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スタートアップ・中小企業必見!入札参加申請要件が緩和されました

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スタートアップや中小企業の皆さまに朗報です。
政府の入札参加申請要件が緩和され、企業が公共機関との新たなビジネスチャンスを手にできる可能性が広がりました。
また、入札に参加することで、信頼性の向上や事業の拡大が期待できます。
 
この記事では、今回の改正の詳細について触れていきます。

入札制度とは、発注者(発注行政省庁、地方公共団体、各種法人・団体)が、発注する調達物について契約希望者に応札させ、調達先を選定する手続きです。

入札による調達物の発注金額は年間約20兆円にも上ると言われており、一大市場を形成しています。

入札に参加するためには、まず入札参加資格を取得しなければなりません。
発注者は、法令により、一般競争入札に参加する者に必要な資格を定めます。
入札参加希望者は、入札参加資格登録審査申請を発注者ごとに行わなければなりません

なお、公共工事の発注者が指名競争入札を行う場合は、あらかじめ指名競争入札に参加する者に必要な資格(等級)を定め、その等級に該当する者のうちから指名しなければならないとされています。
つまり指名競争入札では「大企業しか落札できない」ということがなく、中小企業でも参入する余地が十分にあるのです。

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入札に参加するためには、各企業が一定の基準を満たさなければなりません。

この基準に関して、経済産業省が「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について(平成12年10月10日政府調達(公共工事を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定)」を改訂し、2024年3月28日付で施行しました。

ここでは、上記の入札参加資格の見直しに関する最新情報を詳しく解説します。
また、企業がいかにしてこれらの基準を満たし、競争力を持って入札に参加できるかを具体例を交えて説明します。

競争入札の資格に関する改定

政府や地方自治体は、競争入札に参加する企業の資格要件を定期的に見直しています。
これは市場の透明性や公平性を保つための措置です。
最近の改定では、特に中小企業にとって有利な条件が整備されつつあります。
 
入札参加資格は競争参加者の資格に関する公示に基づき、全省庁統一資格として付与されています。
企業はその経営規模や実績に応じてAからDのランク付けが行われ、ランクが高いほど大規模な入札に参加可能です。
ただし、設立間もないスタートアップは実績が少ないため、通常は低いランクに分類され、大規模な入札には参加が制限されてきました。
そのため、中小企業や技術力のあるスタートアップに対して特別措置が導入されています。
具体的には、A~Dのランクに関わらず、技術力が認められた場合には大規模な入札にも参加できるようになっています。

この点に関して、今回の改正では、「J-Startup又はJ-Startup地域版に選定されていること」及び「入札物件等に係る技術分野を有しており、当該入札物件等を製造又は提供できる旨」が入札の提案書に明示されていれば、追加の添付書類は原則不要となりました。

具体的な拡大範囲

入札参加資格の適用範囲も広がっており、特に特定の業種や地理的エリアに焦点を当てた改定が行われています。

例えば、SBIR制度の活用や技術革新補助金などを通じて、技術力を持つ中小企業やスタートアップを支援しています。
これにより、これらの事業者は資格審査で高得点を維持し、公共調達への参加資格を得やすくなっています。

また、地方自治体が地域密着型の企業に対して特別に参入資格を緩和する施策も一般的になっています。
特に、新興市場や地方企業を支援するための特別措置が多いです。

さらに、経済産業省などの省庁が支援する事業者で、ベンチャーキャピタル等が出資する事業者も入札参加資格の対象となっています。
このような企業は最新の技術力を保持しており、高い評価を得ています。

グローバルに活躍するスタートアップを輩出するための官民集中プログラム「J-Startup」に選定された事業者も例外ではありません。
これにより、中小企業やスタートアップが技術力を活かして資格審査を通過し、入札に参加できる機会が増えています。

最後に、建設業やIT関連事業など特定の産業での資格拡大も目立ちます。
これらの施策により、中小企業経営者や入札に関与する担当者は、参加資格の取得を目指し、点数を高めるための具体的な行動を計画することが重要です。

