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金商庁「行政処分事例集」

金融商品取引業者の皆さん、金融庁の「行政処分事例集」をご存じですか?

行政処分事例集を上手に活用することで、自社の内部管理態勢を見直したり、社内研修や内部監査等でも活用できます。

今回は上手な活用事例等をご紹介しますので、ぜひ自社の内部管理態勢の充実に活用して下さい。

「行政処分事例集」

行政処分事例集は、平成14年度以降、各財務局等が発出した法令違反等に関する行政処分事例をExcel形式でまとめたもので、金融庁が四半期毎に更新・公表しているものです。

Excel内の「金融機関等名」のリンクにとぶと、更に詳細な行政処分内容を確認することができます。

直近では、令和6年12月31日時点のものが公表されています。

金融商品取引業者(第一種・第二種・投資運用・助言)や適格機関投資家等特例業務届出者だけでなく、預金取扱金融機関・保険会社・信託会社・貸金業者・資金移動業者・暗号資産交換業者等に対する行政処分事例も一覧で掲載されています。

なお、金融商品取引業者等に対する行政処分については、別途管轄財務局ホームページにて公開され、その詳細も確認できるようになっています。

(参考)関東財務局「金融商品取引業者等に対する行政処分」は、こちらをご参照下さい。

一度行政処分を受けてしまうと、たとえ改善して充実した内部管理態勢に生まれ変わったとしても、このようにインターネット上に行政処分情報が長いこと残ってしまうので、恐ろしいですね・・・

行政処分事例集の上手な活用方法

[同業他社事例を通じて、自社の内部管理態勢を見直し]

まずは、行政処分事例集(Excel)の「業態」列にフィルタをかけて、自社と同じ業態(同業他社)の処分事例を確認してみましょう。

例えば、「投資助言・代理業のみ」の場合、「業態1:金融商品取引業者等」と「業態2:投資助言・代理業者」とフィルタをかけると、平成14年度以降の投資助言・代理業者の行政処分事例が一覧で確認できます。

特に以下に注意して確認してみて下さい。

・より”直近”の事例
・自社とより似ている業態・サービス内容の他社事例
・「主たる処分原因」が、自社でも思い当たる事例

「当社で同じような事態に陥っていないか(そのリスクがないか)」「同じ観点で当社の内部管理態勢を改善できる要素がないか」等を検証してみると、自社の内部管理態勢を見直す良いきっかけになります。

[社内研修材料として活用]

行政処分事例集は、四半期ごとに更新され、比較的新しい情報が入手できる為、社内研修の材料としても活用しやすいです。

・同業他社の行政処分事例を社内でメール共有し、注意喚起した
・特に大きい同業他社の行政処分事例を参考に、社内勉強会を開催した
・直近1年間の同業他社の行政処分事例をベースに、コンプライアンス研修を開催した

詳細な行政処分内容を確認すると、最近の行政の指摘傾向や勘所等も把握するきっかけになります。

[内部監査での活用]

行政処分事例集の内容は、もし自社で発生していた場合、内部監査等で阻止されるべき行為といえます。

内部監査の監査担当の方は、行政処分事例集の内容をよく読むことで、監査で重視すべき着眼点や気づくべき事象を再確認する機会につながります。

また、内部監査を実施する際の監査テーマ/監査項目の1つとして、「行政処分事例集の同業他社事例をふまえ、当社の同様業務の提供・内部管理実態を把握する」等もお勧めです。

まとめ

「行政処分」と聞くと、とても悪質/違法性の高い事例が思い出され、「当社には無縁/関係ない」と思っている方もいますが、実際に行政処分事例を見てみると、「適確に業務を遂行する為の必要な体制が整備されていない」等、一部の金融商品取引業者の方はきっとヒヤっとするであろう内容が指摘されています。

行政処分事例集では、証券検査等で把握された内情が赤裸々に記載されている為、上手に活用することで、自社の内部管理態勢の拡充等につなげることができます。

サポート行政書士法人では、過去の行政処分内容をテーマに社内研修を開催したり、行政処分事例を内部監査項目として活用する等、行政処分事例集を活用しながら、金融商品取引業者の内部管理支援を提供しています。

金融商品取引業者の内部管理支援に興味がある方は、下記よりお問い合わせください。

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(著者:増野)