金融ライセンス申請、成功のカギは「戦略的準備」にあり
投稿日:2025年4月17日
~専門行政書士が提案する、審査を突破するための4つの実務ポイント~
金融業界で新たなビジネスを立ち上げるにあたって、ライセンス取得は避けて通れないハードルです。
特に資金移動業、暗号資産交換業、前払式支払手段発行業などの登録申請は、関係法令が細かく、審査基準も年々厳格化しています。
こうした中、私たち行政書士が現場で培った知見から、「最短で、確実に」ライセンスを取得するために押さえるべき4つの実務ポイントをご提案します。
要件を“満たす”ではなく“示す”という視点で書類を整える:
提出書類は単なる形式ではなく、審査官に「この会社は大丈夫だ」と納得させる材料です。
例えば暗号資産交換業では、「株式会社であること」「財務基盤があること」「内部管理体制が整備されていること」などが求められていますが、それらを証明する資料が“網羅的かつ論理的に”揃っていなければ意味がありません。
社内規程、資金計画書、組織図等を法令に沿って整備しましょう。
書類より先に“中身”を整備する:内部管理体制の構築:
実際の審査では、書面だけでなく体制の「実効性」が重視されます。
とりわけ資金移動業や電子決済等代行業などでは、反社チェック体制・資金管理の方法・システムの運用ルールなど、内部の運用実態が問われます。
社内体制を設計する際に、例えば社内ヒアリングを実施し、既存業務との整合を取りつつ新ルールを設計したり、教育・研修制度やモニタリング体制も含めた「運用型ルールブック」の整備をしたり、必要に応じて新たな内部規程の整備や社内教育制度の構築をしましょう。
申請審査だけを意識するのではなく、登録後の事業運営に耐えうるルール設計を行うことで、審査段階における信頼性も格段に向上します。
「時間を制する者が審査を制す」 ― スケジュールと事前対話の戦略性:
ライセンス申請は準備に数ヶ月(長ければ年単位でもあります)、審査にも標準で数ヶ月を要することが一般的です。
実際には当局の質問への回答や追加資料提出で長引くこともあります。
過去の申請実績から見通しを立て、当局との事前相談の段階重要です。
ビジネスモデルがどの規制に該当するか、満たすべき要件に不足はないかを当局担当者に確認、問題点を洗い出します。
これにより本申請後の修正リスクを減らし、スムーズな審査につなげられます。
時間に追われて準備不足のまま提出すると、不備の補正に追われて結局大幅に遅延するケースもあるため、余裕を持ったスケジュールで望むことが成功への秘訣の一つです。
当局対応は「誠実かつ戦略的」に ― 信頼を勝ち取る姿勢が審査を左右する:
申請書提出後の対応も、成功のカギを握ります。
多くの場合、当局からもっと詳細な説明の要請がありますが、このときいかに迅速かつ論理的に対応できるかが、審査官の印象に直結します。
当然早ければ早いほど良いではありませんが、対応時は法令やガイドラインに基づいて「なぜこの対応をしているのか」を根拠付きで説明するようにしましょう。
なお、当局とのやり取りはメールや書面だけではなく、口頭説明やヒアリングが求められる場面もあります。
その際にも、担当者が一貫した説明をできるよう、、社内での情報共有と事前ロールプレイングの実施を推奨しています。
私たちの支援スタンス:ライセンス取得は、信頼構築のプロセス
金融ライセンスの取得は単なる形式的な“許可”ではありません。
それは、当局に対して「我々は健全で誠実な事業者です」と示すプロセスでもあります。そのためには、正確な書類整備、実態を伴った体制構築、計画的なスケジュール運営、そして誠実なコミュニケーション対応がすべて必要です。
弊社では、これらすべてをワンストップで支援できる体制を整えております。
法律やガイドラインの要件を確実に押さえるのはもちろん、過去の登録事例や当局の審査傾向を踏まえて、「どのように示せば審査官の納得が得られるか」を戦略的にアドバイスいたします。
(著者:徐)