RCEPを活用した特定原産地証明書
投稿日:2025年4月24日
2024年の第一種特定原産地証明書の発給件数は、前年比6.0%増の45万3,293件となりました。
特に、RCEP(地域的な包括的経済連携協定)向けの発給が17.9%増の16万1,691件と大きく伸び、全体の35.7%を占めています。
これは、RCEPの発効に伴い、関税削減のメリットを享受する企業が増加しているためです。
RCEPとは?~アジア最大の経済連携協定~
RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership/地域的な包括的経済連携協定)は、アジア太平洋地域の15か国(ASEAN10か国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)が参加する、世界最大の自由貿易協定です。
この協定により、参加国間で関税の段階的削減・撤廃、貿易手続きの簡素化、累積原産地ルールの適用が進み、企業の国際取引がより円滑かつコスト効率のよいものになります。
RCEP原産地証明書を使うと何が変わる?
RCEP原産地証明書を活用することで、対象品目に関して協定税率(無税または低税率)を適用することが可能になります。
たとえば、自動車部品や電子機器などは、通常関税がかかる品目ですが、RCEPにより多くの品目が関税ゼロまたは段階的減税の対象となっています。
商社や製造メーカーにとっては、
- コスト競争力の強化
- 販路拡大(価格優位性のある輸出)
- サプライチェーン再構築の柔軟性確保 といった大きなメリットがあります。
RCEPにおける原産地の考え方と累積ルール
RCEPにおける原産地判断は、以下の基準によって行われます:
- 完全生産品:すべての材料と加工が単一の原産国で行われたもの。
- 実質的変更基準:一定の加工や付加価値が認められることで原産品と見なされる(CTC:関税分類変更基準、VA:付加価値基準など)。
さらに、RCEPの大きな特徴の一つが「累積ルール」です。
これは、複数のRCEP加盟国で調達・加工された材料や部品であっても、一定の条件を満たせば、1つの原産国とみなして関税優遇の対象とすることができる制度です。
この仕組みにより、より柔軟で実務に即した原産地判断が可能になり、企業の貿易戦略に大きな影響を与えています。
他のEPAとの違いに注意
RCEPと他のEPA(経済連携協定)では、原産地規則の内容や累積適用の可否が異なるため、制度の違いを正確に理解して活用する必要があります。
例えば、HSコードについてもRCEPでは2022年度版を使用していますが、その他EPAでは別の年度版を使用していたりと確認が必要です。
原産地証明書取得のポイント
RCEP協定では、日本商工会議所へのオンライン申請手続きとなっています。
申請内容にはHSコード、品目別規則(PSR)、累積適用の有無などの確認が必要となります。
誤ったHSコードや品目別規則の選定で、関税優遇が適用されないリスクもあります。
そのため、専門機関によるサポートがあることで安心して手続きを進めることができます。
特定原産地証明書のご相談はサポート行政書士法人へ
輸入者から特定原産地証明書の取得を求められているがやり方がわからなくて困っている…など
不安なことやお困りなことがあれば一度お問い合わせください。
(著者:石倉)