資金移動業登録の落とし穴10選|補正・却下の回避術
投稿日:2025年4月17日
資金移動業の登録は、単なる“形式的な許認可”ではなく、厳格な法令適合性と事業の継続性・信頼性が求められる実質審査型ライセンス制度です。
申請書類が整っていても、事業運営体制に懸念がある場合や、制度趣旨を誤解していると見なされた場合には、登録が却下されるなど、再提出・補正が繰り返される結果となります。
では、実務上どこで申請企業がつまずくのか?
支援経験に基づき、特に誤解されやすい「10の落とし穴」とその回避策を解説します。
よくある落とし穴10選

- 事業計画に根拠がない:収益性・市場ニーズの裏付けがなく、事業の持続可能性が示せていない。
- 保全スキームが不整合:履行保証金の計算根拠や保全方法が制度要件を満たしていない。
- 委託業務の設計不備:委託内容・管理責任・再委託制限の説明が曖昧なまま提出。
- 業務方法書が実態と乖離:単なるテンプレートで現場と一致しておらず、審査時に矛盾が発覚。
- ADR契約未整備:資金移動業では苦情処理等に関する体制整備が申請要件(資金決済法第51条の4)。
- 内部監査体制が形骸化:内部牽制が機能せず、チェック体制の独立性が担保されていない。
- 役員に関する法的欠格要件の確認漏れ:本人だけでなく全役員が対象。登記事項証明等も精査が必要。
- 管理体制図が曖昧:組織図に役職・責任関係が示されておらず、実効性が疑問視される。
- システム設計説明の不備:API接続、データ保管、送金指図処理など、具体性が不足。
- 制度趣旨の理解不足:登録面談等での誤答は、「形式的理解」しかないと判断されるリスクに直結。
登録を成功に導くには?
これらのポイントは、いずれも“資金移動業が利用者資金を預かることなく、為替取引の信頼性を担保する制度である”という根本趣旨から派生しています。
つまり、「事業性」と「法令順守体制」の両立が審査上の中核です。
テンプレート的な対応では通用せず、自社のビジネスモデルを制度と照らし合わせて適合設計できるかどうかが問われます。
行政書士の支援価値──単なる代筆ではありません
弊社は単に申請書を代筆するだけではありません。資金移動業においては次のような“翻訳者的”な支援が不可欠です。
- 金融庁ガイドラインや資金決済法に基づく適合性診断
- 提出資料と現場実態との整合性チェック
- 事前面談・ヒアリングで想定される論点の助言
申請準備で最も重要なのは、“書類を揃えること”ではなく“審査対象となる事項を明確に説明できること”です。
戦略的な申請設計こそ、スムーズな登録への近道となります。
不安な方は、ぜひ早い段階から弊社にご相談ください。
(著者:徐)