宅地造成等規制法とは?
投稿日:2023年6月28日
重要事項説明書の調査項目の1つに「宅地造成等規制法」があります。
この法律で重要となるのが、宅地造成等規制法上の「宅地造成工事規制区域」に該当しているかどうかです。
宅地造成等規制法における宅地造成とは?
宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更で政令で定めるもの(宅地を宅地以外の土地にするために行うものを除く。)をいうとされています。(宅地造成等規制法第2条第2号)
具体的な内容について、宅地造成等規制法施行令第3条には下記の記載があります。
・切土であって、当該切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの
(同法第3条第1号)
・盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1mを超える崖を生ずることとなるもの
(同法第3条第2号)
・切土と盛土とを同時にする場合における盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが
1m以下の崖を生じ、かつ、当該切土及び盛土をした土地の部分に高さが2mを
超える崖を生ずることとなるもの
(同法第3条第3号)
・前3号のいずれにも該当しない切土又は盛土であって、
当該切土又は盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの
(同法第3条第4号)
区域内での宅地造成工事には、原則都道府県知事の許可が必要です。
宅地造成工事規制区域内で宅地造成工事を行う場合、都道府県知事の許可が原則必要となります。
建築確認申請などとは別途手続が必要なので、注意が必要です。
対象の不動産が宅地造成工事規制区域に指定されるかについては下記のような記載があります。
都道府県知事(指定都市又は中核市の区域内の土地については、それぞれ指定都市又は中核市の長)はこの法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区を含む)の意見を聴いて、宅地造成に伴い災害が生ずる恐れが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成工事規制区域として指定することができる。
(法第3条)
宅地造成工事規制区域に指定されているかどうかの確認方法とは?
対象不動産が宅地造成工事規制区域に指定されているかについては、
市町村がHP等で公開している場合もあれば、窓口での確認が必要となる場合もあります。
なお、市町村がHP等で情報公開している場合でも、詳細な情報について、窓口での確認が必要です。
詳細な調査についての手順としては、まず現地調査を行います。
弊社に在籍する専門スタッフであれば、現地調査を行っただけで、対象不動産が宅地造成工事規制区域に
指定されているか、ある程度判断することが出来ます。
こういった不動産には、擁壁が存在していることが多く、擁壁についての調査も必要です。
宅地造成や擁壁が都道府県知事の許可を受けて築造されたものかどうかを調べることはもちろんこと、
当該擁壁が誰の所有なのかについても調べるほうが良いです。
万が一、無許可で宅地造成や擁壁を築造していた場合、対象不動産は問題のある不動産となり、
重要事項説明書にて説明を行わなければ、買主が大きな損失を被ることとなります。
本区域内に存する宅地等の所有者等は宅地等の保全に努めなければなりません
宅地等の所有者等は日頃から擁壁等に関し、安全な状態が保たれるよう保全に努めなければなりません。
宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者、管理者又は占有者は宅地造成(宅地造成工事規制区域の指定前に行われたものを含む。)に伴う災害が生じないよう、
その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならないとされています。
(法第16条)
本区域内に存する宅地等の所有者等は都道府県知事から勧告を受ける場合があります
本区域内の宅地等の所有者等は都道府県知事から擁壁等に関して、勧告を受ける場合があります。
それに加えて、都道府県知事は宅地造成に伴う災害の防止のために必要があると認める場合に宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施工者に対し、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告できます。
(法第16条第2項)
都道府県知事は本区域内に存する宅地等の所有者等に対し、命令をすることができます。
都道府県知事から擁壁等の工事を行うよう命令を受けた場合、所有者等が費用を負担して、
工事を行わなければなりません。
そのため、重要事項説明書作成の際に詳しく調査することが必要になります。
都道府県知事は宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、
又は極めて不完全であるために、これを放置するときは、宅地造成に伴う災害の発生の恐れが大きいと
認められるものがある場合においては、その災害の防止のため必要であり、かつ、土地の利用状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、当該宅地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造又は地形若しくは盛土の改良のための工事を行うことを命ずることができる。
(法第17条)
つまり、この区域内にある建物は場合によって売主・買主双方のリスクとなる可能性があるのです。
重要事項説明書でこういった部分を記載することで
売主・買主が不測の事態に陥ることを防ぐことが出来ます。
我々行政書士は法律家として重要事項説明書に関係する法令に精通しています。