建蔽率の緩和要件について
建蔽率とは敷地面積に対する割合の限度のことを指し、用途地域によって違いがあり、
同じ用途地域でも市町村によって、建蔽率が異なる場合も多々あります。
建蔽率はその土地にどれくらいの割合で建物を建てることができるのかを示す大切な指標です。
土地を買って今から家を建てようという方は、この建蔽率を参考にどういった建物を建てるか
検討すると思います。
できれば建蔽率が高い方がありがたいのではないでしょうか?
なぜなら、建蔽率が高ければ高いほど、土地をめいいっぱいに建物を建てられるのですから。
そこで、知っておいた方が得なのが建蔽率の緩和措置についてです。
ここでは、最もポピュラーである耐火建築物だった場合の緩和措置と
弊社での事例を用いた角地緩和による緩和措置について説明します。
・耐火建築物
まず、建築基準法には市街地における火災の際に、延焼を防ぐための制限として、
防火地域と準防火地域があります。
防火地域内や準防火地域内で耐火建築物を建てる場合、下記の地域では建蔽率の制限がなくなります。
- 第一種住居地域(建蔽率が80%の地域)
- 第二種住居地域(建蔽率が80%の地域)
- 準住居地域(建蔽率が80%の地域)
- 近隣商業地域(建蔽率が80%の地域)
- 商業地域(建蔽率が80%の地域)
- 準工業地域(建蔽率が80%の地域)
建蔽率が80%でなかったり、違う用途地域だった場合は+10%の加算があります。
こういった緩和要件に上手くあてはまれば、有効に土地を活用して、建物を建てることが出来ます。
・角地緩和
建蔽率の緩和の一つとして、角地緩和があります。
角地とは交差する道路の角に位置する土地のことをいいます。
建築基準法に規定がありますが、角地にあたるかどうかの詳しい基準等については、
各自治体の条例に委ねられており、各物件ごとにそれぞれ確認する必要があります。
ちなみに、角地を指定するのは特定行政庁なので、対象物件が所在する市町村が
特定行政庁かどうかについても確認が必要です。
特定行政庁が公表している角地の条件に当てはまった場合、+10%の緩和を受けることが出来ます。
耐火建築物の場合と同様、こういった緩和措置を上手く活用すれば、土地を有効活用して、
建物を建てることができるので、必ずチェックすべきポイントです。
・建蔽率の緩和要件は意外に盲点
建蔽率はその土地にどの割合で建物を建てられるかどうかの基準を示すもので、
非常に重要かつその土地を買った人は建蔽率の基準内で建物を建てなければいけません。
言い換えると、もっと大きな建物を建てたいと思っていても建蔽率による制限があるため、
我慢して自分が思っていたよりも少し小さな建物を建てざるを得ない場合もあります。
そういったときに活用できるのが上記にも記載した建蔽率の緩和なのですが、これが意外に盲点です。
理由は様々考えられますが、その一つには他の文言よりも少し小さな文字で書かれていることが考えられます。
建蔽率や容積率、用途地域などが大きく書かれているうえに、建蔽率の緩和要件よりも有名であるため、
ついつい見落としてしまいがちです。特に、慣れていない方が重説を作成した場合には、
こういった見落としが発生しやすく、間違った重説を作成してしまうことに繋がります。
もちろん、小さな文字で書かれているから重要度が低いということはありません。
例えば、建蔽率の緩和が受けられるのにもかかわらず、そのことを重説に記載しなかった場合、
買主がその説明を受けていたらもっと大きな家を建てられたはずなのに、重説に記載がなかったせいで、
損害を被ったということになり、たちまちトラブルに発展してしまいます。
こういったことを防ぐ方法として、重説作成に精通したプロにアウトソーシングすることが挙げられます。
上記のような作成ミスは慣れていない人や他業務で忙しく重説作成に時間をかけることができない人に
よく起こることです。
我々はこれまで多くの重説作成を行っており、1つの会社様から100件越えのまとまった依頼を受けることも
できる行政書士法人です。これまでの経験やノウハウを活かして、クオリティーの高い重説作成を行っています。
建築基準法上の道路種別と接道義務
建築基準法では、4m以上の道路に2m以上接していなければならないという規定があります。
これは、接道義務と言われており建物を建てるための要件にもなっています。
これには、建築基準法の道路種別について理解しておく必要があるので、下記に提示します。
