トピックス

【紹介】金融庁が金融商品取引業者等の内部監査の説明資料を公表しました!

金融庁の報道発表資料等

金融商品取引業者は、各関係法令(金融商品取引法など)や監督指針その他ガイドライン等の規制を踏まえて態勢を整備することが求められています。
各規制は、金融庁によって継続的に見直されており、金融商品取引業は、日本の産業全体で見ても、改正の流れが活発な分野です。
改正が活発なことに加え、公布されてから施行されるまでの間の期間が短いことも多く、公布と施行が同時であることも、しばしばあります。

こうした点から、弊社の顧客の金融商品取引業者の皆さんからも、改正の対応に関する相談は絶えないです。

弊社が改正内容をキャッチアップする情報源の一つに、「金融庁からの報道発表資料」があります。
改正が公布される前には、パブリックコメントによる意見公募がされたり、委員会や審議会の開催・議事録公開がされたりします。

「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」の内容紹介

このトピックスでは、金融庁の報道発表資料等のうち、「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」(第2回)の説明資料に基づき、その内容をご紹介します。

参考:金融庁HP 「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」(第2回)議事次第
https://www.fsa.go.jp/singi/naibukansa/siryou/20250219.html

これは金融機関に関する各業界団体(日本証券業協会など)による懇談会の議事です。各協会等の間で、実務上の課題や目指すべき姿に関する意見を出し合っています。

あくまで意見を出し合った段階であり、現時点で有効な規制ではありません。
一方で、金融商品取引業者等(証券会社等)が自社の態勢を整える上での参考にもなりますし、今後の「規制の種」でもあります。

報道発表資料を通じて、「今後どのような規制が出てくるか」の流れを見ておくと、改正が公布された時に趣旨を掴みやすくなり、対応がスムーズになります。

段階別評価(四段階)

懇談会の大きな方向性の1つに、「内部監査のレベル感を段階別で評価し、それぞれの段階に応じた取組を行うこと」があります。
具体的には、以下の四段階評価に基づき、意見が出されています。

  • 第一段階:事務不備監査、ルールの運用状況を検証する段階
  • 第二段階:リスクベースの内部監査が行われ、内部統制上の問題を提起している段階
  • 第三段階:リスクベースの監査に加えて監査やモニタリング結果から全社的な態勢の課題・問題点を洗い出し、組織の問題解決を支援する段階
  • 第四段階:会社の主要施策や経営戦略、中長期計画・方針の十分性や適切性を検証し助言・提言を実施する段階

資料内では、「主な意見」として、以下のような事項の整備に関する意見が挙げられています。
(現時点では、以下のような事項は、あまり整備されていません)

  • 各段階に該当する具体的な事例の例示
  • 業種別や会社規模、業務規模に応じた取組事例・監査手法等の例示
    etc……

現状の内部監査のレベル感・今後の目指すべき段階

懇談会では、各金融機関へのアンケートをもとに、現状の内部監査のレベル感についても整理されました。

概要

大手証券概ね第三段階(組織の問題解決の支援)
準大手・中堅・地域証券概ね第二段階(内部統制上の問題提起)
インターネット専業証券概ね第二段階(内部統制上の問題提起)
外資系証券第四段階(会社の経営戦略等の助言・提言)

また、各段階に応じた、金融商品取引業者等の課題・取組事例に関しても、いくつか意見が出されています。

サポート行政書士法人からのワンポイントコメント

今後、懇談会での意見を踏まえ、内部監査のレベル感の具体的例示や、業種別や会社規模業務規模に応じた取組事例・監査手法等の例示が進んでいくと、金融商品取引業者等の皆様にとっても参考にしやすく・取り組みやすくなります。
一方で、より具体的な規制として一定の強制力を伴ってくることも考えられます。

また、そもそもの「段階別評価」の在り方自体に対する意見も出されている段階です。
これからの懇談会等を通して、具体例の例示以上に、大きく方針が変わっていく可能性もあります。

金融商品取引業登録のご相談はサポート行政書士法人へ

サポート行政書士法人は、金融商品取引業登録を専門分野の一つとしています。
各種申請や届出の他、「金融内部監査サポート」や「金融許認可一括管理」も行っており、単なる「手続きの代行屋」ではなく「金融分野の専門家・相談相手」としてもご依頼をいただいています。

金融商品取引業登録のご相談はサポート行政書士法人へお任せください。

(著者:東 周平)