「特定金属くず買受業の届出」の新設等(国会提出段階)
投稿日:2025年4月11日
「金属くず条例」の現状
古物取引を扱う事業にて金属を取扱う場合は、古物商と別に「金属くず商許可」等が必要となる都道府県があります。
古物取引に関する規制には「古物営業法」もあります。
この「古物」に含まれないような金属類についても、窃盗等の犯罪防止の観点から、一部の都道府県の条例において個別に「金属くず商許可」等の許認可が設立されています。
金属くずに関しては、国全体で適用される法律等はなく、各自治体ごとにルールが異なるため、大変複雑です。
参考:
「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案」の国会提出
背景
前述の通り、金属くずに関しては各自治体の条例で個別に規制がかけられていますが、金属盗の被害件数は2020年以降増加傾向にあります。
中でも、太陽光発電施設に対する金属ケーブル窃盗の割合は、2023年が32.9%、2024年6月末が38.7%と、顕著な割合となっています。
参考:警察庁資料「第1回 金属盗対策に関する検討会 資料」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/scrap/meeting_material.pdf
こうした状況を鑑み、2025年3月11日に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案」が国会提出されました。
現時点(2025年4月11日時点)で、まだ当該法案はあくまで案の段階で、公布等はされていませんが、今後古物・金属くず取扱の営業に大きく影響を与える規制ですので、ご紹介します。
「特定金属くず買受業の届出」の新設
「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案」において、「特定金属」「特定金属くず」という用語が定義されます。
「特定金属」とは、経済的価値等の事情に鑑みて窃取を防止する必要性が高い金属(銅など)のことです。
「特定金属くず」とは、主として特定金属により構成されている金属くずのことです。
今回の法律案では、特定金属くずの買受を行う際には、予め「特定金属くず買受業」の届出を行うことが規定されています。
ポイント:
- 特定金属くず買受業を行う営業所ごとに届出が必要
- 届出先は各営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会
- 特定金属くずの買受を行う際は、原則、本人確認が必要
- 都道府県関係なく適用
上述の通り、従来は、金属くずの取扱は、一部都道府県において、条例により個別に規制されていました。
しかし今回の法律案が実現すれば、都道府県に関係なく、当該法による規制が適用されることとなります。
指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止
特定金属の窃取の際に、ケーブルカッター、ボルトクリッパー等の道具が使用されるケースが見られます。
今回の法律案では、これらの道具が「指定金属切断工具」として指定されます。
また、「業務その他正当な理由による場合を除いては、指定金属切断工具を隠して携帯してはな
らない」という旨も規定されることとなります。
「特定金属くず買受業の届出」の新設に係る影響
特に事業者にとって影響が大きい改正は「特定金属くず買受業の届出」の新設です。
古物商営業・金属くず商を営む事業者の方は、取り扱う金属くずが「特定金属くず」に該当する場合、新設された届出制度への対応が必要となります。
今まで金属くず条例が無い都道府県で事業をしていた方も、届出が必要となります。
また、営業所ごとに届出が必要なため、全国で多くの営業所がある事業者は、その対応に相当の手間が掛かることが予想されます。
その他、今回の「特定金属くず買受業」は、現行の各条例の「金属くず商」と重複する部分も多いため、既存の「金属くず商許可」制度にも変更が発生する可能性があり、条例の動向も見る必要があります。
特定金属くず買受業届出のご相談はサポート行政書士法人へ
サポート行政書士法人は、古物商許可・金属くず商許可を専門分野の一つとしています。
今後新設される「特定金属くず買受業」の動向もチェックし、専門家チームで最新情報をキャッチアップしていきます。
改正にスムーズに対応し、届出を完了させたい方は、ぜひサポート行政書士法人へお任せください。
また、当社では、規制の変更情報のキャッチアップ・規制内容の管理に特化した「規制一括管理」の業務も行っております。
事業を行う上で必要となる、様々な規制へのタイムリーかつ適切な対応に関してご相談のある方は、サポート行政書士法人へお任せください。
(著者:東 周平)