企業内転勤2号ビザとは?入管法改正で新設された区分について解説
投稿日:2024年7月23日
企業内転勤2号ビザは、2024年6月の出入国管理及び難民認定法(=入管法)改正により新設されたビザです。
いわゆる就労ビザとしては「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの区分が有名ですが、「企業内転勤ビザ」という区分も従来から存在しました。
企業内転勤ビザは、海外にある企業(子会社や関連会社を含む)から、日本にある支店などへの転勤や出向をする場合に取得できるビザです。
この記事では、企業内転勤ビザの基本情報や、新たに新設された「企業内転勤2号」についてご紹介します。
「企業内転勤」ビザの基本情報
企業内転勤ビザは、海外にある会社から日本国内にある会社へ、期間を定めて転勤や出向する外国人向けに用意されている就労ビザのひとつです。
「企業内」とありますが、同一企業に限定されるわけではなく、議決権20%を保有する「関連会社」への出向でも対象となります。
このビザを取得できるのは、一般的に「専門業務」に従事する人です。
具体的には、IT関連のエンジニアやプログラマー、機械・システムなどの設計者、通訳・翻訳、貿易業務および渉外業務に従事する者が該当します。
これは「技術・人文知識・国際業務」ビザを持っている人と同様ですが、「企業内転勤」ビザには学歴・実務経験が要件に入っていません。
主な要件
企業内転勤ビザを取得の主な要件は、以下のとおりです。
継続勤務 | 海外にある本店、支店、事業所などで継続して1年以上勤務していること (過去の就労歴は含まれません) |
報酬 | 日本人と同等以上の報酬を得ていること |
期間限定 | 転勤が期間を定めたものであること |
実習目的の転勤は対象外
企業内転勤ビザは、技術や知識を習得するための「実習」などを目的とした転勤には適用されません。
例えば、地方の生産拠点で勤務している従業員を本社の別部門に異動させて技能を習得させるような研修目的の転勤は、このビザの対象外です。
外国人を日本へ呼び寄せて研修を受けてもらうための「研修」ビザも存在しますが、このビザは従業員ではなく部外者を対象としています。
研修ビザは、主に開発途上国などから日本の先端技術を学びに来るためのもので、研修に参加しても報酬は発生せず、実際に業務に携わることもできません。
「企業内転勤2号」ビザとは?
企業内転勤2号ビザは、改正入管法により新たに追加されたビザです。
入管法には、下記のような内容が追加されました。
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関(当該機関の事業の規模,本邦の事業所における受入れ体制等が技能,技術又は知識(以下この号及び四の表の研修の項の下欄において「技能等」という。)を適正に修得させることができるものとして法務省令で定める基準に適合するものに限る。)の外国にある事業所の職員が,技能等を修得するため,本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動(前号に掲げる活動及びこの表の育成就労の項の下欄に掲げる活動を除く。)
このビザにより、外国にある事業所の職員が、日本国内の事業所で技能、技術、または知識を修得するために、一定期間転勤し、講習を受け、その技能等に関連する業務に従事することが可能になることが期待されます。
従来の企業内転勤ビザでは研修目的での利用ができませんでしたが、企業内転勤2号ビザでは、研修しつつ就労することが認められそうです。
ただし、技能実習や育成就労で利用できる分野(建設業や製造業)などには使用できないとみられます。
具体的な基準は未公開
改正入管法では、「法務省令で定める基準」とありますが、企業内転勤2号ビザの取得要件に関する具体的な基準は、まだ公開されていません。
どのようなケースで入国できるのかを規定する上陸基準省令というものがあり、法務省で改正内容が制定されます。