財務状況と営業実績

入札参加資格には、企業の財務状況と営業実績が重要な評価項目として考慮されます。
これらの基準を満たすためには、企業は健全な財務管理と持続可能な営業実績を示す必要があります。
例えば、多くの企業が収益性や資金繰りを改善するために注力しています。
その一環として、厳密な会計監査や透明性の高い財務報告を行うことが重要です。
また、過去の営業実績をしっかりと記録し、客観的な実績データを提供することが求められます。
 
財務状況や営業実績などから点数を算出し、実績のないスタートアップは点数が低くなることが一般的です。
これらの点数は、入札参加資格の一部として考慮されるため、企業の経営安定性や市場実績も評価基準となります。
そのため、企業の財務データや過去の取引履歴、現在の市場地位などが点数算出の際に考慮されます。

さらに、政府や各省庁が提供する入札情報を積極的に収集し、適宜適切な申請を行うことが競争力を高める一助となります。
入札参加資格に必要な要件を満たすだけでなく、企業の強みを最大限に活かし、公共事業や国のプロジェクトに参加することで信頼性と実績を築くことが重要です。

入札参加資格の具体的な基準

具体的な入札参加資格の新しい基準は以下の要素で構成されています。

法的要件
企業は関連法令に準拠し、必要な許認可を取得していることが求められます。
これにより、法律違反のリスクを軽減し、信頼性を確保できます。

財務健全性
一定の資本金、売上高、利益率など、財務的に安定していることが必要です。
これにより、持続的な運営が見込まれ、プロジェクトの完遂に向けた保証が提供されます。

営業実績
過去の事業完遂の実績やクライアントからの評価が良好であることが求められます。
具体的な成功事例や満足度の高い顧客からのフィードバックが重要な評価基準となります。

技術力と専門性
特定の資格や技術認証を持つ専門スタッフが揃っていることが必要です。
例えば、技術士資格の保有者数や特許保有件数が多いことが評価されます。
特許の具体例としては製品技術や製造プロセスの特許などが含まれます。
さらに、海外で取得した特許も評価対象となり、国際的な技術力の証明にもつながります。
技能認定者数も重要な要素です。特定の技術や技能を有していることを証明する技能認定者が多いことは、入札における評価を高めます。

社会的信頼性
企業の社会的責任(CSR)を果たしていることが求められます。
例えば、環境保護への取り組みやコンプライアンスの徹底などが評価されます。
 
これらの基準をクリアすることで企業は競争入札に参加する資格を得ます。
自社の状況を見直し、必要な改善点を把握することで、入札の成功率を高めることができます。

政策の歴史と改定

技術力を有する中小企業の入札参加機会を拡大するための政策は、長年にわたって変遷を重ねてきました。
その起源は、公共事業の透明性と公正性を確保するための法令整備から始まりました。

特に平成時代後半において、中小企業の技術力を認め、その参入機会を拡大するための具体的な施策が次々に導入されました。
その後も、経済産業省や国土交通省などが中心となり、定期的な見直しと改定が行われ、最新の施策が導入されています。

平成12年10月10日には政府調達の電子化推進会議決定により、入札参加機会の拡大が図られました。

以降、改定の歴史において、平成18年8月16日、平成20年7月31日、平成24年6月5日、平成26年5月1日、平成30年3月30日、令和3年6月24日、令和6年3月28日に、技術力を有する中小企業の参入を支援するための具体的な措置が講じられてきました。

施策の意義と目的

この施策の最大の意義は、公共事業における技術力の高い中小企業の活躍を促進することです。
これにより、質の高い公共サービスの提供が可能となり、社会全体の利益が増大します。
また、入札機会を拡大することで、競争が活発化し、コスト削減効果や技術革新の促進が期待されます。

