人工授精用カテーテルの医療機器認証
投稿日:2020年7月8日
日本では少子高齢化の影響により2008年をピークに総人口が減少に転じています
(総務省「平成30年度版情報通信白書)より)。
この人口減少時代において、政府も社会保障について改革案の策定を進めています。
先日は近くまとめる全世代型社会保障改革の中間報告案に
不妊治療への保険適用の拡大をする旨盛り込まれているという報道がなされました。
我々の社会保障も時代に合わせ、変化する時代です。
ここでは、話題となっている不妊治療にかかる医療機器の一部を取り上げ、
その概要をお伝えしていこうと思います。
精液注入用子宮
厚生労働省は、精液注入用子宮カテーテルをクラスⅠの医療機器として設定しており、
下表のように定義づけしています。
一般的名称 |
精液注入用子宮カテーテル |
定義 |
子宮内精液注入手法において精子を子宮内に挿入するために用いる、半剛性または剛性の管をいう。本品は単回使用である。 |
使用目的又は効果 |
定義の範囲内(薬食機参発1121第41号 平成26年11月21日 「医療機器の製造販売届出に際し留意すべき事項について」) |
クラス |
Ⅰ(一般医療機器。製造販売の前に品目ごとの届出が必要。) |
QMS |
該当 |
精液注入用子宮カテーテル取扱いに関する検証及び手続き
これから精液注入用子宮カテーテルの取扱いを検討されているようでしたら、
上記の定義の範囲内であるか、
また「新医療機器」に該当しないかどうかの2点をまず検証する必要があります。
「新医療機器」とは、既に製造販売の承認を与えられている医療機器と構造、
使用方法、効果又は性能が明らかに異なる医療機器
(薬食発1120第5号平成26年11月20日「医療機器の製造販売承認申請について」)のことを指し、
該当する場合は承認申請が求められます。
検証により機器がクラスⅠ(一般医療機器)の精液注入用子宮カテーテルに該当すると判断される場合、
医療機器として市場に流通させるためには、あらかじめ製造販売業者の責任でもって届出を行い、
16桁の製造販売届出番号を設定しなければいけません。
海外で製造された精液注入用子宮カテーテルであっても、
輸入する前の段階で届出を行っておく必要があります。
クラスⅠ機器の届出についてはこちらのページで概略をお伝えしていますので、併せてご確認ください。
さらに、上記の認証申請の前に、製造工場、輸入元となる販売元や保管工場にて、
医療機器製造販売業許可や医療機器製造業登録が必要となることにも注意が必要です。
精液注入用子宮カテーテルを国内で製造して販売する場合に必要な許可
製造販売元 |
第三種医療機器製造販売業 |
国内製造工場 |
医療機器製造業登録 |
卸売店・小売店 |
手続きなし(ただし、順守すべき事項は施行規則第178条で準用により定められている) |
国外で製造された精液注入用子宮カテーテルを国内に輸入して販売する場合に必要な許可
輸入販売元 |
第三種医療機器製造販売業 |
国外製造工場 |
医療機器外国製造業者登録 |
国内保管工場 |
医療機器製造業登録 |
卸売店・小売店 |
手続きなし(ただし、順守すべき事項は施行規則第178条で準用により定められている) |
医療機器製造販売業許可や製造業登録を取得するためには、
学歴のある責任者や品質保証業務等の経験がある責任者を確保する必要がある上に、
Quality Management SystemというISOと同等の管理システムを準備する必要があり、
新規参入者にとってはかなりハードルの高い制度になっています。
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許認可を取得している業者による輸入代行のアレンジもしておりますので、ぜひご相談ください。