事前相談が長期化している気がします。
投稿日:2023年1月18日
資金移動業登録の審査手続は「事前相談→ドラフト審査→本審査」の三つに分かれるのですが、最近は事前相談が長期化しています。
資金移動業者登録の殆どを管轄する関東財務局では、事前相談では複数の書類をデータで提出後、「作業整理表」というExcelファイルで質問や補正を受けます。その「作業整理表」の質問や補正の対象が、1~2年前に比べると広範かつ詳細になっている印象です(例えば、海外本社を含むマネー・ローンダリング体制、収支計画におけるKPIの根拠等)。1~2年前までは事前相談でざっくりとした概要を掴み、ドラフト審査で詳細を詰める様子でしたが、ドラフト審査での詳細の詰め方が事前相談に前倒しされているかのようです。
ここからは勝手な憶測ですが、おそらく、当局が審査の効率化を図っているような気がします。なぜなら、当局は非常に忙しいからです。資金移動業サービスの需要増加に伴い登録希望業者が増加し、新規の登録審査だけなく既存業者の監督をする当局の業務量は増えていると聞きます。「100社が東京財務事務所に列を作って待っている」と一時は噂されたくらいです。一方、関東財務局は事業者の本店住所によってさらに各財務事務所等に窓口が分化しますが、資金移動業者登録が多い東京財務事務所理財第五課は通常、数名のスタッフのみしかいません(※1)。実際、弊社の依頼者でも、当局に書類を提出してから数週間以上、時には2ヶ月近く返事がないときもあります。結果、当局が審査の効率化を求める必要性は上がっています。
当局から見た審査の効率化の観点では、審査項目の詳細詰めを前倒しにするのは理にかなっているように思います。それにより、事前相談で諦める事業者が増えて当局の業務量が減少する、というちょっとダークな側面はあながち否定出来ないかもしれません。個人的には、この段階で諦めるのであればどのみち途中で諦めるので、この段階で諦める事業者が増えても支障はないように思います。また、仮に審査業務全体でドラフト審査がボトルネックになっているのであれば、ドラフト審査でやっていた業務の一部を事前相談に移すことで、ボトルネックの解消に繋がる可能性も考えられます。
(※1)令和4年12月末時点において、資金移動業者登録83業者のうち関東財務局管轄は79業者、そのうち76社が東京財務事務所の管轄。彼らは多忙。(参照:資金移動業者登録一覧/金融庁)。