さらに、技術力のある中小企業が公共事業に参加することで、地域経済の活性化にも寄与します。
地元の企業が公共事業を担うことで、地域での雇用が創出され、持続可能な経済発展が見込まれます。
これらの目的を達成するために、政府は積極的に施策を推進しています。

具体的には、技術力のある中小企業の基盤の強化と競争力の向上を図るために、各省庁の専門機関や支援機関と連携しています。
これにより、市場参入のハードルを低くし、入札参加資格の申請が円滑に行われるようサポートします。
また、政府調達においては、中小企業の技術力を活用し、国家の技術革新と産業競争力の向上を目指しています。

この施策は、中小企業に多くの参加資格を提供し、技術革新を推進する効果があります。
特に、入札参加資格を有していない中小企業にとっては、新たなビジネスチャンスが広がることで、新規参入の機会を増大させます。

基準の具体例

入札参加資格には、いくつかの具体的な基準があります。
以下にその一部を紹介します。

技術評価基準
企業の技術力を評価する基準です。
技術者の資格保持や過去の実績、技術開発の成果などが評価対象です。
具体的には、特定の技術分野での特許保有件数や技術者の高度な資格取得状況が重要視されます。

経営安定性基準
企業の財務状況や経営の安定性を評価する基準です。
企業のバランスシートやキャッシュフロー、連続した収益の確保が評価の対象です。
また、企業の運営体制が持続可能かどうかも判断されます。
例えば、一定期間の営業実績や健全な財務状況の保持が必要です。

経験・実績基準
過去にどのようなプロジェクトをどの規模で完了させたのかが評価されます。
大型プロジェクトの完成度や納期遵守などがポイントです。
具体的な例として、公共事業の施工経験や高い品質評価を受けた実績が求められます。

地域密着型基準
地域経済の活性化を目指し、地元企業が優遇される場合があります。
地域社会にどのように貢献しているかも考慮されます。
例えば、地域限定の製品やサービス提供、地域イベントへの参加などが評価対象です。

これらの基準をクリアすることで、中小企業も積極的に公共事業の入札に参加できます。
さらに、企業自身がこれらの基準に基づいて内部整備を行うことも重要です。
具体例として、技術力の強化や財務状況の改善といった対策が効果的です。
これにより、企業は競争力を高め、持続的な成長を実現できます。

運用指針

J-Startup企業及びJ-Startup地域版企業に対する入札参加特例措置の運用指針は、適切な支援を受けながら公平で透明な競争を促進することを目的としています。

例えば、通常の入札資格を満たしていない場合でも、一定の条件下では特別な評価基準が適用されます。

まず、企業がJ-Startupプログラムの認定を受けていることが確認される必要があります。
認定を受けている企業には、特例措置適用期間中の入札参加資格基準の緩和が適用されます。
特定の技術評価ポイントの加算システムも導入されており、これにより専門的な技術や製造能力が適切に評価されます。

さらに、行政機関との連携強化により、J-Startup企業には一層のサポートが提供されます。
提案書等において、J-Startup企業は特定の技術分野を有しており、当該入札物件を製造または提供できる旨が明示されている場合、追加書類の提出は原則不要となります。

応札事業者がJ-Startup企業であることの確認が必要であり、この確認が適切に行われることが重要です。
提案書に記載される技術分野や製造能力についても、適切な評価が行われることが求められます。

施策の適用範囲

J-Startup企業および地域版企業に対する入札参加特例措置の適用範囲は、特定の産業や地域に限定されることがあります。
これにより、各地域の中小企業が公平に競争できる機会を最大限に活用できるように調整されています。
適用される主要な分野は以下の通りです。

先端技術領域:AI、IoT、ロボティクスなどの分野で革新的な技術やサービスを提供する企業。
環境技術  :再生可能エネルギーや環境改善技術に関するプロジェクト。
地域振興  :地域経済の活性化や地方創生に寄与する企業。

さらに、これらの特例措置は一定の資本金や従業員数を持つ企業に限定される場合があります。
このため、各企業は自身の適用範囲を精査し、適切な措置を講じる必要があります。

