旅館業法 ~宿泊拒否が可能に!~
投稿日:2023年10月25日
改正法(重要度:★★★)
生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律
(令和5年法律第52号)
公布日・施行日
公布日:2023(令和5)年6月14日
施行日:2023(令和5)年12月10日までに
改正の概要
◆ここがポイント!→宿泊拒否の根拠が明確化されました!
今まで、旅館業法第5条は、ホテルや旅館は「原則として宿泊拒否できない」と定めており、旅館・ホテルは原則として宿泊拒否ができませんでした。
今回の改正で、宿泊拒否が可能となる事由が定められました。
特定感染症の患者であったり、迷惑行為を行う宿泊客については、宿泊拒否をすることが可能になります。
迷惑行為については、別途定められるようですが、例えば、「宿泊サービスに従事する従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力的行為をもって苦情の申出を行うこと等」が定められる予定です。
改正による影響
<必要な対応>
今回の改正で、宿泊拒否が可能になることから、旅館・ホテルは、宿泊者が安心して利用できる安全な宿泊の場であることを実現するために、差別防止を徹底する必要があります。
そこで、以下の規定が設けられます。
①宿泊者への適切な宿泊サービス提供のため、従業員に対して必要な研修の機会を与えるよう努めなければならない。
②旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、宿泊拒否事由のいずれかに該当するかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、及び宿泊しようとする者からの求めに応じてその理由を丁寧に説明することができるようにする。
③厚生労働大臣は、感染症に関する専門的な知識を有する者、旅館業の業務に関し専門的な知識及び経験を有する者並びに旅館業の施設の利用者の意見を聴いて、宿泊者に対する感染防止対策への協力の求め及び宿泊拒否事由等に関し、営業者が適切に対処するために必要な指針を定めるものとする。
④当分の間、②又は③のいずれかで宿泊を拒んだときは、その理由等を記録しておくものとする。
今後、施行に向けて書面等の整備がされていくのではないかと予想されますので、続報を注視しておきましょう。
改正の詳細
生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号)により、宿泊拒否事由が明確化されました。
新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、主に感染症まん延防止の観点から以下の規定が設けられます。
① 特定感染症が国内で発生している期間に限り、旅館業の営業者は、
⑴特定感染症の症状を呈する宿泊者等に対し、特定感染症の感染防止に必要な協力や、特定感染症の患者に該当するかどうかの報告を求めることができる。
⑵その他の宿泊者に対し、特定感染症の感染防止に必要な協力を求めることができる。
② 宿泊拒否事由を、「特定感染症の患者であるとき」とする。
③ 宿泊しようとする者が営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したときは、営業者は宿泊を拒むことができる。
厚生労働省令については、障害者差別解消法との整合性も踏まえた上で、どのような要求を対象とすべきかが検討されています。
本改正により、人種や障害等の差別による宿泊拒否が発生しないよう、配慮がされた法整備が期待されます。
そのためにも、法整備に加え、「改正による影響」で記載した通りの宿泊施設側でも、差別防止の徹底する体制の整備(従業員への研修等)が求められます。
【条例による宿泊拒否】
今までも、都道府県の定める条例による宿泊拒否が可能でした。
条例上の宿泊拒否事由の規定状況は、以下の通りです。
今回の改正後も、都道府県の定める条例による宿泊拒否が可能です。
詳細については、各自治体の条例を確認しましょう。
本改正の関連トピックス
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2023(令和5)年9月15日更新
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参考情報
【問い合わせ窓口】
★旅館業法について:
厚生労働省 医薬・生活衛生局 生活衛生課
TEL: 03-5253-1111(内線2435)
【参考資料】
◆国土交通省
『生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律の概要』
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001148339.pdf