外国為替取引に係る通知義務の概要
投稿日:2024年4月15日
資金移動業者には「外国為替取引に係る通知義務」があります。
これは、外国為替取引に係る資金移動業登録申請手続きにおける当局の確認ポイントの一つです。
今回は、この「外国為替取引に係る通知義務」について解説します。
犯罪収益移転防止法に基づく通知
日本には、犯罪収益移転防止法という法律があります。
この法律では、特定の業種の事業者を「特定事業者」と規定し、マネー・ローンダリング等の対策を義務付けています。
資金移動業者は「特定事業者」の一つなので、この法律の対象となります。
この法律(及び、その施行規則)では、特定事業者が、外国為替取引を他の為替取引業者(外国所在の者を含む)に委託する場合、所定の事項をそれらの為替取引業者に通知しなければらないとしています。
所定の事項とは、「顧客」と「受取人」の本人特定事項、及び銀行口座(預金又は貯金口座を用いない場合は、取引参照番号)です。
本人特定事項とは、個人であれば氏名、住居、生年月日です。
法人であれば、名称、本店若しくは主たる事務所の所在地です。
以前は、受取人の情報(本人特定事項及び銀行口座等)は除かれていましたが、この法律の施行規則が改正され、2023年6月1日以降から受取人の情報(本人特定事項、及び銀行口座等)が含まれるようになりました。
また、この規定が適用されるのは、資金移動業者が起点となって外国に為替取引をする場合のみではありません。
他の国内為替取引業者から委託を受けた資金移動業者が、外国為替取引業者に外国為替取引を再委託したり、外国の為替取引業者から委託を受けた資金移動業者が、他の国内為替取引業者に為替取引を再委託したりする場合等にも適用されます。
参考情報
犯罪による収益の移転防止に関する法律
(外国為替取引に係る通知義務)
第10条特定事業者は、顧客と本邦から外国(政令で定める国又は地域を除く。以下この条において同じ。)へ向けた支払に係る為替取引(小切手の振出しその他の政令で定める方法によるものを除く。)を行う場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者(当該政令で定める国又は地域に所在するものを除く。以下この条において同じ。)に委託するときは、当該顧客に係る本人特定事項その他の事項で主務省令で定めるものを通知して行わなければならない。
2 特定事業者は、他の特定事業者から前項又はこの項の規定による通知を受けて本邦から外国へ向けた支払の委託又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項を通知して行わなければならない。
3 特定事業者は、外国所在為替取引業者からこの条の規定に相当する外国の法令の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払又は外国から他の外国へ向けた支払の委託又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る。)を通知して行わなければならない。
4 特定事業者は、他の特定事業者から前項又はこの項の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払又は外国から他の外国へ向けた支払の再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る。)を通知して行わなければならない。
犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則
(外国為替取引に係る通知事項等)第31条 法第十条第一項に規定する主務省令で定めるものは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。
一 顧客 次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項
イ 自然人又は人格のない社団若しくは財団(取引時確認の結果その他の事情を勘案して代表者又は管理人の定めがあると認められるものを除く。) 当該顧客又はその代表者等に係る次に掲げる事項
(1) 氏名
(2) 住居又は第二十条第一項第十七号に掲げる事項若しくは顧客識別番号(顧客と支払に係る為替取引を行う特定事業者が管理している当該顧客を特定するに足りる記号番号をいう。ロ(2)において同じ。)
(3) 次の(i)又は(ii)に掲げる区分に応じ、それぞれ当該(i)又は(ii)に定める事項(i) 預金又は貯金口座を用いる場合 当該口座の口座番号(ii) 預金又は貯金口座を用いない場合 取引参照番号(顧客と支払に係る為替取引を行う特定事業者が当該取引を特定するに足りる記号番号をいう。)
ロ 法人(人格のない社団又は財団(取引時確認の結果その他の事情を勘案して代表者又は管理人の定めがあると認められるものに限る。)を含む。) 次に掲げる事項
(1) 名称
(2) 本店若しくは主たる事務所の所在地又は顧客識別番号
(3) イ(3)に掲げる事項
二 顧客の支払の相手方 次に掲げる事項
イ 氏名又は名称
ロ 次の(1)又は(2)に掲げる区分に応じ、それぞれ当該(1)又は(2)に定める事項
(1) 預金又は貯金口座を用いる場合 当該口座の口座番号
(2) 預金又は貯金口座を用いない場合 取引参照番号(当該相手方と支払に係る為替取引を行う外国所在為替取引業者が当該取引を特定するに足りる記号番号をいう。)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001
2 法第十条第三項及び第四項に規定する主務省令で定める事項は、前項に規定する事項に相当する事項とする。
よくあるQ&A
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犯罪収益移転防止法における特定事業者とは何ですか?
犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)第2条第2項では、特定事業者として、金融機関(銀行、信用金庫、保険会社、金融商品取引業者、資金移動業者、貸金業者など)、ファイナンスリース業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引事業者などが挙げられています。
特定事業者が外国為替取引を委託する際の通知義務とは何ですか?
犯収法第10条に基づき、特定事業者が顧客の外国への支払いに係る為替取引を他の特定事業者や外国所在為替取引業者に委託する場合、顧客および受取人の本人特定事項(氏名、住所、生年月日など)や銀行口座情報を通知する義務があります。
通知義務に違反した場合の罰則はありますか?
犯収法において、通知義務に違反した場合、罰則が科される可能性があります。具体的な罰則内容は、違反の内容や程度により異なります。
疑わしい取引の届出とは何ですか?
特定事業者が、取引においてマネー・ローンダリングやテロ資金供与の疑いがあると判断した場合、犯収法第8条に基づき、当局にその取引内容を届出る義務があります。
取引時確認とは何ですか?
取引時確認とは、特定事業者が取引を行う際に、顧客の本人特定事項を確認することを指し、犯収法第4条に規定されています。
確認記録の保存期間はどのくらいですか?
犯収法第6条および第7条に基づき、特定事業者は取引時確認の記録や取引記録等を7年間保存する義務があります。
犯罪収益移転防止法の2022年の改正点は何ですか?
2022年の犯収法改正では、特定事業者の内部管理体制の強化や、取引時確認の厳格化などが行われました。
特定事業者が行うべき内部管理体制の整備とは何ですか?
特定事業者は、取引時確認や疑わしい取引の届出を適切に行うため、内部規則の策定、従業員への教育・研修、リスク管理体制の構築などの内部管理体制を整備する必要があります。
犯収法第10条に基づく通知義務の具体的内容は何ですか?
犯収法第10条では、特定事業者が外国為替取引を他の特定事業者や外国所在為替取引業者に委託する際、顧客および受取人の本人特定事項、銀行口座番号、取引参照番号などを通知することが義務付けられています。
特定事業者が遵守すべき規定や規則はどこで確認できますか?
特定事業者が遵守すべき規定や規則は、犯罪収益移転防止法およびその施行規則に詳細が記載されています。