J-Startup企業およびJ-Startup地域版企業に選定された法人番号は、経済産業省が最新リストを提供します。
これにより、対象企業の透明性が確保され、入札参加における公平性が向上します。
中小企業経営者や入札に関与する担当者にとって、この情報は非常に重要です。
自社が特例措置の適用を受ける可能性があるかどうかを確認するため、リストの最新情報を常にチェックすることが求められます。

特に、先端技術や環境技術、地域振興プロジェクトに関心を持つ企業は、この特例措置を利用することで、他社よりも有利な立場に立つことができます。

通則通知

まず、入札参加資格見直しの通知が複数回にわたり行われており、具体的な施策や適用範囲について詳細に説明されています。
これらの通知は、中小企業やスタートアップ企業がより多くの入札に参加できるよう支援するためのものです。
具体的には、入札参加資格の基準と要件、提出書類の一覧とフォーマット、入札スケジュールや締め切り、評価基準や採点方法、および異議申し立ての手続きが含まれます。

通則通知を詳細に理解することは、入札プロセスの全体像を把握するために不可欠です。
特に、入札スケジュールや締め切りを見落とすことなく準備を進めることが重要です。
また、必要書類のフォーマットに従って正確に作成することも求められます。

さらに、通則通知には今回の入札に関する特別な注意事項も含まれています。
これには、新たな法令遵守の要件や独自の資格条件が含まれることがあります。
例えば、環境基準を満たすための証明書の提出や、特定の技術資格を持つ人材の擁有が求められることがあります。

読者が情報を活用できるよう、今後の具体的な施策の適用方法も通知内容に含まれています。
評価基準の詳細や、過去の成功事例に基づいた準備方法などが解説されているため、これらの情報を踏まえて準備を進めることで、より高い競争力を持って入札に挑むことができます。

通則通知を詳細に確認し、不明な点があれば早めに担当部署に問い合わせを行いましょう。
これにより、書類の不備や手続きの遅延を防ぐことができます。
また、過去の入札データを基に準備を進めることで、効率的な対応が可能です。

関連する法律や規制の改定

入札参加資格の確保や見直しは、中小企業経営者および入札担当者にとって非常に重要な課題です。
関連法規や規制の改定に伴い、入札参加資格の見直しや評価基準の変更が行われます。
これにより、最新の技術動向や市場状況に対応した公平な入札制度が維持されます。

具体的には、新しい法改定により、入札参加資格の要件や評価基準が定期的に見直され、企業が持つ技術力や市場に対する適応能力が公平に評価される仕組みが整備されます。
これらの改定は、競争力のある中小企業にとって大きなチャンスであり、適切な対応を行うことで入札機会を最大限に活用できます。

入札参加資格を取得することは、中小企業にとって多くのビジネスチャンスを広げる重要なステップとなります。
これまで入札活動に積極的でなかった企業も、この機会に入札資格の申請を検討してみてはいかがでしょうか。

入札参加資格を保持することで、自治体や公共機関が発注する様々なプロジェクトに参入しやすくなり、事業拡大の大きな足がかりとなります。
また、最新の入札施策についても把握することで、競合他社に差をつけることができます。

具体的な手続きには、事前に必要な書類を整え、オンライン申請システムを通じて簡単かつ迅速に行う方法が推奨されます。

サポート行政書士法人では、新規で入札に参加を希望される方へのスタートアップや、すでに多くの発注先・自治体へ入札参加資格登録をされている企業様向けに、各種変更届の一括管理・提出、更新登録申請をサポートしています。

また、建設業等の関連する許認可のサポートまで見据えたコンサルティングも行っています。
 
日々、事業者の皆様の代理人として行政庁への申請や折衝を行っている行政書士だからこそ蓄積できるノウハウ・実績を元に、入札参加資格登録審査申請に関する法務サービスを提供します。
 
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主任コンサルタント 名取 正輝