不動産特定共同事業許可とは【不動産特定共同事業法】
不動産特定共同事業とは
不動産特定共同事業とは、複数の投資家が出資して、不動産会社などが現物の不動産に関する事業を行い、その運用収益を投資家に分配する契約(不動産共同投資契約)に基づく事業のことを指します。
この事業を行うためには、不動産特定共同事業法第3条第1項に定める許可を受けなければなりません。
また、不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介をする事業を行う場合にも、同様に許可を受けなければなりません。
不動産特定共同事業者として許可を受けると、下記の一覧に事業者名が記載されることになります。
→ 不動産特定共同事業法に基づく事業者及び適格特例投資家一覧
契約類型
不動産特定共同事業法第2条第3項各号に不動産特定共同事業契約として一定の契約類型が定められています。
代表的な契約類型は、「任意組合契約型(同項第1号に該当)」、「匿名組合契約型(同項第2号に該当)」、「賃貸委任契約型(同項第3号に該当)」があります。
【任意組合契約型】
事業者及び各投資家が出資をして、対象不動産の運用を共同の事業として営む任意組合を組成。
事業者が業務執行組合員として対象不動産を運用し、各組合員(投資家)に収益の分配を行う。
【匿名組合契約型】
事業者が営業者となり、投資家が匿名組合員となって営業者の行う事業に出資をする契約を締結。
営業者は匿名組合事業として対象不動産を運用し、各投資家に収益の分配を行う。
【賃貸委任契約型】
対象不動産を共有する事業者と各投資家との間で、投資家がその共有に属する対象不動産を事業者に賃貸又は賃貸の委任をする契約を締結。
事業者が対象不動産を運用し、各共有者(投資家)に収益の分配を行う。
小規模不動産特定共同事業
不動産特定共同事業のうち、投資家一人あたりの出資額が原則として100万円を超えず、さらに投資家全体からの出資総額が1億円を超えない場合には、小規模不動産特定共同事業として登録を受けたうえで、事業を行うことが可能です。
適格特例投資家限定事業
不動産特定共同事業を適格特例投資家に限定して行う場合、適格特例投資家限定事業として届出を行うことにより、事業を行うことが可能です。
不動産特定共同事業許可について
許可の種別
第1号 | 投資家との間で不動産特定共同事業契約を締結して、当該契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益等の分配を行う事業 |
第2号 | 不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介を行う事業(第1号事業の代理・媒介) |
第3号 | 特例事業者の委託を受けて、当該特例事業者が投資家との間で締結した不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う事業 |
第4号 | 特例事業者が当事者となる不動産特定共同事業契約の締結の代理・媒介をする行為 |
主なスキーム例
申請の流れ
申請は、事業の種類、事務所がいくつあるか(複数の都道府県)によって申請先が異なります。
第1号事業者、第2号事業者、事務所が1都道府県にしかない場合は各都道府県の担当部署へ提出ですが、都道府県によって申請方法や必要書類が異なりますので、該当する都道府県に問い合わせが必要です。
第3号事業者、第4号事業者、事務所が2都道府県以上、複数県に所在している場合は大臣許可になります。
まず、国土交通省不動産・建設経済局に連絡し、事前相談を行います。
そのあとに、許可要件に該当するか、必要書類の相談などメールでのやりとりになり、ここで問題がなければ、事前面談の機会が設けられ、事前審査、本申請を経て許認可が下ります。
企業にもよりますが、おおよそ1年ほど時間を要します。
申請時の注意点
申請及び変更許可の申請をするとき、以下の内容に注意して申請が必要です。
- 許可申請書の添付書類において必要な官公署が証明する書類は、申請日前3月以内に発行されたもの。
- 外国法人である場合は、法第5条第2項第1号に規定する「これに代わる書面」として、定款に準ずる書面を添付していること。また、法第5条第2項第2号に規定する「これに代わる書面」として、本国における主たる事務所に係る登記事項証明書又はこれに準ずる書面及び国内の主たる事務所に係る登記事項証明書を添付していること。
許可の基準
不動産特定共同事業契約約款の内容が政令で定める基準に適合しているかどうか判断するために、一般社団法人不動産証券化協会作成のモデル約款の内容を参考にします。
また、対象不動産変更型契約に係る不動産特定共同事業契約約款の内容を審査するときは、国土交通省作成のモデル約款の内容を参考にします。
さらに以下の点に注意が必要です。
- 不動産特定共同事業法施行規則第11条第2項第7号に規定する「やむを得ない事由」とは、例えば、不動産特定共同事業者が対象不動産に係る不動産取引や収益又は利益の分配等の不動産特定共同事業契約上の重要な義務を正当な理由なく履行しない場合や事業参加者が重篤な病気に罹患した場合や重傷を負った場合等が該当し、地震・火災などに罹災(りさい)した場合などの事業者参加者の自己都合は、「やむを得ない事由」に含まれません。
- 不動産特定共同事業法施行規則第11条第2項第8号の2に規定する「公正な方法」とは、例えば、対象不動産の価額や不動産取引により生じた収益又は利益に一定割合を乗じた金額を不動産特定共同事業者の報酬とするなど、事業参加者と不動産特定共同事業者の利益が連動することにより、対象不動産変更型契約に基づく不動産特定共同事業を事業参加者のために適切に実施することを動機付けるような方法をいい、対象不動産の価額や不動産取引により生じた収益又は利益に一切連動することなく、契約時のみに一定額を不動産特定共同事業者の報酬とする等の方法は、原則として「公正な方法」に該当しません。
- 不動産特定共同事業法施行規則第11条第2項第15号イ(1)(ⅳ)に規定する「その他事業参加者の判断に重要な影響を与える事項」とは、例えば、追加取得する対象不動産の稼働率の基準等、当該不動産に係る収益やコンプライアンス等に関わる事項であって、事業参加者の保護や投資判断に重大な影響を与えるものをさします。
不動産特定共同事業の変更認可
不動産特定共同事業は、
- 不動産特定共同事業の種別を変更するとき
- 不動産特定共同事業約款の作成、もしくは変更をしようとするとき
- 新たに電子取引業務を行おうとするとき
- 事務所を追加設置するとき
これらの場合は変更認可を受けなければなりません。
ただし、単に字句を修正するなどといった軽微な変更については、変更の認可は不要です。
変更認可は、変更事項に問題がないか事前審査が行われ、内容に問題がなければ変更の本申請を行います。
申請に不透明な箇所が見受けられた場合には面談が行われることもあります。
変更認可申請の注意点
内容に変更があり、申請する場合、次のことに注意が必要です。
- 不動産特定共同事業の種別を変更する場合にあっては、当該変更後法第7条第1号及び第6号に規定する許可の基準を満たしていること。
- 新たに不動産特定共同事業契約約款の作成をし、又は不動産特定共同事業契約約款の追加若しくは変更をする場合にあっては、当該変更後法第7条第5号に規定する許可の基準に適合していること。
不動産特定共同事業の変更届
資本金の増資や減少、役員の変更など会社の組織体制が変更した場合、変更届の提出が必要になります。
基本的に事前審査や面談は行われず、必要書類を用意して各地方整備局へ提出します。
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