土砂災害関係を調査する際の注意点
投稿日:2023年10月11日
こんにちは。サポート行政書士法人の粟田です。
今回は、土砂災害関係の調査をする際のポイントを解説します。
とは言え、土砂災害に関係する法令制限は数が多いため、今回は基本的な用語の整理に的を絞って解説いたします。
そもそも、土砂災害とは?
「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下、土砂災害防止法)」によると、土砂災害を次の3種類に分類しています。
- 土石流・・・大雨等で山の土石が崩れ、水と一体となって流れ出てくる現象
- 地すべり・・・山の斜面が雨や地下水等によって緩み、滑り落ちていく現象
- がけ崩れ・・・急傾斜地(がけ)が突然崩れ落ちる現象
土砂災害の関係法令は似通った用語が多く、混同しやすいです。まずは上記の基本用語を整理してください。
東京都建設局のHPでは、画像やイラスト付きで土砂災害の定義が解説されていますので、より具体的なイメージを掴むことができます。
ちなみに、上記のような土石や岩石が集団で移動する現象は「マスムーブメント」と呼ばれ、それぞれの特徴によってより細かな定義づけや分類がなされています。今回は割愛しますが、興味がある方は調べてみてください。
土砂災害に関連する法令上の制限
不動産調査において、土砂災害に関連する法令制限には以下のようなものがあります。
- 土砂災害防止法
- 砂防三法
- 砂防法
- 地すべり等防止法
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(以下、急傾斜地法)
- 建築基準法第39条「災害危険区域」及びその土地利用制限を定めている条例
- がけ条例
- 建設省通達 等
土砂災害防止法と砂防三法の違い
土砂災害防止法と砂防三法には、土砂災害への対策を講じるという点で共通していますが、その対象に次のような違いがあります。
砂防三法→土砂災害の原因地の対策
(例)砂防堰堤の整備等の対策工事
土砂災害防止法→被害を受ける区域に着目した対策
(例)建築物の構造制限(建築基準法施行令第80条の3等)
詳細はこちらのページにまとめてありますので、ご参照ください。
各法令ごとの土砂災害の取り扱いの違い
例えば、不動産調査において、1口に「急傾斜地」と言っても下表の通り約3種類あります。それぞれ、根拠法令が何で、どういった調査が必要なのかを把握しておく必要があります。
急傾斜地
区域名 | 急傾斜地崩壊危険区域 | 急傾斜地崩壊危険箇所 | 土砂災害警戒区域 (急傾斜地の崩壊) |
根拠 | 急傾斜地法 | 建設省砂防課通達 | 土砂災害防止法 |
同様に、「地すべり」や「土石流」と言ったキーワードに対しても、似通った用語が存在します。
地すべり
区域名 | 地すべり防止区域 | 地すべり危険箇所 | 土砂災害警戒区域 (地すべり) |
根拠 | 地すべり等防止法 | 建設省砂防課通達 | 土砂災害防止法 |
土石流
区域名 | 土石流危険渓流 | 土砂災害警戒区域 (土石流) |
根拠 | 建設省砂防課通達 | 土砂災害防止法 |
上記の違いについても、東京都建設局のHPに詳細が記載してありますので、ご参照ください。
不動産調査を行う際は、これらの区域と根拠を整理判別した上で、調査資料や役所担当者がどういった文脈でこれらのキーワード使っているのか、注意して調査を進める必要があります。
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