原産地証明書と相互関税から読み解く貿易戦略
投稿日:2025年4月9日
連日、トランプ大統領の「相互関税」発動のニュースが取り上げられています。
貿易赤字が大きい国や地域を対象に関税を課すことになり、国内の幅広い産業に
影響が及ぶとされています。
今後の動きが大きいとみられる関税と原産地証明について詳しくお話します。
そもそも”関税”や”相互関税”とは?
関税(Customs Duty)とは、国内産業の保護や税収の確保、貿易バランスの調整のため
外国から輸入される商品に対して課される税金です。
関税の税率や適用条件は、品目、価格、そして原産地によって異なります。
つまり、「その製品がどの国で生産されたのか」を明確にすることが、貿易上のリスクとコストを左右するカギになります。
一方、相互関税とは、トランプ大統領が打ち出したキーワードで「アメリカが他国に対して課している関税と同じ割合の関税を、相手国にも求める」という考え方です。
例えば、日本がアメリカ製品に10%の関税をかけているなら、アメリカも同様に日本製品に10%の関税をかけるべきだ、という理屈です。
アメリカは複数国との関税交渉を再編し、貿易の透明性と対等性を重視する方向にシフトしています。
原産地証明書を活用するメリット
急な関税率の引き上げのリスクに備えるため、有効な手段として「原産地証明書」の活用です。
特定原産地証明書は、ある製品がどの国で生産されたかを証明する公的な書類です。
原産地証明書を活用することで、大きなメリットを得ることができます。
その具体例としては下記です。
1. 関税コストの削減(FTA/EPAの適用による)
FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)に基づく原産地証明書を活用すれば、輸出先国での関税がゼロまたは大幅に減額される場合があります。
《例》
- 日本製の工業部品をタイへ輸出 → 通常5%の関税 → 原産地証明書提出により0%に減免
- 年間1,000万円分の輸出の場合、50万円のコスト削減に直結
2. 高関税国でのトラブル回避(特定国製品との誤認防止)
トランプ政権下をはじめ、特定国に対する追加関税措置が世界中で導入される可能性がある中、
「どこで作られたのか」を証明できることは非常に重要です。
《例》
中国で製造されたと誤解される恐れのある製品(素材や外観が類似) → 原産地証明書で日本製を明示し、追加関税を回避
3.通関の円滑化と輸入者との信頼関係強化
原産地証明書は、輸入国の通関手続きにおいて、書類不備や確認待ちによる輸入遅延を防ぐためにも有効です。
《例》
- 通関審査がスムーズになり、輸入者の在庫管理や納期遵守に役立つ
- 長期取引先との信頼性アップ、再注文率の向上にもつながる
4.他国との価格競争力の強化
関税の有無は、販売価格に直結します。関税免除を活用できれば、他国の競合他社よりも有利な価格で市場に参入できます。
《例》
- 関税0%で販売可能 → 同等製品より価格が5〜10%安く提示できる
- 現地バイヤーからの選定率がアップ
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(著書:石倉 祥)