保険証の廃止により、各種許認可等にも影響があります!
投稿日:2024年12月5日
2024年12月2日より、従前の保険証は廃止されます。(経過措置あり)
本改正は、個人で受診する診療等だけではなく、企業の許認可業務にも影響を与えます。
本トピックスでは、2024年12月5日時点での弊社独自調査に基づき、考えられる2つの影響を例示します。
1.「本人確認書類」への影響
犯罪収益移転防⽌法により、「特定事業者」は取引時確認(本人確認)が義務付けられています。
「特定事業者」には、銀行などが該当する他、金融商品取引業や不動産特定共同事業、貸金業、宅地建物取引業などの許認可を持っている事業者も該当します。
そのため、取引時確認に影響がある改正内容は、これらの許認可を持っている事業者の皆様も把握しなければいけません。
本人確認の方法は何パターンかあり、確認に用いる書類(本人確認書類)ごとに、詳細に確認の方法が定められています。
保険証も本人確認書類の一種でした。
しかし、今回、保険証が廃止されることに伴い、本人確認についても改正が発生することが予想されます。
実際、犯収法の施行規則等に関するパブリックコメント(2024年11月29日に結果公示)を確認すると、本人確認書類に関する改正の予定内容が公表されています。
参考:e-Gov パブリックコメント
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=120240023&Mode=1
このパブリックコメントによると、
- 本人確認書類から、保険証等(健康保険や国民健康保険の被保険者証等)は削除される
- 経過措置として、一定期間(※)は引き続き本人確認書類として用いることができる
とのことです。
※健康保険被保険者証の場合、最長1年間。有効期限が2025(令和7)年12月1日より前に切れる場合はその有効期限まで。
実際の改正法令の公布・施行にあたっては、パブリックコメントの結果公示時から変更が発生する可能性もありますので、最新の情報を追っていく必要があります。
2.「常勤性の疎明資料」への影響
許認可の要件として、何らかの役職者を常勤で設置することが求められることがあります。
新規申請・変更届等(役職者の就退任等)の際、当該役職者の常勤性の疎明資料が求められることがあります。
例えば、建設業許可の営業所専任技術者については、当該建設業者に常勤していることを「健康保険被保険者証」等で示すことが求められます。
健康保険被保険者証には、勤務先の事業所名が記載されているため、常勤性の疎明資料として用いられることがあります。
今回、健康保険被保険者証は廃止され、マイナンバーカードを従来の保険証代わりに使用する運用(いわゆる「マイナ保険証」)が始まりました。
一方、マイナンバーカードに勤務先の事業所名の記載はないため、これを常勤性の疎明資料として使用することはできません。
このことにより、常勤性の疎明資料についても、改正が予想されます。
実際に提出が求められる書類は、管轄となる役所ごとに異なりますが、大元の考え方・ルールは、国土交通省が後悔している「建設業許可事務ガイドライン」に記載されています。
参考:国土交通省 建設業 ガイドライン・マニュアル
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000002.html
現時点で公開されているガイドラインは、令和4年(2022年)12月28日改訂のもので、まだ保険証廃止の影響を考慮していない記載となっています。
弊社にて国土交通省の担当部署に照会を行ったところ、実際、保険証廃止の影響を鑑みて今後改訂見込みとのことでした。
常勤性の疎明資料として健康保険被保険者証を使用する際は、最新の運用・ガイドライン・役所の手引き等を確認し、どの書類を提出する必要があるか、適切に把握する必要があります。
「規制一括管理」によりコンプライアンス体制を強化しましょう!
このように、保有している許認可の種類によっては、保険証廃止の影響を受けます。
今回の改正以外にも、昨今様々な規制の改正が発生しています。
事業者の皆様にとって、事業を行いながら、様々な規制にタイムリーかつ適切な対応を続けることは、必要不可欠ですが、大変なことです。
更に、一つ一つの改正を取ってみても、その改正が与える影響は広範にわたります。
(今回、保険証の廃止が、許認可にも影響を与えるように)
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