容積率の不算入措置とは?
投稿日:2022年7月4日
容積率の不算入措置は、建物の規模を制限する「容積率」の算出方法に関する規定で、実際には延べ面積に含まれるが、一定の部分に関しては容積率の計算上は含めなくてもよいという緩和措置です。
具体的には地階の住宅又は老人ホーム等の部分、エレベーターの昇降路部分、共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下等の部分、自動車車庫等の部分などの面積が対象となります。
容積率は敷地面積に対する延べ面積の割合のことで、建築物は所定の容積率以下の規模で建てることが義務付けられています。
緩和された分だけ床面積を増やすことができるので、土地の有効活用が可能です。
注意点としては、建蔽率は緩和されないこと、対象部分については用途変更等に制限が生じるといったことが挙げられます。
ここからは、容積率の不算入措置の基本概念や、建築基準法第52条の詳細、不算入となる具体的な部分、不算入措置を適用する際の注意点について、より詳しく見ていきます。
容積率の不算入措置とは?
建築基準法では、建築物の容積率を計算する際、特定の部分の床面積を除外する「容積率の不算入措置」が設けられています。
この措置により、建物の設計や利用効率を向上させることが可能となります。
特に都市部では、限られた敷地内で最大限の建築面積を確保するために、この制度の適用が重要視されています。
容積率の基本概念と建築基準法における定義
容積率とは、敷地面積に対する建築物の延べ面積(延床面積)の割合を示す指標であり、都市計画や建築計画において非常に重要な規制の一つです。
容積率は、都市の過密化を防ぐために設定されており、住環境の維持や建築物の安全性を確保するための指標となっています。
具体的な計算式は以下の通りです。
容積率(%)= 延べ面積(㎡) ÷ 敷地面積(㎡) × 100
例えば、敷地面積が100㎡で、建築物の延べ面積が200㎡の場合、容積率は200%となります。
これは、その敷地に対して延床面積を最大限に活用できるかどうかを決定する重要な要素です。
建築基準法では、用途地域ごとに容積率の上限が定められており、住宅地域、商業地域、工業地域などによって基準が異なります。
これにより、地域ごとの環境保護や住環境の向上が図られています。
建築基準法第52条における規定
建築基準法第52条では、特定の条件を満たす場合に、建築物の一部を容積率の計算から除外できることが規定されています。
この規定は、建築計画における柔軟性を高め、限られた敷地内でより多くの有効な床面積を確保するために設けられています。
例えば、以下のようなケースでは床面積が不算入となる可能性があります。
- 建築物の地階(地下室)のうち、天井の高さが地盤面から1m以下の部分
- 機械室やエレベーターシャフトなどの設備関連スペース
- 共同住宅(マンションなど)の共用部分である廊下や階段
- 一定の条件を満たした駐車場や車庫
この規定を活用することで、建築可能な床面積をより効率的に確保できるため、マンションやオフィスビル、ホテル、老人ホームなどの設計において広く活用されています。
不算入となる具体的な部分
共同住宅の共用廊下や階段
共同住宅(マンションやアパート)においては、住民が共用する廊下や階段、エントランスホールなどの部分が、容積率の計算から除外される場合があります。
この措置により、居住空間を最大限に確保しつつ、必要な共用部分も充実させることが可能になります。
特に大規模なマンションでは、共用スペースの充実が重要な要素となります。
エントランスホールや廊下のデザインにこだわることで、住民の利便性や建物全体の価値を高めることができます。
エレベーターのシャフト部分
エレベーターの昇降路(シャフト)部分は、建築物の機能を支える重要な設備ですが、居住空間として直接使用されるわけではないため、容積率の計算から除外されることがあります。
この措置により、高層建築においても、建築可能な面積を圧迫することなく、適切なエレベーター配置が可能となります。
また、ホテルやオフィスビルでは、複数のエレベーターを設置することが一般的ですが、不算入措置を活用することで、建築計画の柔軟性を確保できます。
住宅の地下室の条件と適用範囲
地下室は、容積率の不算入措置が適用される代表的な部分の一つです。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 地下室の天井が地盤面から1m以下であること。
- 地下室の床面積が建築物全体の延べ面積の1/3以下であること。
この条件を満たせば、地下室の床面積を容積率の計算から除外することができ、地下スペースを有効活用しながら地上部分の建築制限を緩和することが可能となります。
不算入措置を適用する際の注意点
各自治体の条例や規制の確認
容積率の不算入措置は建築基準法に基づいていますが、自治体ごとに独自の条例や追加規制がある場合があります。
そのため、建築計画を進める際には、所管の行政庁に確認し、地域の規制に適合するようにすることが重要です。
例えば、一部の自治体では、特定の用途の建築物に対してより厳しい基準を設けていることがあります。
これを見落とすと、建築計画が認可されない可能性があるため、事前の確認が必要です。
不算入部分の適切な設計と計画
不算入措置を適用する場合、対象となる部分の設計を適切に行うことが求められます。
例えば、エレベーターシャフトや駐車場の設計が適切でない場合、不算入措置が認められない可能性があります。
よくある質問
戸建て住宅のバルコニーは、容積率の計算に含まれますか?
一般的に、戸建て住宅のバルコニーは開放的な構造であれば、容積率の計算に含まれません。ただし、バルコニーの奥行きが2メートルを超える場合や、三方を壁で囲まれている場合などは、床面積に算入されることがあります。詳細は建築基準法の規定をご確認ください。
戸建て住宅の地階(地下室)は、容積不算入措置の対象になりますか?
はい、戸建て住宅の地階(地下室)は、一定の条件を満たす場合、容積率の不算入措置の対象となります。具体的には、地下室の天井が地盤面からの高さ1メートル以下であり、かつ建物全体の床面積の3分の1以下であることが条件です。詳細は建築基準法の規定をご確認ください。
戸建て住宅のバルコニーが容積率に影響する条件は何ですか?
バルコニーの奥行きが2メートルを超える場合、その超過部分の面積が床面積に算入されます。
三方を壁で囲まれたバルコニーや、屋根付きのインナーバルコニーは、床面積に算入されることがあります。
これらの条件により、容積率の計算に影響を及ぼす可能性があります。詳細は建築基準法の規定をご確認ください。
戸建て住宅の地階(地下室)を容積率の不算入とするための条件は何ですか?
戸建て住宅の地階(地下室)を容積率の不算入とするためには、地下室の天井が地盤面からの高さ1メートル以下であることと、地下室の床面積が、建物全体の床面積の3分の1以下であることが求められます。
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