つまり、原則として上記の道路に2m以上接していなければ建物を建てることが出来ません。
接するというのは土地と道路がすき間なく、くっついているということです。
水路等がある場合は接道していないと判断される場合があるので、注意が必要です。
また、2m以上接していなければいけないという部分ですが、これはあくまで建築基準法上で定められている
最低限度で、詳しいことは各自治体の条例に委ねられています。
つまり、自治体によって接道義務を厳しく設定できるということです。
例えば、「大阪府建築基準法施行条例」や「兵庫県建築基準条例」では、
共同住宅などの特殊建築物で、一定の要件を満たしている建物については
道路に4m以上接していなければならないという制限を課しています。
つまり、建築基準法だけを理解すればよいわけではなく、各自治体の条例についても
詳しく検討する必要があるのです。
条例は細かいので、意外に見落としがちですが、この部分を見落として重説を作成してしまうと、
不動産取引においてトラブルの引き金になります。
また、条例というのはいわばローカルルールに該当するので、それを一つひとつ確認して理解するのは、
非常に難しくもあり、失敗に繋がります。
弊社は重説作成において全国対応が可能で、各都道府県での調査実績も豊富なため、
ローカルルールにも対応しています。
その他建築基準法上の制限
建築基準法には、上記制限以外にも多くの制限があります。
- 指導の変更又は廃止の制限
- 壁面線の制限
- 敷地面積の最低限度
- 外壁後退
- 建物の高さ制限
- 日影規制
- 建築協定
- 地方公共団体の条例等による制限 など
大きな市町村になると、ネットで公開されていたり、都市計画情報図に記載されていたりします。
しかし、そういった自治体ばかりではないので、直接自治体に確認する必要があります。
その際に、気を付けなければいけないポイントは、
役所担当者が言っていることを100%正としないことです。
弊社で実際にあった事例ですが、役所担当者に壁面線の制限の有無について尋ねたところ、
市内には適用がないうえに、法律的にこういった制限を設けている市町村は
ほとんどない旨の回答がありました。
ただ、今までの経験上、壁面線の制限を設けている市町村は多々ありましたし、
法律の条文的にもそんなことはあり得ないと感じたので、一歩踏み込んで担当者に質問しました。
すると、その担当者はしっかり確認してくれて、結果的には間違った情報であり、
正しい情報を教えてくれたということがありました。
ここで言えることは、役所担当者も当然間違えることはあるし、全員が詳しい方ということはないです。
それにもかかわらず、担当者が言っていることを全て鵜呑みにしてしまうと、間違った情報があったときに
気づかずに、そのままの情報を重説に記載してしまいます。
当然間違った情報ですから、後々トラブルに発展しかねません。
弊社は行政書士法人ですので、法律に精通したスタッフが多数在籍しています。
今回も法律に精通したスタッフが在籍している弊社だからこそ、気づけたと思います。
もし、これが経験の少ないスタッフ、他業務で忙しく時間が取れないスタッフが作成していた場合、
スルーしてしまっていたかもしれません。
弊社は、最新の法改正にも敏感に対応していますので、ご安心下さい。
用途地域
用途地域とは、建築できる建物の種類や、用途の制限を定めたルールのことで
大きく分けて、住居、商業、工業の3種類に分けられます。
住居系の用途地域
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中層住居専用地域
- 第二種中層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
商業系の用途地域
- 近隣商業地域
- 商業地域があります。
工業系の用途地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域があります。
このように、用途地域によって建てられる建物と建てられない建物が存在します。
不動産の売主も買主も該当する不動産がどの用途地域に存在するのかを確認しましょう。
ただ、どの用途地域に何を建てられるのかどうかについては、一つひとつ確認していくことは
難しいですし、手間も時間もかかります。
重説作成業務を弊社にアウトソーシングすることで、手間も時間も省くことができ、
ご自身の業務に集中することが出来ます。